【究極女王戦1】
機晶エネルギーダウンを起こした元凶であるアルティメットクイーン。それが今ステージ上で両手を上げながら立っている。
「さあ、賢明な選択をしてください。これ以上の事はしたくありません」
ここでアルティメットクイーンにシャンバラの王位を渡すわけにはいかない。その為にもここで止めなくてはいけないのだ。
「インプラント……どの辺りにあるのか分かれば狙いやすいのですが――」
松永 焔子がダークラスターキャノンを持ち、アルティメットクイーンを見ながらそう呟く。
光条兵器であれば攻撃をしたい物だけを狙う事が可能だ。ただ、インプラントは体内にあるのは間違いないがアルティメットクイーンの何処にあるかは分からない。
「モーナ様、そちらは頼みましたわ」
「分かってる! 任せて!」
焔子とアルティメットクイーンとの戦いに集中させる為に
モーナ・ブリューゲルは、アルティメットクイーンの近くにいるグランツ教徒へと攻撃を仕掛けていく。
アヴァターラ・ガルガリンを鎧に、アヴァターラ・ビートルアーマーを盾の形状とするとアヴァターラ・デスボックリを展開させる。
「いつでも良いよ!」
「グランツ教など何するものぞ! 私は“十二星華【蟹座】”、義によって世界を脅迫するテロリストを討ちますわ!」
焔子がそう言いながら光条兵器・燦を用いた特殊な光を放つ覇者の光輪で自身を強化させると、ブライドオブニルヴァーナの能力で空中を飛びつつ、小型ミサイルをアルティメットクイーンの周辺に撃ち込んでいく。
それと同時にモーナはゲルバッキーの想霊を召喚させ、ビーム攻撃で周囲のグランツ教を攻撃させる。それに合わせてモーナも兵は神速を貴ぶによる素早い動きで敵へと突っ込む。
「相手はモーナがするからね!」
鎧と盾で防御を固めたモーナはディメンションサイトでその空間認識能力でどの辺りにグランツ教徒がいるかを大まかに把握。焔子の邪魔になりそうな者へと向けてアヴァターラ・デスボックリのビームを広範囲に向けて撃つ。
モーナに攻撃によって上手く攻撃が出来なくなっているグランツ教の者達は突っ込んでいく焔子の相手が出来なくなっていた。
「テロ行為はここで終わりです! 覚悟なさい!」
小型ミサイルでの牽制から高速で空中を移動し、近くにあった柱を蹴って方向転換。もちろん、彼女を狙うようにしてアルティメットクイーンの光条兵器が狙ってくる。
先程までは液体のような物がアルティメットクイーンの手の上で浮いていたが、今は銃の様な形をして遠距離から攻撃をしてくる。
(近づかせないようにするつもりですか……!)
上手く死角に入ることが出来れば1撃入れる事が出来る。焔子は牽制を続けながら、高速移動をし続けてそのチャンスを待つ。
(!? ここですわ!)
アルティメットクイーンがこちらに振り向く事が出来なくなった機会を逃さず、アーツ・アースラによる限られた攻撃の機会を最大化するで一撃を狙う。
両手で持っているダークラスターキャノンを構えると、アルティメットクイーンへと向けてトリガーを引いた。発射された黒いエネルギー光は、アルティメットクイーンに襲い掛かる。
「――そう簡単にはやらせてはくれませんわね」
死角になっている場所から攻撃をされるのであれば、死角になっている場所を守れば良い。アルティメットクイーンは焔子が攻撃してきた部分に盾形状とした兵器を置いていた。しかし、光条兵器で防ぎにくいダークラスターキャノンの攻撃で完全に防ぎ切れてはいない。
このままアルティメットクイーンに主導権を握らせてはいけないと、
小鳥遊 美羽がラスターヘルサイズを構えて間合いを詰めて一閃。
「浅かった……!」
焔子の攻撃に意識が向いている内に1撃を入れたのだが、アルティメットクイーンの光条兵器は不定形でありどんな形にもなる。
死角を守っていた盾の様な形から縦方向に伸ばす事で美羽の攻撃を邪魔するようにしていた。それによって美羽は深く踏み込む事が出来なくなり、一撃をしっかり入れられなかったのだ。
「このままじゃ危な――」
体勢を崩した美羽に向けて、剣の形となったアルティメットクイーンの光条兵器が襲い掛かろうとしている。そこに七色に輝く煌びやかな扇を持つ
ベアトリーチェ・アイブリンガーが割り込んだ。
