救出ロリ魔王 1
「砂漠に浮かび上がった、創世の時代に存在した都か……魔族の攻撃によって滅びたなら、魔族に抗う遺志は残っているのかもしれんな」
佐門 伽傳がそう呟いている間にアンデッド1~3体をブラッドブレードLV6で正面から斬り伏せていく
ウィン・チェスター。
3体以上に囲まれた際にはバードライムトラップLV3を使いアンデッド達に向けて粘着物質を散布し動きを鈍らせ、すかさずフレイムウォールLV2を使い弓矢兵の弓矢事を防ぐとまとめて火葬していく。
ミイラであっても弱点は光属性。
燃え尽きたとしても遺体は残っている。
そのため倒したところから復活してしまうのでやはり光属性による浄化でしか無力化するのは難しいようだ。
『ぎゃあぁぁぁぁ! 近寄るでないわ! 我を誰だと思っておる!』
「はて、ここは砂漠から突然出現した都市のはずだが、何かこう……風の声で感じるこれは、助けを求める声か? 声質としては幼い少女のような? いや、なんだか怒気を含んでいるようにも思える……しかし確かに誰かがいるかもしれんな」
「なんと! それはこうしてはおりますまい行くぞ伽傳殿!」
伽傳の風の声に聴こえてきた内容に即座に反応して全力でダッシュするウィン。
伽傳も誰かがいるかもしれないなら、行かないわけにはいかないだろう。
目に入って来たのは幼気な幼女がわらわらと群がるアンデッドに襲われている状況だった。
涙目で逃げ惑う幼女に心を打たれたウィンは助太刀すべくブラッドブレードLV6で斬り伏せると幼女を抱え上げて後方に離れていく。
さり気なく救助と称して、幼女の未成熟な身体を触りまくるのは幸せだった。
反対に伽傳がアンデッドに襲われている憐れな幼女ともなれば、助けとなるに躊躇う理由もない。
「おお! 我を助けてくれるのか! って、ベタベタと触るでない!」
「細かい話は後でいいから、黙って大人に助けられているが良い!」
「そうですぞ。このすべすべとした肌、褐色の健康そうな見た目、涙目ではありますが大きな瞳、全てが完璧ではありませぬか!」
「そ、そうか! ふふんっもっと褒めてもいいのだぞ? いやもっと褒めろ」
先程まで嫌がっていたというのに、褒め称えられれば調子に乗って幼女が無い胸を張ってウィンに要求する。
流れるように、ウィンは吟遊詩人のように幼女を褒め称えていく中、伽傳は物理にも魔法にも高い耐性のあるアダマンクロークLV5とマテリアルガードLV6の物理攻撃全般に対する防御結界を頼りに戦っていく。
「アンデッドには光属性というのが相場だが、やってみるか」
リングオブスピードLV3による敏捷性の強化に天技:【パスカライズ】Lv1で気圧を操作することで一定範囲に強い風を起こし、更に移動速度を上げるとアイアンメイスLV6の素振りの速さを上昇させ、力強い打撃を叩きこむ。
アンデッドの剣士の剣Lv5をウェポンカウンターLV2で受け流し、グリントオブライトLV6の閃光による範囲攻撃で浄化させる。
体力ポーションLV1で回復しながら体力の続く限い続ける。
「死体を操っているのか自発的に動いているのかは知らんが、彼らの人生と言う勤務時間は終了してるんだ。サービス残業なんて上司(ネクロマンサーとか)が認めても女神と俺が許さん!」
弥久 ウォークスはミスリルシールドLV4とアダマンメイルLV5も有るので相手が群れでも臆さずに進み、スターフレイルLV4で打撃主体のスマッシュLV1でアンデッドを倒していく。
「むむむ、近傍のアンデッドの腐臭の先頭にて獣の嗅覚に香るは、汗にまみれた半裸の少女の匂い! ニチャッとした表情の大人に追われるとはさぞかし怖い思いをしているだろう、ここは善良なおじさんたる俺が助けに行かねば!」
アクセラレートLV7で駆け付けて、天技:【コブルシールド】Lv2で任意の場所に弾性を自由に設定できる半透明なラウンドシールドを二枚展開。
「ん? こんな所に少々アレな恰好の子が………今助けるぞ!」
マグメルのアンデッドが頭を破壊しただけで死んでくれるのか知らないので、例え頭が無くなっていても最初は油断しないでおく。
群れてきてしまったらアクセラレートLV7で高速後退して、死体が多い場所まで戻って、そこでメガブレイクLV5を叩きこむ。
それでも光属性ではない物理攻撃では倒したところから復活してしまう。
天技:【コブルシールド】Lv2で足止めをしつつ、幼女を褒め称えていたウィンをどかして角有り半裸の幼女を抱えてさらにその場を離れる。
「おお! 誘導してくれるのか!」
「これで汗を拭うといい。あとこれでも飲むか?」
そしてウォークスのまだ綺麗なバスタオルサイズの手拭いと魔力ポーションLV1(林檎味)【魔力ポーションLV1】を渡してみる。
半裸な幼女の姿はおそらくアンデッドに上着を掴まれて破れ脱げてしまったのだろう。
「これで体を隠すと良い。連れが居るのなら一緒に探したりするが?」
「ああ、あの耳長男か。フン、あんな裏切り者、帰って来たらメッタメタにしてやる! 我をあんな場所に放置してさっさと逃げ出しおって!!」
「こんな幼気な少女をこんな場所に捨て置いたのか?」
「そうなのじゃ! 酷いであろう!? ……ぷはっ美味いな! コイツは!」
捨て置いたブラントンに恨み辛みから焼け飲みするように魔力ポーションLV1(林檎味)をごくごく飲んでいく。
ウォークスがちゃんと手を洗った手で握り潰したリンゴ果汁がポーションに混ぜられているが工程を知らなければ普通に美味しいポーションだ。
「それは酷いな。あ、そのバスタオルはそのまま包まっているといい。これで隠れるからな」
「じゃろう!? あ、この大きさならばマントのように使えるな!」
「いや、肌はしっかりと隠しておく方がいい。どこに変態がいるか分からないからな」
自分のことを棚に上げウォークスは幼女に注意喚起をしておく。
よく分かってないがバスタオルに包まってちょこんと座る幼女は可愛かった。
「ところでキミの名前は?」
「ん? 我か? 我はな! マオ―――ぎゃんっ」
名乗り上げるために立ち上がった幼女だったが砂に足を取られ顔面から砂地に落ちた。
「だ、大丈夫か? だが、マオと言うのか。よろしくな」
「違……ペッペ! 口の中がジャリジャリじゃ……」
「大丈夫か? ほら、口を濯いでしまいな」
「そうするのじゃ……」
魔王と言い切れなかったために
マオとなってしまった悲しき自称魔王は魔力ポーションLV1(林檎味)で口を濯いでいった……。