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ヒロイックソングス!

カオスな挟み撃ち

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カオスな挟み撃ち
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■「危険集団のフェスタが、正義をかたるな」


 ソイルウォールの土壁が消失した辺りに、スピーカーで形成されたやぐら――望月神楽城塞が組み上がり、『ヒロイックソングス!~Remix~』が響き出した。
 城塞の中には、ルーメン・ルーナエを演奏する青井 竜一。いっぽう城塞の上に佇むのはレイリ・フレスティーナだ。
「アイドルとして学び成長してきた場所――フェスタを守りたい」
 レイリはオープンスカイで飛翔した。

「耳心地のよい音楽で油断させ取り込むのは、貴様らの常套手段なのだろう?」
 祥太郎はサポメン部隊と共に、城塞も竜一もレイリも校舎も構わず発砲を開始。
 竜一はすかさずブルーミングネイブを放ち、色とりどりの無数の花びらで彼らの銃撃を阻害した。
「援護は任せろ。君ならアイドルとしての戦いもできる!」
 ♪~
 飛翔するレイリの上に、紙吹雪が舞い落ちてきた。
 これは竜一が奏でる『ヒロイックソングス!~Remix~』の曲の力。触れれば傷を癒やす力になることを、もちろんレイリは知っている。
「さすが竜一さん……」
(竜一さんからの援護があるから、心を無防備にしても不安はない)
 飛翔しながら城塞を見下ろし、レイリはオープンクライマックス。無防備になることと引き換えに、自身の攻撃力を引きあげた。

 奏でながら竜一は、ミッドナイトマリンを展開。
「く……苦しい」
「暗くて何も見えない」
 屈強なサポメン部隊が、苦しみ出す。
「騙されるな、ただの術だ」
 祥太郎がサポメン部隊の頭をぽんぽん叩いていくと、皆、ハッと我に返った。
「ならばこれはどうだ!」
 竜一はストームストリームを巻き起こし、彼らの上に雷を落とす。
 祥太郎は銃撃でこれを無効化し、サポメン部隊に至っては真正面から雷を受けてもまったく動じず、平気な顔をしている。
「あのやぐらから破壊しろ」
「了解!」
 全員が一斉に竜一のいる望月神楽城塞を狙い撃ち。
「竜一さん……!」
 上空にいたレイリがナーバス・シェードの闇で彼らを包むが、
「無駄なあがきだ。僕には全部、見えている」
 祥太郎がこれを銃撃。瞬く間に闇は破壊されていく。
 
 その時、銃撃に耐えかねた望月神楽城塞が崩れかかった。
「おっと危ない」
 竜一は瞬時にサザンクロスの導きを発動。十字状の光の道に飛び乗り、駆け抜け、望月神楽城塞を脱出。無事地上に着地した。
 さらに祥太郎達を巻き込むべく、今駆けてきた光の道を崩れゆく望月神楽城塞に投げつけ、ド派手に崩壊させた。
「一気に行く」
 これを見届けたレイリは、クールな表情で熱く囁き、ブレイジングチェンジの炎に包まれる。
 同じく竜一もこの炎に包まれ、2人は炎の渦を巻き上げると、この爆風を利用した2連続攻撃を繰り出した。そして――

「うぅっ……」
 怒涛の攻撃を終えた竜一とレイリの足元には、頬に0002と記されたサポメンが倒れている。
「0002!」
 仲間のサポメン達が声を上げるが、祥太郎は眉一つ動かさず成り行きを見守っている。
「あとで復活させてくれますよね?」
 消えかかる0002が必死の声をあげた。
「お前は集合時間にいつも遅れていたからな。二度と遅刻しないなら考えてやろう」
 冷たく言い捨てると、消失する0002に背を向け、祥太郎は歩き出した。
 
「私、戦い抜けた。ありがとう、竜一さん」
「どこも怪我はないようだな」
 淡い笑みを交えた2人は、0002が消失した地面を見下ろした。
「それにしても琴切 祥太郎、徹底しているな」
 竜一は、去っていく祥太郎を苦々しい顔で見送った。
 
