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四天王襲来

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四天王襲来
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・流麗の水使い、四天王マーレを討て


 四天王の一人、マーレは広範囲をカバーする酸性雨であるアシッドレインLV9へと降らせながら魔術師の武器であるストリームスタッフLV7に魔力を迸らせる。

「あなたたちは地を這いつくばるのが相応しいわ。所詮は人間、絶対的な力を前に平伏しなさい」

 酸性雨が地表に降りしきり、やがてそれらの水を溢れさせてヴェノムスワンプLV8で毒の沼を生み出したマーレは、冒険者たちを近づかせないように戦局を形作る
 それこそがマーレにとって必勝の布陣。
 遠距離からの魔法攻撃を持続させようとしたマーレへと相対する他方 優はリングオブマジックLV1で強化したタイダルウェイブLV10を放出する

「……ふん。私相手に水魔法なんて、舐められたものね」

 マーレの放つアシッドレインLV10による酸性雨と相殺される。どうやらマーレも持つ杖は、加護のレベルを押し上げる力があるらしい。

「水の四天王を名乗っているのに、人族の魔法と相殺される程度なんて……案外、大したことないのかな?」

 挑発した他方 優にマーレは僅かに眉を吊り上げる。

「……いい気にならないことね。加減を覚えないと、あなたたちなんてすぐに潰せてしまうもの。四天王として、少しは相手をしてあげると言っているのよ。それとも……すぐに大技で押し潰されるのがご希望かしら?」
(よし……今ので少しは心理的誘導が効いたか……? 少なくともちまちま毒で攻撃されるよりかはマーレ自身の隙も大きくなりそうだ)

 タッグを組んでいる朝霧 垂へと他方 優は目線を配る。

(ああ……こいつには遠距離でじわじわ、なんてされりゃ、こっちの不利に繋がるからな。少しでも近づかせる気を起こさせねぇと)

 ミスリルベストLV5の上からメイド服LV7を着込んだ垂は、近場で手懐けていた狼を率いて様子を伺っていた。

(さて、じゃあ他方……行くとするか……! 天技!)

 垂は天技:統率する者LV3で狼の分身体を生み出し大量に生み出し、その群れと共にサンダーテールLV9を振るいながらマーレへと迫る。
 それと同期して、もう一つのパーティであるステラに所属する優・コーデュロイも動き始めていた。

「美しい、ね。確かにそれなりだけれど化粧の仕方が……ね? それにルージュのほうが何倍も綺麗!」
「優……! うん、自分磨きだけは怠らないもの。それに、マーレ。あなたのそのドレス、私にしてみればいただけないわ。色々と素材が良いのに微妙に足りてないところがもどかしいのよ」

 ルージュ・コーデュロイへと抱き付いてアピールする優・コーデュロイにマーレが舌打ちする。

「人族風情が、見せつけてくれるんじゃないわよ。私の美学に説教を垂れるなんて、後悔しながら死んで行くのね」

 燈音 春奈はマーレを見据えていた。

(あれが四天王の一人……見てくれはまぁどうでもいいとして、王都で暮らす人たちを傷つけさせるわけにはいかない……絶対に食い止めてみせる!)

 パワーコートLV7で筋力を強化した春奈は、重いはずのアダマンキャリバーLV9を軽々と構える。

(四天王を自称するだけあって相応の実力者のようね。思ったよりも挑発に乗りやすいところも含めて、何とか仕留めきってその綺麗な顔を歪ませてみせる)

 パーティ最後の一人である焔生 セナリアは、ミスリルガウンLV9を風にはためかせながら戦場の様子を見渡せる後方に控え、獣の嗅覚で戦場の気配を探る。

(予想されるのは吹き飛ばしや状態異常、設置型のトラップ……違和感があればすぐにでも報告しないといけないわね)
「まずは、厄介な毒の沼を消し去らせてもらうわ」

 光を一点に集約し、シャイニングビームLV5を放つことで突破口を作ろうとするが、それでも毒の沼は健在だ。

(完全に消すのには時間が必要ね……。でも、マーレの注意を逸らすことはできるはず……)
「ちっ……人族風情が。私の作ったせっかくのフィールドを消そうなんて無粋な真似するんじゃないわよ」

