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スクラヴィア

補給基地を破壊せよ!

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補給基地を破壊せよ!
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・ソウト部隊を引きつけよ3

 ウォークスと佳宵のタクティカルストライカーは、味方の特異者たちがソウトたちと戦う戦場に、補給コンテナを投下していく。
 自発的な判断で補給を前線で行えるようにと、後は装甲で覆われているこのコンテナなら、即席の遮蔽物にもなるだろうとの読みだ。
 コンテナを投下した身軽になったウォークスと佳宵は、機体を旋回させしばらくそれぞれの戦況を窺った。

『……乱戦になっているな』
『そのようです。砂漠という立地と、組織的に動くソウトたちの動きに友軍が慣れるまでには、まだしばらく時間が必要そうです』

 冷静に観察したウォークスと佳宵は、立ち上がりは自軍不利と結論付けた。
 取り乱したりはしない。
 地の利は敵にあるのだし、ソウトは砂漠戦に適応した機体だ。
 元より不利な立ち上がりになるのは予想がついていた。
 だからこそ味方も、敵意をコントロールして被害を抑えようとしている。
 そもそも戦闘そのものが陽動なのだから、時間を稼げばそれでいい。
 何なら時間を稼いでいるうちに、現地でソウトたちの動きを学習して反撃に出てもいい。
 歴戦の特異者たちならば、それは決して不可能な手段ではないはずだ。
 とはいえ、ソウトたちのパイロットも木偶ではない。
 明らかに自分たちを陽動しようとしている特異者たちの動きで、その意図に気付く者たちも出るだろう。
 そのタイミングを、どこまで引き延ばせるか。
 作戦の成否を別つものは、おそらくそこにある。


* * *



 戦う特異者たちは、気付けば自分たちのタクティカルジャケットやタクティカルストライカーが己の母艦から引き離されかけているのに気付いた。
 自分たちが基地からソウトたちを引き離したいと思っているように、ソウトたちも母艦から特異者たちのタクティカルジャケットやタクティカルストライカーを引き離したいと思っている。
 何のために?
 当然、母艦を落とすためだ。
 ソウトたちの思惑に、後方で修理に走り回っていたアイディールがいち早く気づく。
 戦闘よりも修理を優先し、味方を探して視野を広く保っていたことが幸いした。
 一斉に駆けてくるソウトたちを見てすぐに秋良に警戒を促しつつ、スレイたちが戻ってくるまでの間に艦の直掩となるべく交戦した。
 ミサイルを放って牽制しつつ、ソウトたちの動きを見てランスを腰だめに構えるのを見るや否や、横っ飛びに機体を滑空させて回避機動を取る。
 寸でのところで銃撃が掠めていった。
 アイディールはミサイルだけでなくイカルスの爪の射出機能も使って不意を突き、奮戦する。
 事態に気付いた綾瀬が歌で味方の機動力を上昇させ、駆けつけるまでの時間を短縮する。

『味方艦が襲われていますわ! 皆様援護を!』

 狙われて続けているのは優のスカイフォートレスも同じことなので、綾瀬も同乗している以上、同様の危険に晒されている。
 優と綾瀬の護衛は、甲板にいるマグナのタクティカルジャケットが行った。

『しっかり、守ります』

 戦術データリンクを構築し、敵味方が入り乱れる乱戦の状況下でも誤射が起きないように取り計らい、狙撃を続行する。
 正確無比な狙いに危機感を感じたか、ソウトたちは敵意をマグナのタクティカルジャケットへ向けた。
 優のスカイフォートレスそのものを狙うのではなく、さらに狙いを絞ってその甲板に固定されたマグナのタクティカルジャケットを標的にした。
 重装甲のタクティカルジャケットなので、マグナ機を落とし切るのには、イカルス弾であってもそれなりの時間がかかる。
 時間稼ぎにはなるだろう。
 その時間を活かし、すぐに垂のタクティカルストライカーが向かい、戦うアイディールに加勢した。

『助けに来たぜ!』

 垂のタクティカルストライカーは、アイディールのタクティカルストライカーを追い回すソウトの頭上から急降下し、イカルスの爪を振るい切り裂くと急上昇する。
 ソウトたちの銃撃は垂のタクティカルストライカーを捉えきれず、何もない空間を貫いていった。
 なおもソウトたちは銃撃を続けるが、急降下攻撃を繰り返す垂のタクティカルストライカーを捉えきれない。
 ならばとばかりにランスを構え、垂の攻撃の瞬間にランスによる刺突や振り回しの殴打を合わせようとするが、動きを読んだ垂に攻撃をすかされ、ランスを握る手を掴まれ投げ飛ばされた。
 救援を受けたことでアイディールにも余裕が戻り、垂と力を合わせ、二機のタクティカルストライカーはソウトたちを蹴散らしていく。
 空を舞うタクティカルストライカーに対し、ソウトたちも遠くから銃撃したり、跳躍してランスを突き立てようとするが、垂とアイディールの連携に阻まれ、効果的な攻撃にはならない。
 さらに、遠くから不意討ち気味にソウトたちには狙撃が飛んでくる。
 言うまでもなく、優のスカイフォートレスの甲板から放たれる、マグナの援護射撃だ。
 狙撃手として視界を広く保つマグナは、どのタイミングでどの敵を狙うべきか的確に判断し、効果的な一手を打ち続ける。
 戦場には、綾瀬の歌が響き渡り、戦う特異者たちの機動力を高めている。
 歌をソウトたちが止めたいと思っていても、そのためには優のスカイフォートレスを落とさねばならず、そのスカイフォートレスはマグナのタクティカルジャケットが守っているのでまずはそれから排除する必要がある。
 踏まなければならない段階が多過ぎて、ソウトたちが手を綾瀬に届かせるには、時間が無さ過ぎた。
 結局マグナの機体を落とし切る前に、秋良のスカイフォートレスを巡る攻防を制した垂とアイディールが、今度は優のスカイフォートレスを守るのと、損傷した機体を修理するためにやってきて、こちらもソウトたちはそれ以上の攻撃を諦めて後退し、仕切り直した。


