クリエイティブRPG

四天王襲来

リアクション公開中!

 129

四天王襲来
リアクション
First Prev  2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12  Next Last

・静謐なる巌、四天王テッラを討て1


 テッラはその巨体で周囲を威圧しつつ冒険者たちを見据えている。
 頑強かつ静かなる面持ちは依然として崩れない。
 柊 恭也は自ら鍛え上げ、鋭さを増したアダマンキャリバーLV11を携えながらテッラと向かい合う。
 パワークロークLV7の筋力増強術式で威力をさらに引き上げれば、テッラの持つ岩塊の体を切り裂くことも不可能ではないだろう。

(さて、四天王とか言いつつ五人、ってのはギャグなのか何なのか。マジに考察すれば歴史にはあるだろうが、それもどうなんだろうな)

 冷静に見極める恭也の近くで、土方 伊織もまた学者としてテッラを観察していた。

(はや~、武器と防具はともに持たないですが、全身にLV8相当の加護があるです。それに、アイアンボディLV10や自己修復LV8はなんとも厄介です~)

 視覚だけに頼らず獣の嗅覚を活かして様子を伺いながらも、リングオブマジックLV1とイーリスローブLV9で魔力を強化しつつブレイズソードLV8で炎の剣を構築する。

(僕は所詮、メイジですから正面からテッラさんの攻撃を受けるのは危険なのです。だからこそ、飛ばせてもらうのですよ)

 伊織の担当は初撃。アヴィエーションLV6で空へと飛び上がると、空中から火炎弾を降り注がせて爆撃を敢行すると、テッラが動き出す前にと魔力活性薬LV2を一気に飲み干し更なる魔法を紡ぎ出す。

「皆さん! 先んじて攻撃させていただくのです!」

 編み出した魔法はタイダルウェイブLV11。活性化させた魔力で威力が引き上げられており、荒れ狂う大波がテッラを飲み込んでいくが、その直前にテッラの岩石の肉体が瞬間的に硬化する。
 アイアンボディLV10による硬化を上回る威力の水流がその躯体を削るが、テッラはその渾名通り、黙したままで耐え切ると周囲の地面を素材として自己修復LV8により己を再生していた。

(はや~……やっぱり簡単には打ち崩せないようなのです……)

 直後、テッラの周囲に広がる地面が陥没し、マッドバインドLV7による泥沼が生み出される。

(はわわっ……危ないのです)

 予め飛翔魔法を使用していなければ、伊織は泥沼に捕らわれテッラの攻撃の餌食となっていただろう。だが、飛んでいる伊織にこの魔法が通じないことはテッラも理解しているはず。
 真の狙いは、泥沼でテッラ自身を囲むことで接近したいだろう冒険者を捕らようといったところか。
 伊織の初撃から続く一連の流れを見ながら、ビーシャ・ウォルコットはテッラの自慢の守りとその徹底したカウンター戦法に感嘆していた。

(麾下には入らず、とは言え対魔王には協力関係であって欲しいんですがね。“黙する巌”の名は伊達ではありませんね。確かに一歩も動いていないその姿……名に恥じぬ、と言った具合でしょうか)

 握りしめたサンダーテールLV9をしならせながら、リングオブスピードLV3で速度を引き上げて戦場を駆ける。

(もしあの沼地に縛られてしまえば、強力な追撃が飛んでくる可能性もありますね。さて、どう攻めましょうか……)

 考えながらもビーシャはフロートジュエルLV3で軽くなった体を更に加速させ、泥沼の縁を駆け回る。
 一方で、水元 遥は重厚なアイアンソードメイスLV6を握り締め、泥沼に怯むことなく前へと躍り出る。

(鉄壁の防御と強大な攻撃力……相手にとって不足なし、よ)

 前に出た遥に対し、テッラはその巨大な拳を打ち下ろして地面を鳴動させるアースクエイクLV10を放った。

(くっ……! これで陣形を崩そうってわけね!)

 遥は予め、ミスリルサーコートLV9で強化されたマテリアルガードLV7の結界を張っていた。しかし、テッラの一撃は泥を巻き上げながら周囲に衝撃を伝播させるほどの威力であり、結界は脆くも砕け散ると遥の全身をも揺るがした。

(やるわね……さぁ、お互いに黙したまま、我慢比べと行きましょうか)

 テッラは人差し指と中指の二本を地面に突き刺し、その衝撃波で遥の足元から尖った岩石の柱を生み出す。
 テッラの放ったオベリスクLV8は泥飛沫を巻き上げ、魔法の気配を察知して遥が展開したホーリーウォールLV10に阻まれる。

(耐え忍ぶ遥の消耗もある。速攻勝負をかけるぞ)

 遥に続き、ジェノ・サリスもアクセラレーターLV7で加速しながら突撃する。リングオブスピードLV3とフロートジュエルLV3で身軽となっているお陰か、泥沼に足を取られつつもなお速く戦場を駆ける。

(一撃目から全霊で行かせてもらうぞ……! その岩に亀裂を与えてやる)

 フィーリアス・ロードアルゼリアによって鍛えられ、ジェノの振るうアダマンキャリバーLV10は切れ味を増しており、一撃ごとに僅かずつテッラの身体を削っていく。
 そしてそのフィーリアスはというと、ディスアピアLV6で存在感を希薄にして隙を伺っていた。

(さて、私の役割は最終盤……この戦局がどう転がるか、ってところですね)

 ライトニングとテッラの戦いを観察眼LV3で分析しつつ、弥久 ウォークスは自分が介入する機を伺っていた。

(奴の利き腕や多用する攻撃を見させてもらおう。……味方が速攻を担当するのならば、より相手の手札が見えてくるはずだからな。後は……アイツは地面から生えて来ているようだな……ともすれば本体は地中か?)