 マーレがストリームスタッフLV7を振るい、再びアシッドレインLV10を放てば酸性の豪雨が更に勢いを増す。

「直撃は避けて……! 防御術式を展開するわ!」

 セナリアがホーリーウォールLV9を展開するが、マーレの呼び出した酸性雨は容赦なくその障壁を溶かして肌を焼く。

「面倒ねぇ……! とっととやられちゃいなさいよ……!」

 肌を焼かれながらも前に出たルージュが握るオリハルコンクローLV8は魔力を高めてくれるが、そこにリングオブマジックLV1も加わっている。

(これだけじゃないわ……!)

 更に、イーリスローブLV9で加護を引き上げると、ブレイズソードLV8で生み出した炎を爪に纏わせた。
 毒の沼地の側面から回り込みつつ攻撃態勢を整えたルージュは、挑発するように誘惑の歌舞を見せつける。

「あなたが人族風情と言った私の舞踊、とくとその目に刻みなさい」

 観察眼LV3でマーレの出方を伺いながらも、ダンスのステップに合わせて爪を振るい攻め立てる。

「ふん。言うじゃないの。美しさで言えば、遥かに及ばないけれど努力は買ってあげる。けれどね……! この世にはどう足掻いても埋められない差が存在するのよ!」

 マーレを守ったのはアクアウォールLV8による水の障壁だ。
 加護は同等かに思われたが、マーレが纏うサンゴをあしらったコーラルドレスLV6は炎に対して高い耐性を持つらしく、その炎熱がマーレに届く事はない。

「私に炎が効くと思って?」
「まったく、面倒な代物ね!」
「……お遊びはこれまでよ。人族風情、が……!」
(くっ! でもしっかりと役目は果たしたわ。あとは任せたわよ!)

 だが、注意を引きつけるという役目は十分に果たす事ができたようだ。
 セナリアの障壁を飛び出した優・コーデュロイと春奈は、ルージュが気を引いた隙にマーレの射程へと潜り込む。

(一気に決めます……!)

 アクセラレートLV7で加速しながら踏み込み、優・コーデュロイはアダマンキャリバーLV9を薙ぎ払う。
 マーレは舌打ちをしながらも、冷静に杖を振るい瀑布LV7によって高圧の水流を放ち優・コーデュロイを吹き飛ばす。

「嘗めないで! 私の魔力はほぼ無尽蔵! 人族風情に後れは取らない!」

 魔力活性LV8によりマーレの体内魔力は循環し、消耗した魔力もすぐに回復してしまう。
 直後に別方向から他方 優と垂が迫り、強引に接近戦へと持ち込んでいく。対するマーレも水流で薙ぎ払い距離を取ろうとするが、垂が引き連れる狼の群れは数が多くとてもではないが対処しきれない。

「手数の多さで少しは圧倒されてくれないかな。それとも、その圧倒的な魔法は飾り?」
「余計なことばかり……! これだから人族は度し難いのよ!」

 他方 優は観察眼LV3で打突からの水流の動きを読みつつ、イーリスローブLV9からより強い加護を得てダマンロッドLV4を構えた。マーレに魔法による攻撃が来ると身構えさせるためだ。

(魔法一辺倒なら、隙は生まれてくるはず。何よりも近接戦闘型の相手は鬱陶しいだろうし、それに……)

 高感度イヤーLV5に届いたマーレの発する音から、他方 優は次の一手を先読みしてフェイントを仕掛ける事で、マーレのリズムを崩していく。

(格闘家と魔法使いじゃ、まるで戦闘術は正反対のはず。ずっと攻撃してくる相手なんてやり辛いだろう。その上で、神経を逆なでさせる……行くよ、天技……!)
「――『神技骸装』……【フリーズブリーズ・アーマー】アクティブ!」

 天技:神技骸装LV2を発動し、装着されるその鎧は氷雪魔法であるフリーズブリーズが形を成したものだ。
 マーレが放とうとしていた水流が凍結し、氷結の鎧は酸性雨を弾く。

「この……! どこまでも馬鹿にして……!」

 マーレの怒りに震える視界に映ったのは、ディスアピアLV6で気配を遮断していた垂であった。

(他方が天技を発動したな。他の連中も上手く交戦してやがる。なら、隠れる必要はねぇ……!)

