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四天王襲来

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四天王襲来
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・美しき旋風、四天王テンペスタスを討て

「私に立ち向かおうとは身の程知らずだな。醜悪なだけの存在か、冒険者とは」

 テンペスタスの眼差しの先にはキョウ・イアハート八重崎 サクラ、そしてジル・コーネリアスが控えている。

(四天王……いや、五人居るが? なんてふざけた冗談はさておき、連中が魔王復活で活気づいているのは違いないんだろうさ。この進撃を抑えられるかどうかが、これからの試金石になるかもしれねぇな)

 ストームベストLV9が戦域を舞う風にはためく。
 予め鍛え上げていたスチールピストルLV9のグリップを握り込むと、キョウはリングオブスピードLV3で引き上げた瞬発力を活かし、ディスアピアLV6で気配を断ってテンペスタスの視野から掻き消える。

(さて……テンペスタスもどこまで感知手段を持っているかは不明のまま……どう仕掛ける?)

 風の声に耳を澄ませながら、テンペスタスの次手をキョウは読み取ろうとしていた。

「ちょっとダンスに付き合ってもらうわね? 付いて来られるかしら?」

 そう挑発したのはサクラで、速さ勝負に持ち込もうとしていた。

「私相手に舞踊で? ……ふん、どうやら冒険者とは不心得者共らしい。私ほど四天王で上手く踊れる者は居ないと言うのに。……よかろう、冒険者。その不躾なダンスの誘い、乗ってやろうか」
(乗った……! なら、ここからが勝負ね。自身の攻夫を確かめたくなるのは武術家の悪い癖かもしれないけれど、ここまで私は速さを積み上げてきた。その上に速さ自慢の四天王が居るなんて聞いたら試しをしたくなっても仕方ない。それに何よりも――)
「感謝するわ。だってスピード勝負は定番中の定番、でしょ?」
「支援しますよ……癒しの力よ……!」

 ジルはあえてテンペスタスの視界に入りながらダブルヒールLV5による治療を切らさないように努める。

「まずは、スローなワルツから!」

 できるだけ軽装にしてきていたサクラはリングオブスピードLV3で瞬発力を引き上げ、銀迅龍LV7で速度を高める。

「……欠伸が出るな。遅過ぎる」

 風を纏ったガスティレイピアLV6を水平に構え、テンペスタスは駆け抜ける。
 テールウィンドLV8で自身の背に追い風を発生させ、サクラへと目にも留まらぬ剣術を見舞う。
 対するサクラはブロックガードLV1を用いて叩きつけられる風の刃を押し留める。テンペスタスの攻撃は強力ではあったが、ただの斬撃程度であれば鍛え上げられた肉体をもってすれば防ぎ切ることは難しくない。

(急所に受けないように気を付けないと……!)

 しかし、テンペスタスの速度は目を見張るものがあり、圧倒的な手数で防御を掻い潜って確実にサクラの体力を削る。ジルの回復魔法が無ければ早々に削りきられていたことだろう。

「さすがに、無理か! ここからはアップテンポで行くよ!」

 さばき切れなくなる直前に、剣圧が渦巻く旋風剣術であるスパイラル・ピアッシングLV8をアクセラレートLV7の加速で回避しようとするが、テンペスタスの突きの方が僅かに速く避け切れずに体が抉られる。
 
「どうした? 舞踊の終わりにはまだ早いぞ!」
(く……っ! 強いわね……さすがは四天王……!)

 苦痛に表情が歪むが、直撃ではなかったためまだ動ける。サクラは闘志を衰えさせることなく、エイムウィークネスLV3でテンペスタスの戦闘スタイルを分析する。

「逃げおおせようとするか……速度勝負が聞いて呆れる! もっとこの美しい私と真正面からワルツを踊るがいい!」

 風を纏わせた剣がその射程を引き延ばす。
 嵐のような連撃であるストームセイバーLV9の剣閃がサクラへと迫った――その刹那。

(やらせるか……よっ!)

 盛大な発砲音と同時に、キョウの銃撃がテンペスタスの注意を僅かに逸らした。

「むっ……?」
(俺を狙うか? だがそう簡単に見つかるかよ)

 ガードペネトレートLV5による銃撃は、直撃を受けたくない程度には威力が高いはずだ。
 そう確信していたが、不意にテンペスタスの周囲の空間が風でねじれる。
 直後にはウインドブレスLV8の風圧の加護が巻き起こっていた。
 銃弾の狙いが逸れ、テンペスタスの腕に命中する。

「私を隠れてこそこそ狙うか。確かに一撃目は有効だろうな。だが、二度目は通用せんぞ!」
(そうだろうさ……だからこそ、バシバシ狙ってんだ!)
「小うるさいな……。ならば一体ずつ潰して差し上げよう」
「これは……美しく、ないですねっ!」
「美しさ? それは私のためにだけある言葉。貴様らのような存在には相応しくはないさ」

 狙いを付けられたジルはリーンフォースLV5で筋力を強化し、拡張プラグインで最適化したウェポンカウンターLV2の受け流しをミスリルシールドで行おうとするも、瞬間的に速力が上がったテンペスタスの剣を受け切れずにLV4の防御は脆く崩れ去る。
 だが、その本懐は防御ではなく――。

(このまま……テンペスタスが倒し切ったと思い込めば……!)

