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四天王襲来

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四天王襲来
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■エピローグ■


――“北王国”第三の砦

「……行ったか」

 四天王が倒れた仲間を抱えて去っていき、僅かに生き残った配下の軍勢もまたそれを追って砦から離れていく背を見て、ルローニは刀を鞘に納めて深く息を吐く。
 依頼料に見合った仕事を。というルローニの信条から、報酬に見合うだけの――死力を尽くした戦いをしたが、それでもなお仕留め切るには至らなかった。しかし、本来の目的は砦、ひいてはその奥にある王都の防衛である。
 その役目は確かに果たされたといっていいだろう。北王国はおそらく「四天王は冒険者の強さに慄き、尻尾を巻いて逃げ去った。騎士団長ネーベルの出る幕すらなかった」と広く喧伝する事になる。
 冒険者――来訪者の活躍を評価しつつ、それでもなお王国騎士団長はその上にいる、としたいはずだからだ。

「今回の件、助かった」

 戦いを終えた“抜かず”のネーベルがルローニの下へ向かい、そう声を掛けた。
 ここにきて彼女は、東方帝国のヴェックマンの「個人ではない組織としての力の重要さ」を理解した。王国の守護者の象徴となってしまっている以上、敗北はもちろん、今のネーベルには苦戦すらも許されなくなってしまっている。
 確かに、ネーベルが剣を抜き全力を出せばその時点で勝負はついただろう。だが、「あのネーベルに剣を抜かせるほど魔族は強い」という風評が広まれば、民衆の不安はより大きいものとなる。そうなれば、この戦いでの勝敗がどうであろうと北王国の情勢は悪い方へと傾いていたはずだ。
 ひとえに冒険者たちの奮闘があったからこそ、それを未然に防ぐ事ができたのだ。
 冒険者という人種に対して、ある種の敵意に近い感情を持っていたネーベルではあるが、目の前でこうして戦果を見せられれば納得しない訳にはいかず、素直に冒険者たちの実力を素直に認めて感謝を伝える。と、そこに砦の中から一人の人物が現れた。

「おーい!」

 手を振りながらネーベルの下へ駆け寄ってくるその人物は、砦の中で負傷者の治療に当たっていたアキコであった。

「こっちもだいたい片付いたわ。歩ける程度に軽傷だった人は、王都に向かって逃がしたから、あとで彼らのケアをしてあげて。
 それと、動けない重傷患者は今も砦の中で寝かせてあるわ。もう少し治療を続ければ、歩けるようになると思う。意識のない人も次第に目を覚ますでしょうね」
「そうか、治療を続けてくれてありがとう」

 砦二つに近隣の街や村。四天王による被害は甚大だったが、少なくともこの第三の砦まで逃げる事の出来た民間人はその大部分を救う事ができたようだ。
 騎士として国を守る役目を担うネーベルとしても、このことには安堵したらしく珍しく表情を緩める。

「そういう依頼だったんだからお礼なんていらないわよ~。で、も。……どうしてもって言うなら~?」

 アキコの送るねっとりとした視線の意味。それは、「感謝しているのなら、今後優先的に割りのいい仕事を回せ」という事に他ならない。

「……そういうことか。これだから冒険者という存在は度し難い」

 その意味を察したネーベルではあるが、断ることはできない。騎士として、受けた恩義には報いなければならないという気持ちが強いのだろう。
 そんな事には我関せずといった様子でルローニは四天王たちが去っていった方角を未だ見据えていた。
 魔族の中には、まだまだ計り知れない強者がいるのだろう。と。


【四天王襲来 完】


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担当マスターより

▼担当マスター:クリエイティブRPG運営チーム

マスターコメント

『クリエイティブRPG』運営チームです。
「四天王襲来」のリアクションをお届けいたします。

パブリックシナリオは、アクションを投稿しているか、
アクションを投稿していなくても「・アクション投稿しなくても登場を希望」の項目にチェックを入れた場合、基本的にリアクションに登場しています。
基本的にPCは1シーンに登場していますが、シーン分割の関係で数ページに渡って名前がある場合もございますので、リアクションを読み進めてご確認頂ければと思います。

個別コメント、称号が付与されている場合はお知らせがありますので、併せてご確認ください。

▼以下の方に「ギルのスペシャルチケット」を付与させていただきます。
※アイテムはリアクション公開に合わせて付与しております。
※なお、配布は1アカウントにつき1つとなります。


小山田 小太郎(SAM0021218)様
佐門 伽傳(SAM0068289)様
師走 ふわり(SAM0076674)様
草薙 大和(SAM0007867)様
エリカ・クラウンハート(SAM0057001)様
二階堂 壱星(SAM0072859)様
リーフリット・テュルキース(SAM0076325)様
一 政信(SAM0076606)様
他方 優(SAM0000386)様
土方 伊織(SAM0000575)様
ビーシャ・ウォルコット(SAM0001063)様
水元 遥(SAM0001072)様
ジェノ・サリス(SAM0009643)様
八重崎 サクラ(SAM0016245)様
弥久 ウォークス(SAM0032234)様
優・コーデュロイ(SAM0046649)様
焔生 セナリア(SAM0047271)様
紅紫 司(SAM0063149)様
燈音 春奈(SAM0063847)様
朝霧 垂(SAM0071218)様
春夏秋冬 日向(SAM0073155)様


最後に今回のリアクションを執筆したマスター陣からのコメントをお送りします。

【1】:tk
リアクション執筆させていただきました、tkです!
皆様の懸命な救助・警備活動にお力添えできていれば幸いです。

【2】【3】担当:シチミ大使
本シナリオにご参加していただきありがとうございます。
「四天王襲来」の選択肢【2】と【3】を担当したシチミ大使と申します。

襲ってくるホブゴブリンとトロールの悪しき軍勢に対しての緊迫感ある戦闘と、守るべきものを守ると言う確固たる信念。そして強敵である四天王との接戦は書いているこちらも手に汗握るものがあり、勝利を収めた皆様からは緊張感と激戦への強い想いが感じられました。
またご縁がございましたら、その際はよろしくお願いいたします。