* * *



 修理と補給に動き回るウォークスと佳宵や、損害を受けた特異者を逃がし、誘導する文典の動き。
 それらは、ソウトたちにとって相当に目障りだったのだろう。
 三人が帰投していたタイミングで、風花と玲央のスカイフォートレスはソウトたちの強襲を受けた。
 ソウトたちは包囲を試み、その機動性を活かして展開しようとしている。
 急いで出撃したウォークスと佳宵のタクティカルストライカーが、その動きを邪魔するべく交戦を開始した。
 ウォークスのタクティカルストライカーからイオンのグレネード弾が発射され、ソウトたちの間で爆発を起こす。
 ミサイルも放たれ、飛来して爆発した。
 それらの煙の中から風を切り裂いて現れた佳宵のタクティカルストライカーが、イカルス弾をばらまきながらソウトたちを空中で追いかけ回す。
 機動力を活かして、ソウトたちは引き撃ちでウォークスと佳宵の攻撃に対処しようとした。

『そこよ!』

 風花のスカイフォートレスから立て続けにミサイルが放たれ、無数の小型ミサイルに分裂して横から殴りつけるようにソウトたちを襲撃した。
 歌で味方の機動力を上げつつ、援護する風花は、効果的な一手を打ち、ウォークスと佳宵の攻撃に加勢して威力を補っている。
 玲央のスカイフォートレスへの攻撃に対して盾になれるよう、ソウトたちを意識して位置取りしておくのも忘れない。

『再出撃の準備が整った。出るよ』

 格納庫から飛び出していった文典のタクティカルストライカーが、ウォークスと佳宵の戦いに加勢した。
 イカルス弾で弾幕を張り、ソウトたちのランスによる突撃を牽制する。
 弾幕を迂回しつつ、ソウトたちは銃撃してイカルス弾を撃ち返してきた。

『攻撃に加わります』

 玲央も己のスカイフォートレスの砲撃で弾幕を分厚くし、ソウトたちを弾の物量で押し潰そうとする。
 しかしソウトたちは機動力で正面火力との激突を避け、巧みに側面を突いてくる。
 文典や玲央も都度対応して狙いを変えるものの、その度に動かれ後手を踏まされている。
 反撃として撃たれる銃撃は、文典のスカイフォートレスはともかく、玲央のスカイフォートレスだと全て避けるというのは難しく、被弾が増えていく。

『やるべきことをやるだけだよ』

 飛び回って玲央のスカイフォートレスの損害箇所を修理する、博人のタクティカルストライカーが、味方を支えた。
 イオンバッテリーと同じように、イカルスバッテリーも補充が可能なようなので、そこは助かるところだった。


* * *



 時間が経つにつれ、ソウトたちの狙いは各所にばらけていった。
 纏まって集団で動いていたソウトたちは、いくつもの小集団に細かく別れ、各自が独自に攻撃目標を選択して行動を始める。
 こうなれば当然、チアキのスカイフォートレスを狙ってくるソウトたちも現れてくる。
 衛司とブリギットの出番となった。
 タクティカルジャケットタクティカルストライカーは動きを合わせ、衛司機がグレネード弾を囮に放ち、敵の注意を引いたところで本命に、ブリギットがバズーカ砲で砲撃するという二段構えの作戦を取り、確実にソウトたちに攻撃を当てていった。
 ブリギットのタクティカルジャケットが狙われないように、衛司のタクティカルストライカーは積極的に空を飛び回り、グレネードをばらまいてソウトの注意を引いていく。
 歌のような力はないが、少しでもブリギットの被害を減らせればそれでいい。
 跳躍して襲いかかろうとしたソウトの一機に銃弾が突き刺さり、勢い余って轟音と共にその機体を勢いよく吹き飛ばす。
 対物ライフルによる狙撃だ。
 弾丸が飛んできた方角に目を向ければ、そこには舞花のタクティカルジャケットの姿があった。
 狙撃を行った舞花のタクティカルジャケットは、すぐに場所を変えるため移動を始める。
 他のソウトたちが放ったであろうイカルス弾が、機体を掠めていった。

『……っ。大丈夫なはずです。この距離なら』

 反射的に回避した舞花は、ソウトたちの反応の良さに警戒心を強めつつも、冷静に次の狙撃場所に到着し、もう狙われていないことを確認して機体を伏せさせると、再度狙撃を敢行する。
 すぐに身を起こしてタクティカルジャケットを移動させ、移動射撃でソウトたちと撃ち合いつつ、次の狙撃場所を目指した。


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