「美羽さん、大丈夫ですか?」
「うん、ありがとう!」
アルティメットクイーンの攻撃を星扇スピカで防いだベアトリーチェは美羽と一緒に1度距離を取る。
「形の変わる光条兵器は対処が難しいですね」
「でも、すぐに変えたり、複数の人で操っているわけじゃないから、ね?」
美羽の言葉を聞いてベアトリーチェも気付く。
「美羽さんは攻撃にそのまま回ってください」
「うん、守りはお願い!」
美羽とベアトリーチェの姿を見て
高原 瀬蓮も応援している。一緒に戦う事は出来ないが、応援してくれている人がいるのが分かるだけでも元気が出るというもの。
そして、美羽は前に出てラスターヘルサイズを振りながら攻撃をし続け、ベアトリーチェがそれを援護するようにしながら連携して当たっていく。
アルティメットクイーンは1人であり、その光条兵器を操っているのはアルティメットクイーンだけだ。そう考えればマルチタスクで考え続けるのには限界が来る。
アルティメットクイーンと戦っているのは美羽とベアトリーチェだけではない。その為、美羽による治りにくい攻撃はアルティメットクイーンにゆっくりと確実にダメージを与えていく。
その美羽の攻撃を最大限に生かすようにベアトリーチェはアルティメットクイーンからの猛攻を防ぎ、美羽が致命傷を負わないようにする。
そして、美羽とベアトリーチェが1度下がった所に
創世御名 蛇々が突っ込んでくる。
「必ずあんたの攻撃を1発でも入れるのよ!」
「ああ、分かってる」
蛇々はそう言うと後ろから走ってくる
アーリオ・ステュクスとバトンタッチするようにしてその場に留まると、十数基の涅槃子ビームビットを展開させてアルティメットクイーンに撃ち込んでいく。
「チャンスは1回きり、かしらね」
蛇々とアーリオが狙うのは、アーリオによる攻撃を入れる事だ。
機晶姫であるアーリオはアルティメットクイーンによって機晶石を止められてはいない。それに加えて、攻撃を与える事が出来ればインプラントを通じてアルティメットクイーンにダメージを与えられると聞いている。
確実にアルティメットクイーンを弱らせるのであれば、アーリオの攻撃は必要不可欠だ。
しかし、1度でもアーリオの攻撃を受けてしまえば、警戒されてしまう。そうなれば防御を固めた状態から、攻撃を仕掛けられる可能性も考えられた。
決めるのであれば短期決戦。蛇々は真の創世の力を他者の絶望と呼応させると、その闇の魔力を自身に纏わせる。その力は限界を超え、強力な攻撃が可能となるが時間制限がある。
蛇々が準備を行っている間にアーリオは想霊の二郎神君を呼び出し、周囲のグランツ教の相手をしてもらっている間にアルティメットクイーンへ向けて全速力で駆ける。
今アルティメットクイーンを相手にしている者と入れ替わりで入る事で上手く繋げられるかもしれない。蛇々とアーリオどちらもそう考えた。
「ここからが勝負だ……!」
アーリオは真の創世の力を全身に満たすと、ブルーマキシマイズで一時的に身体強化を行う。蒼い光が全身から放たれ、アーリオが駆けたその道に流星の様に残る。
そして、アルティメットクイーンから味方が離れるのを見ると、蛇々は超未来メーザーの引き金を引いた。
凄まじい威力のマイクロ波の攻撃はアルティメットクイーンへと向かって行き、巨大な盾と化した光条兵器へと直撃する。
普通の敵であれば蛇々の攻撃で吹き飛んでしまうだろう。しかし、それを光条兵器を盾にする事で受け止めているアルティメットクイーンは流石と言ってよいだろう。
それでも蛇々の攻撃を受け止める以外の事は出来ていない。アーリオは一気にアルティメットクイーンの懐へと飛び込むと、ブライドオブディザスターで腹部を捕らえた。
アルティメットクイーンはアーリオの攻撃でステージ後方まで吹き飛ばされるが、すっと立ち上がる。
「まだ動けるのか……?」
「見て!」
アーリオは不安に思うが、蛇々がアルティメットクイーンの様子を見て言う。
機晶姫であるアーリオの一撃を食らったアルティメットクイーンが苦しんでいるのが見えた。
インプラントを通じて不快なフィードバックを受け取った為に苦しんでいる。これによってアルティメットクイーンは先ほどまでのような戦いが出来なくなっただろう。