 不意に、周囲がナーバス・シェードの暗闇に包まれた。
「まだフェスタの危険アイドルが潜んでいるのか。だが、僕にはこの暗闇は通用しない」
 祥太郎はナーバス・シェードを猛烈に銃撃、破壊しにかかる。
 ……が、暗闇が破壊されるより早く、ブレイジングチェンジの勢いに乗った睡蓮寺 陽介が、激しい風と地鳴り、揺れを巻き起こしつつ剣(とこしえの月桂)で一気に切り込んだ。
「祥太郎、お前の正義も間違いじゃねぇだろうがよ、俺は聞き分けがよくねぇんだ。大事なモン護るのに力を使うのに躊躇はねぇ……護るぜ、フェスタを!!」
「なんという……危険な思想だ」
 祥太郎が青ざめた。
「ああそうかい! 危険は危険らしく、暴れまわるとしますかね!」
 陽介は豪快に笑うと、信念の光刃で自衛しながら剣(とこしえの月桂)を振りかざした。
 その時――
 周囲は再びナーバス・シェードの暗闇に包まれた。
「まだアイドルがいるのか」
「この程度でうろたえるな」
 祥太郎は何らかの威力をこめた銃弾を放ち、強烈な一撃でナーバス・シェードの闇を晴らす。
 闇は晴れ、彼らの目の前には堀田 小十郎が静かに佇んでいる。
「己の力の二面性はとっくに承知している。これに迷う段階はとうに過ぎているよ」
 小太郎は信念の光刃で自身を護りながら、水の刀身を持つアクアヴェインを構えた。
 
「良き行いに扱うとう想いと自制心、その心の機微にこそ正義はある」

「危険集団のフェスタが、正義をかたるな」
 祥太郎とサポメン部隊が激しい発砲を開始すると、遠巻きに様子を見ていた小山田 小太郎がグリッターリフレクション。大勢の分身が、リアルの小太郎とまったく同じ動きながらも、実態をもった姿で彼らに襲いかかった。
「アイドルの力は危険――その側面が全くないとは言えません。それでも……アイドルの力は人々の心を癒し、支え、護るものだと自分は思います」

「見ろ、あそこにも誰かいる!」
 サポメン部隊の1人が、数メートル先を指さした。そこには数々のスピーカーで形成された望月神楽城塞が組み上げられている。
 すかさず陽介が、望月神楽城塞の前に桜の木召喚。現れた満開の桜は、いっときの盾と目隠しがわりになった。 
 仲間から離れ、ひとり望月神楽城塞の上に立っているのは、睡蓮寺 小夜だった。
「十くんや小太郎さんが言う想いも……兄さんが貫く熱意も、どっちも、大切な在り方だと思う……。きっと、やり方が過激なだけで琴切さんという方も、大事な想いなんだ」
(でも………それで、誰かが傷ついてしまうのは、とても悲しいから……)
 小夜は城塞の上から『水たまりも気にせずに』を歌う。この歌は、戦う仲間を奮い立たせる力を秘めている。さらに歌いながらの閃光キラーチューン。小十郎達の回復と戦闘意欲の維持を手伝っていく。
 
「小夜! あたしのSAKURAちゃんも共演させて!」
 オルタードが桜の前に駆けつけ、乙女型ロボSAKURAちゃんを創り上げた。
 SAKURAちゃんは春風と桜の花びら撒き散らしながら、キュートに歌い踊り、小夜の歌を盛り上げた。
「小十郎達のかわりに、ここで小夜を守る」
 シロは大きな剣を担いでその場に居座り、護衛を始めた。
「オルタードさん、シロ君、ありがとう」
 そして小夜は、思いを込めて歌いつ続ける。
「みんな……どうか、気をつけて。怪我しちゃ、いやですよ……?」
 
 近接攻撃の小十郎と遊撃の陽介、そして遠距離攻撃の小太郎――3人がそれぞれの役割を果たすこの技は『三位一体之演』。
 流れるような連携で挑み続けた後、小十郎は格好のチャンスを手に入れ、祥太郎に急接近。アクアヴェインを一気に振り下ろした。
「0005」
 小十郎の動きを読んでいたかのように、祥太郎がつぶやくと、
「はっ!」
 頬に0005と記したサポメンが、なんの躊躇もなく祥太郎の身代わりに躍り出た。
 アクアヴェインの一刀両断を浴びた0005は、水しぶきと共に消失していった。
「優秀で従順な0005。お前は必ず復活させよう」
 祥太郎はカオティックホールを見上げ、囁いた。
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