プロローグ
――宿場町ランツバウム郊外
(私はあなたと肩を並べて戦うことが出来るだろうか)
ユーフォリアは
宿場町ランツバウムを臨む場所で、
シルヴィヤンカの背中を見ながら想いを馳せていた。
流刑の間、シルヴィヤンカを轡を並べられるよう自身を鍛えてきたつもりだ。
流刑地である
ケファリニア島を所有する
ラドリオ商会のお陰で、剣技だけではなく、軍略もある学ぶことが出来た。
シルヴィヤンカや
『紅玉団』が再び現れるとは限らないし、流刑の身のまま一生を終えるかもしれない。
全て無駄になるかもしれない中、しかし、ユーフォリアには「シルヴィヤンカともう一度会えるかもしれない」といった予感めいたものがあった。
そしてそれは今、現実のものとなった。
ユーフォリアの前に再びシルヴィヤンカと紅玉団が現れ、
『太陽帝国解放軍』と共に戦ってくれるという。
兵たちの前でみっともない姿を晒してしまったので、シルヴィヤンカに叱咤されてしまったが、彼女はシルヴィヤンカと再会した際、感情がこらえきれずこみあげてくる感涙を止めることが出来なかった。
自分の予感めいたものは合っていたし、流刑の間鍛えてきたことは無駄ではなかった。
「ユーフォリア様、アクセル殿、傭兵たちや私や紅玉団がいるからといって油断なさらぬよう。お二人は太陽帝国解放軍の中核を担う存在なのですから」
ユーフォリアの想いを知ってかは分からないが、馬上のシルヴィヤンカが彼女とアクセルに声を掛けて来た。
そうだ。今のユーフォリアは太陽帝国解放軍の中核を担う一人であり、倒れてはいけない存在である。
「ありがとうございます、シルヴィヤンカ」
ユーフォリアは両頬を張って気合を入れると、改めてランツバウムを見るのだった。
目次
プロローグ
【1】マリレーヌと共にデメトリアス城塞を防衛する
1.偽りの商隊
2.静かなる城塞
3.城塞防衛戦(1)
4.城塞防衛戦(2)
5.城塞防衛戦(3)
【2】モニカ・ガトーと共にイヨールを制圧する
1.輸送部隊を狙え
2.仮面の剣士
3.森の中の死闘(1)
4.森の中の死闘(2)
5.森の中の死闘(3)
【3】ユーフォリアとランツバウムに侵攻する
1.狙われた宿場町
2.決行(1)
3.決行(2)
4.城門攻略戦(1)
5.城門攻略戦(2)
エピローグ