 力天使の纏衣LV7の効力を活かして筋力を底上げし、アイアンメイスLV6で反撃に出る。
 LV9相当になったメイスの一撃は、風の守りを突き破りテンペスタスの纏うエメラルドの装甲を叩きつけられた。

「風の防御を……破っただと……! だが、まだ……私に近づくのには……!」
(足りないって言うんだろ? それは読んでいたぜ)

 テンペスタスがキョウを発見し、刺突の構えを取っていた。

「無粋な……一方的とは言えワルツを踊るのを邪魔するとは……。私ほどではないが、速度を愛する美しき者同士の舞踊に割り込んだ恥を知れ」

 瞬間的に風に乗って加速すると、テンペスタスのスパイラル・ピアッシングLV8がキョウに迫る。

(見えた……ぜ!)

 アンティシペイトLV10で見切り、必殺の一撃をギリギリまで引き付けて回避する。

「なに……?」
「その一撃は読んでいたぜ……そして、そこは俺の軌跡。吹き荒ぶ風諸共に、アンタを断つ……太刀神添!」

 キョウの天技:太刀神添LV3。それは攻撃の軌道上へとあらゆるものを切断する不可視の斬撃を形成する。
 それは、テンペスタスを守る風の加護も例外ではない。

「私の旋風を……!」
「ここ……だぁっ!」

 サクラが駆け抜け、天技:天駆LV2を発動して虚空を蹴りつける。
 空を駆け抜け、瞬時に距離を詰めたサクラはこれまで温存していた脚力を発揮する。
 直上の空を蹴って加速し、テンペスタスの顔目掛けて顔面へと狙いを付けていた。

「私の、顔を狙って……!」
「そうよ! 足蹴にされる気分を味わいなさいっ!」

 テンペスタスは咄嗟に刃を走らせるが、天技による同時攻撃をそれで防ぎ切れるはずがなかった。
 二人の天技を一身に受ければ、流石の四天王といえども無傷ではおられずテンペスタスはよろめく。
 軽やかに着地したサクラの足が大地を踏み締め振り返る。
 頬に大きな痣が出来上がり、その事実にわなわなと身体を震わせてテンペスタスは叫んでいた。

「私の――顔を……! よくもォ――ッ!」

 自身を中心軸にして一帯が風の結界に包まれようとする。
 サクラは瞬時にジルの側へと跳躍し、キョウもバックステップで逃れるが、それでも圧倒的な風圧が渦巻いていた。
 結界内が風圧の風で粉微塵に吹き飛び、砂礫が浮かび上がるがそれでさえも砂のように切り裂いていく。

「よくも……やってくれたなァ――ッ! 貴様らァ――ッ!」

 暴風とも言えるほどの風圧が戦場を駆け巡り、僅か数秒で冒険者たちは全身が血まみれになるほどに刻まれた。
 まるでケーキを切るように鋭く、そして流麗に崩れていく戦域でジルは天技:連理LV1を発動していた。
 サクラとの融合――そして二人の絆が重なり合う。

『ここからが私たち二人の本領発揮、だぁっ!』

 一心同体となった二人が駆け抜ける。
 だが、天技の練度に大きな差があるために突破は出来ない。容赦のない辻風が突き抜け、全身に裂傷が刻まれていく。
 満身創痍となりながらも二人は吼える。ただ、一撃を届かせようと。

(せっかくお膳立てしたんだ……。少しはこの状況を打開してみせるぜ)

 キョウが僅かに残された力を振り絞り、銃撃で注意を引いた隙に二人が鋭く踏み込むと、遂にその拳を届かせるに至る。

「がぁ……っ!」

 テンペスタスが苦悶の声を上げて一瞬だけ攻撃が止まる。が、すぐに怒りの眼差しを向けると戦場を駆け巡る烈風の刃でサクラたちを切り刻む。

(なんて威力……これが、四天王テンペスタス……)

 最早、ほとんど戦う力の残されていないサクラとジルは、地面を転がりながら再び二人へと分かれるが、ほぼ同時に周囲一帯を覆っていたテンペスタスの天技による風の結界も消失していた。

「……これ以上は美しく……ない、か」

 冒険者たちを手にかけようとしたテンペスタスは、何かに気付くとその手を止めて風の魔法を編み直し、エアライドLV8によって空を飛び戦線を離脱していく。

「これが四天王の実力ですか……」
「もう、戦えないです……」
「とんでもねぇのがいたもんで……」

 力を使い果たした三人はその場に倒れ込むのであった。
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