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ダブルフェイスゲーム 極東編 第四章

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ダブルフェイスゲーム 極東編 第四章
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■プロローグ■


――東トリス、市街地上空

 突如現れた巨大なドラゴンが宙を舞う。
 巨大な翼を羽ばたかせながら、大きく広げた顎より灼熱の劫火を吐き出し、研ぎ澄まされた刃のような爪を振るう。太く強靭な尾による打撃の破壊力は最新科学で生み出された大砲の砲撃に匹敵するだろう。
 対するは、ほぼ全身が機械化されたサイボーグ。
 背中に展開した機械翼とジェットエンジンとでドラゴン――“将軍”と空中戦で互角に渡り合っているのだ。
 エーテルシールドを広げて炎を凌ぐと、右腕から伸びる高周波ブレードで竜爪と打ち合い、続く尾の一撃は左腕に仕込まれたエーテル砲で迎え撃つ。

「邪魔をするなヴォストーク軍! 我らはミンナ様による新世界の創造という、崇高なる使命があるのだ!」
「知った事か! ミンナ・アラヤの身柄は我々ヴォストーク軍で預かる。貴様らこそ諦めて退け!」

 互いに譲れぬ目的のため、両者は激しく激突する。
 轟音を響かせながら、幾度も繰り返される衝突。その余波だけで近く民家が崩れ、流れ弾が街の一画を更地へと変えていく。

「がぁああああっ!」
「来るか!」

 将軍が大きく息を吸い込んだ。
 これまで以上の威力を秘めたブレスが飛んでくると察知したウォローノフ大佐は、両腕を曲げて肘の奥から小型ミサイルの弾頭を覗かせる。
 将軍の吸気が停止し、次の瞬間にあらゆるものを焼きつくす獄炎が解き放たれたその刹那、ウォローノフもまたミサイルを発射しちょうど二人の中間でぶつかり合う。

 僅かな静寂。
 しかし、直後に視界を白く染め上げる閃光と共に、轟音と衝撃波が周囲一帯を飲み込んでいく。
 舗装された地面が大きく割れて奈落の谷を作り出し、上空には荒れ狂う魔素による暗雲が立ち込め不気味に雷鳴を轟かせる。この世の終わりを思わせるような光景が東トリスに広がっていった。

「チッ! これほどの力を持つとは……」
「全てはミンナ様のために……」

 爆発を最も近い位置で受けたウォローノフや将軍は、その衝撃から逃れることができず、大きく吹き飛ばされて民家の壁に体をめり込ませていたが、その程度で戦闘不能に陥るほど柔な造りはしていない。
 すぐに起き上がると、再び飛び立ちそれぞれの目的を達する為に、障害の排除を続けるのであった。

■□■


――宇宙の果て

「大盤振る舞いだな、レオニード」
「当然だ。全てはこの時のために用意してきたのだから」

 やがてこの場所まで辿り着くだろうエージェントを迎え撃つべく、がなにやら画策していたようだが、そうはさせないと先手を取った“A”が無数の遺産を繋ぎ合わせて作り出した、光の監獄が展開される。
 試しに、と神が軽く檻を構成する光に触れてみると、指先から蒸発し片手が消えてしまう。
 断面から逆再生動画のように失われた手を生やすと、神は呵々と笑ってその場に留まった。ここを決戦の地と定め、自らの逃げ場が無くなる代わりに神も逃がさないという、Aの思惑に乗ってやろうといったところか。

「――来たか!」
「待たせたのだ!」
「あの男が神、ということでいいのね」

 神とAの睨み合いは長くは続かない。
 ポータルを作動を感知したAが振り返れば、A機関が宇宙の果てへと次々に現れ始め、最新型の宇宙服に身を包んだ“夜鷹”“鶯”が戦闘となって姿を見せると、神はにやりと口角を上げる。

「初めまして、神よ。私はA機関東トリス支部の支部長“夜鷹”なのだ」
「同じく、東トリス支部所属の鶯よ」

 神の宣言と共に、夜鷹は両手の間で渦を巻く炎を解き放ち、鶯は左腕の機械義手のエーテルリアクターを最大稼働させ、プラズマを矢のようにして放つ。
 油断はない。最初から全力。それもしなければ、戦うどころか抗うことさえできない相手であると理解しているのだ。
 しかし、神は対称的に余裕の態度を崩さない。敢えて夜鷹と鶯の攻撃を敢えて真正面から受け止めると、愉し気に口を開く。

「ククク、歓迎しよう。今代のエージェントたちよ。さぁ、世界の命運を賭けたゲームの開幕だ。精々私を楽しませるのだな!」

■目次■


プロローグ・目次

【1】【表裏】純血同盟に対処する
燃え盛る市街地を超えて
市民を守るために
その命を救え
恐ろしき邪竜、将軍との対決

【2】【表裏】ヴォストーク軍に対処する
鮮烈なる夜に向けて
食人魔導士、ジョゼフ・ガーミンを討て1
食人魔導士、ジョゼフ・ガーミンを討て2
機械化した脅威、ウォローノフ大佐との対峙

【3】【裏】宇宙で神と決着をつける
壮絶なる神との戦い1
壮絶なる神との戦い2
壮絶なる神との戦い3
壮絶なる神との戦い4

エピローグ
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