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選択の絆 第3回

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選択の絆 第3回
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【対グランツ教2】


 戴冠式の会場はグランツ教と契約者との戦いになっており、戦えないものは避難が進んできたこともあって残っているのはほぼ戦闘をしている者達だけになっていた。その中でも放送をする為にカメラを向けている人達はいるが、戦いに巻き込まれないような場所にいる。

「――向こうから近づいてくるグランツ教の人たちがいます」
「それじゃ、わたしは向こう行ってくるから、舞花ちゃんはそっちよろしくね!」

 ディメンションサイトを用いて周囲の状況を確認していた邑垣 舞花が一緒にいるノーン・スカイフラワーへとそう言うと、それぞれ分かれて戦う事とした。

「分かりました。よろしくお願いします」
「お願いされたよ!」

 ノーンは元気よくそう言うとアムリアナ女王がいる場所から東方面に来るグランツ教を抑えに走る。
 そして、舞花はアムリアナ女王をちらりと見ると、少し前に話をした事を思い出す。それは、アムリアナ女王への相談であった。

『もし、本当に出来たらでよいのですが――』
『どうしましたか?』
『アルティメットクイーンを下した時に、彼女と話をさせていただきたいのです』

 そう舞花が言うと少し悩んでいる様子が見られた。

『私たちは充分に貴女の課す試練を乗越えて来た、と思うので……そろそろ事情をお話しいただけないかと聞きたいのです』

 アルティメットクイーンにはアルティメットクイーンの事情がある。戦わずに済むのであれば、本当はそれが良い。
 だが、強硬策を取り戦いになった現状ではどうしようもない。それでも、アルティメットクイーンの事情を舞花は聞きたいと思った。

『――それは勝った時に考えましょう。そうでないと約束も出来ません』

 そうアムリアナ女王には言い切られてしまった。確かにまだアルティメットクイーンを止められるかどうか分からない状況だ。
 話をする為にも勝たなければいけない。
 そして、別方面へと向かったノーンは魔法を撃ってきたグランツ教達の間へと入って拳を覆う星神兵装・拳刃を使ってそれを防ぐ。

「女王様の所には行かせないんだから!」

 向かってくるグランツ教の男が魔法を使おうとしているのに気付くが、流石に間に合わない。それによって負傷した味方が出てしまい、すぐにノーンはそちらに向かう。
 先程攻撃してきたグランツ教徒は戦っている契約者が戦闘不能にしてくれたようだ。ノーンはすぐさま我は紡ぐ地の讃頌を使って負傷した者の回復を行う。

「ふぅ……これで大丈夫だよ!」
「あ、ありがとうございます」
「うんうん、それじゃ行こう!」

 ノーンは回復や味方に来た攻撃を防いだりと援護とサポートをしながらグランツ教からの猛攻を凌いでいくのだった。


 契約者でもアルティメットクイーンを倒そうと考えている者がいるように、グランツ教徒もまたアムリアナ女王をここで殺してしまおうと考えている者達がいる。

「女王様はセイニィが守ってくれているから、僕達はそれぞれ前後に分かれよう」

 空音 見透がこの場所にいるレオナイゼ・タクトレーネス吉井 玉子ポーティア・ドロップの3人へとそう言った。

「後ろは味方がいる位置ですから、前衛と後衛――というよりも、周囲にいる人達に危険がないようにした方が良いという事ですね」

 見透の魔鎧「参式」としているポーティアがそう言う。
 ディメンションサイトを使う事で現在いる場所からグランツ教徒がどの辺りで戦っているのかを把握していた。
 そして、今4人がいるのは報道関係者が隠れている場所である。そして、一緒にきていたセイニィ・アルギエバはアムリアナ女王の護衛を任せていた。
 セイニィであれば大丈夫だと報道関係者がいる場所へ来た理由はレオナイゼの提案であった。

「さあ、どうぞ美しいワタクシ――げふん、この戦闘の激しさを映してくださいませ!」
(やっぱりお嬢様が――)
(ここに来たいと言った理由は――)
(テレビに映りたいから、だったんですね)

 見透、玉子、ポーティアの3人はレオナイゼが何を考えているのかにすぐ気付く。
 そして、見透とレオナイゼが前に出て、玉子が後ろで戦うとして動き始めた。

「僕は右に行くから、お嬢様は左をお願い」
「任されましたわ!」

 実質見透はポーティアが魔鎧としているので、2人分だ。そのため、グランツ教徒が1人であればそれ程倒すのは難しくない。
 身体動作の効率化が可能となっているフィジクスアシストユニットを使う事で強化を行い、ポーティアの大鎌舞踏会を用いて、ダークマタースピアを優雅なダンスのように振り回しながら攻撃をしていく。
 そして、全身を光の魔力で包まれたレオナイゼはメガバーストフライの能力で空中を移動をしながらブライドオブカラミティでグランツ教の者を1人、1人と銃撃を行う。
 そのレオナイゼの姿は全身を渦巻く光の魔力と、捻りや回転を入れた自在な飛行による戦闘で特に目立つ戦いを行っている。

(これでワタクシの美しさが世界中に広がり、“美人過ぎる女騎士”などとバズりちらかすに決まっていますわー!)

 報道関係者の近くで戦うという事はカメラに映る可能性が高くなる。そして、レオナイゼはテレビに映りたい。
 さりげなくカメラに移り、そして広がるレオナイゼの美――と考えているが、その策謀は見透達に気付かれている事に本人は気付いていない。

「さあ、ケンスケ行きますわよ!」
「うん、分かったよ」

 レオナイゼがそう言うと、見透はそれに合わせて大量の光条エネルギーを一振りの剣に収束し始める。
 それに気付いた玉子は報道関係者を守るようにしてスペルプリズムを使って、多面体の宝石をばらまいて空中に浮遊させる。

「大丈夫、安心して。あなた達に被害が出ないようにするからね」

 玉子は安心させるように笑顔で言う。そして、見透とレオナイゼのコズミックブライトが放たれ、強力な一撃はグランツ教の者達を吹き飛ばす。

「オーッホッホッホ! 貴方達の勝手はさせませんわよ!」
(お嬢様、ポーズまで取らなくても良いんじゃないかな……)

 グランツ教徒を倒してポーズをとるレオナイゼを見ながら見透は周囲の状況の把握を始める。
 一先ず報道関係者は玉子のお陰で被害が出ることがなかった。しかし、先ほどの攻撃でグランツ教の者達や瓦礫が向かってきており、それをカーバンクルの加護で強化したリヴァイアサンを召喚し、大波で流していった。
「ふふふ、お掃除はメイドのお仕事ですので♪」

 笑顔でそう言う玉子に若干の恐怖を守られている報道関係者。
 前衛で戦う見透と魔鎧となっているポーティアとレオナイゼ。後方で援護や救助などを行う玉子によってこの辺りのグランツ教徒は数を減らしていく。

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