 その隣で弥久 佳宵も、観察眼LV3と獣の嗅覚でテッラの動きを仔細に分析する。

(悔しいですが私の攻撃力ではあまり有効打にはなり得ませんね。ウォークスさんの援護をしつつ、テッラの弱点らしき場所を即座に察知……それが精一杯でしょう。中の人が居るかどうかは分かりませんが、術者が居るのならばそれが弱点となり得るはず。ゴーレムの中か地中に本体が……? あり得ますが、一言も言葉を発しない以上、判断材料にはなりませんか……)

 分析を続けるウォークスと佳宵のすぐそばを恭也が颯爽と駆け抜ける。

「良いね、ジャイアントキリングは戦場の華だ」

 足を絡め取ろうとする泥濘を、リーンフォースLV5による短時間の身体強化で強引に踏み越え、向かうのはテッラの真正面――即ち正攻法での攻略であった。

「悪いがそのデカいだけの図体、削り取らせてもらうぜ」

 アダマンキャリバーLV12を打ち下ろし、剣閃を絶えさせずに幾度も斬り付ける。

(強化が効いている間に狙うのは……そこだ!)

 ダブルスマッシュLV5の二連撃で狙ったのはテッラの足首である。
 テッラは絶えず修復を行っているため、傷も徐々に小さくなっていく。しかし、恭也の痛烈な攻撃が重なれば、巨体も僅かに傾ぎ隙が生まれる。

「密着戦法は嫌いか? 鬱陶しく攻められるのがそもそも嫌そうだな」

 更に間合いを詰めると、ワンインチアタックLV4を岩石そのものであるテッラへと叩きつけ守りの構えを崩す。
 しかし、猛攻は続かない。テッラの反撃の鉄拳が恭也の横腹へと打ち込まれたのだ。
 一撃だけで肉体が激しく軋む。
 さらに両腕を組んで振り下ろすハンマーパンチ――ロックハンマーLV9が続けて放たれ、泥に足を取られた恭也は躱しきることができず咄嗟にアダマンキャリバーLV11を盾として凌ぐ事でダメージは受けなかったが、あまりの衝撃によろめき後退してしまう。

(野郎……ッ!)

 連続攻撃を仕掛けようとするテッラに、伊織が天技:重圧領域LV2を発動させてその動きを止める。

(させませんよ……天技……!)

 超重力がテッラを中心に編まれ、全身に罅を走らせると共に地面へと縫い留めた。

「助かったぜ……!」

 直前でテッラを剣で叩いて伊織の天技の範囲から脱していた恭也は、テッラが膝をついたのを認識すると、伊織の天技が消えると共に再度攻勢を仕掛ける。
 同時に、意を決して泥沼に飛び込んだビーシャが側面から仕掛け、死角に潜り込んでサンダーテールLV9でテッラの腕を絡め取る。

(絡めただけじゃ終わらせませんよ……!)

 鞭を素早く動かしワイヤードプレイLV7でテッラの動きを制限していく。

(肉体に触れているのならば……! 天技、発動!)

 天技:無節操な窃盗LV3によってテッラを守る加護を掠め取り、一時的に脆弱状態に陥れる。
 しかし、追撃を仕掛けるよりも速く、テッラは両腕の拘束を振り払って印を結ぶ。
 ――大技が来る、その予感に遥は職能の守護結界を構築していた。

(絶対に、この好機をやらせはしないわ!)

 魔力ポーション(大瓶)LV2で擦り減る魔力を補給しながら、絶えず向かってくるオベリスクLV8の岩の柱を受け続ける。

(さすがに無傷とはいかないわね……けれど!)

 エクステンシブヒールLV10で自身を中心にして近場の全員の治癒を開始する。

(即座に酷い傷までは治せないけれど……相手が牽制のつもりで撃ってきているこの岩の刃なら、持続回復でまだ耐えられる……!)

 遥の守りに頼りながらジェノはテッラへと接敵を試みる。
 その瞬間、結ばれた印が魔力を帯び、天高く舞い上がったテッラの術式が形を伴わせる。

(……おいおい、随分と豪勢な魔法じゃないか)

 隕石を落下させ周囲を吹き飛ばす魔法であるメテオLV10はこの戦局を終わらせるつもりで撃ったのだろう。
 ジェノはアンティシペイトLV10で見切り回避しようとするが、泥沼のせいで本来の素早さを発揮できない上に、影響範囲が広すぎるためどうやっても回避は間に合わない。
 守りを固め凌ごうとしている遥も耐えきれるかは怪しいだろう。
First Prev  2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12  Next Last