 アクセラレートLV7で加速し、一気に死角から肉薄する。
 携えたブラッドブレードLV6の刀身が煌めくのを咄嗟にマーレは防御するが、垂の放ったガードペネトレートLV5による一撃がコーラルドレスLV6を貫き加護を弱める。

「私の魔力が……!」

 瞬間的に散った魔力にマーレがうろたえた刹那、アクセラレートLV7で加速した春奈が、その勢いのままにアダマンキャリバーLV9を振るう。

(魔力が散った……! 今なら致命傷を与えられるはず……!)

 ハッとして水流を編み直そうとするマーレに春奈はその膂力で武装を地面に叩きつける。
 ブレイククレーターLV9によって期待したのはダメージだけではなく、魔法を用いるマーレの注意の拡散。
 セナリアのシャイニングビームLV5がマーレの肩口を射抜く。
 実質LV11相当となった威力にマーレがよろめいたのを逃さない。

(今ならば! 一気呵成に……!)

 ルージュは魔力活性薬LV2を服用してからコメットフォールLV7で隕石を降り注がせて支援する。

「この……!」

 水柱を生み出して防御しようとするも、その水は他方 優によって凍結させられる。

「使えなければ、強固な守りも意味はないよね」
「……凍て付かせる……? それができるのはそっちだけじゃ――!」
「ないって言うんだろう? 大技を撃ちたがっているのが最初から丸分かりだよ」
(リスクを背負わずに勝てる相手じゃない……だからこそ、賭けに勝つことが意味を持つ……!)

 相手を凍結する棺に閉じ込めるマーレのアイスコフィンLV9は、他方 優が天技として纏うフリーズブリーズが相殺するどころか打ち砕く。
 その間に他方 優はダブルヒールLV5で自分と垂の受けた傷を癒して次に備える。

「分かりやすいんだ。そういうの。だからこそ、賭けに勝ち切る……」
「賭けですって……? とんだ愚行ね! 一気に押し込めてあげるわ……!」

 大規模な渦潮が形成され、メイルシュトロームLV11が発動されようとしていたが、それを制したのはセナリアであった。

「そのための布石です。……天技、発動」

 獣の嗅覚で察知したセナリアは天技:揺蕩う星光晶LV3を編み出し、浮遊するキューブがマーレを取り囲んでいた。

「なに……!」

 瞬時にマーレを拘束し、敢行されようとしていた渦潮は他方 優が凍結させて減殺させる。

「そこまでですね」

 優・コーデュロイがアダマンキャリバーLV9の切っ先をマーレへと向ける。

「一応聞くけど、降参する? 手厚く保護するけど」
「ふざ……ふざけないで……! 人族なんかに……私が、私たち四天王が、一度でも膝をつくなんて……! もう容赦はしないわ……! 砕け散りなさい!」

 マーレが詠唱した瞬間、空間に巨大な水の塊が召喚される。
 獣の嗅覚で察知した垂は距離を取りつつ狼の分身体に指示を出すと、他方 優と垂自身を守るように配置する。

「やべぇ……! 距離を取れ、他方!」

 その声が響き切る前に、マーレの天技であるクルーエル・オブ・ハダルLV3は完遂されていた。
 全員が水の塊に巻き込まれ超深海級の水圧と荒れ狂う潮流が組み合わさり、全てを圧殺するようにしてマーレがその両手を組む。
 爆発的に巻き起こった水圧と水流によって、冒険者たちは全身を圧し潰される。
 それは他方 優の天技によって生み出された鎧を打ち砕き、垂の召喚した狼の群れをも一瞬で消し飛ばすほどであり、被害の規模は筆舌に尽くしがたい。
 だが、セナリアが水晶を全て防御に回し全力で守りを固めたため、辛うじて致命傷は免れていた。

「……しかし、拘束は……」

 再び自由となったマーレが髪を梳く。

「本当……嫌になるわね、心底。人族なんかに私の力を見せつけたこともそうなら、まだ生き意地汚く立ち向かおうとするなんて」
「……皆さん。マーレ自身も相当ダメージを負っているはずです。行けますか……?」
「当、然……です……!」

 立ち上がった優・コーデュロイは呼吸を整え、ルージュへと目配せする。

「天技……! 勇愛の舞……!」

 ルージュの天技:勇愛の舞LV1は逆境に陥った味方を鼓舞し、気力を溢れさせる。

「行きます……!」

 優・コーデュロイは天技:絶対貫通LV4を付与したアダマンキャリバーLV9を構えると、残された力を振り絞ってマーレへと立ち向かう。

「無駄だって、分からないのかしらねぇ……っ!」

 メイルストロームLV11の予兆を感じ取った春奈は、後方に跳躍しながらアダマンキャリバーLV9を構え直す。

「行くよ……天技……!」

 春奈の天技:明星鳴動LV3は橙色の超重力を武器に纏わせる。
 総攻撃の布陣となった冒険者に、垂も立ち上がる。

「他方……お前の回復、助かったぜ……」
「なに……賭けに……勝ったまでだとも……」

 少しでも戦う活力を取り戻すため、他方 優はダブルヒールLV5による治療を続ける。

「さぁて……! 俺もやるとするか……!」

 サンダーテールLV9をしならせマーレへと放つ。
 アクアウォールLV8による水柱が防御しようとしたが、それを鞭は水柱を貫きガードペネトレートLV5による一撃をマーレに叩き込む。

「無駄なことを……! どう足掻こうとも!」
「そうかよ……。だが、正面だけしか見えてねぇわけじゃねぇよな!」

 春奈の放ったウィンドスラッシュLV6の風の刃を防御する術はない。
 表情を険しくしながら杖を翳したマーレへと超重力が襲い掛かり、数々の強力な魔法の起点となっていた杖を打ち砕く。

「私の杖が……!」
「そして――これがとどめです……!」

 優・コーデュロイの放ったローンモウLV10の一閃。あらゆる防御を打ち砕く天技によるその一撃が、マーレの肉体へと容赦なく食い込んでいく。

「がぁ……っ!」
「そのまま――押し潰されなさい!」

 力の限り振り抜かれた一撃はマーレを吹き飛ばし、衝撃波がさらにその躯体を嬲る。
 何度も地面に叩きつけられた末に、マーレは大岩に背筋を打ちつけていた。
 激しくかっ血し、魔法を編み上げようと手を伸ばした所へ垂のサンダーテールLV9が伸びていく。

「させるかよ!」

 反撃される前に倒し切る――そのつもりで振り下ろした鞭はしかし、途中で弾かれてあらぬ方向へと向かっていった。

「マーレさん! 間に合ってよかったです。ここは退きましょう」
「はぁ……はぁ……。この屈辱、絶対に忘れないわ……!」

 マーレの足元に広がる影から現れたアートルムが垂の一撃を弾いたのだ。
 アートルムはそのままマーレに肩を貸すと、二人で揃って影の中へと沈んでいく。マーレの怒気を孕んだ言葉を残して。

「流石に、追いかける体力は残ってないけど……」
「あぁ、撤退に追い込めたのなら勝利と見ていいだろう」

 出来れば逃がしたくはなかったが、冒険者たちの体力も限界をとうに超えている。この状態でマーレだけでなくアートルムまで相手にすることは自殺行為と言っていいだろう。
 他方 優の言葉に垂が頷くと、その場にどかりと腰を下ろすのだった。
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