■プロローグ■
――ウェール教国、教皇庁。
「アルビオン、ルーベル、フラウム、ウィリディア、カエルレウス……」
“七聖女”ルシエラは、神機の原型機となる「七色」の格納庫に足を運んでいた。
稼働中の機体はアルビオンとルーベル。
適合者待ちがフラウム、ウィリディア、カエルレウス。
そして魔王祭以後、沈黙を保ち続ける二機は……ここにはない。
「最近よく来るわね、ルシエラ。七色が全て揃っているところ、そんなに見たいの?」
七色の黄――フラウムの前に、翼を持つ女性の姿があった。
彼女も七聖女の一人であり、現在はこの格納庫の管理をしている。
「はい。私は“預言の時”は近いと信じております。
リゼリア様は、違うのですか?」
「様はいらないわ。リゼでいいわよ、同じ七聖女なんだから。
『一と六が集いし時、虹の輝きが闇を祓い“永遠”を終わらせるであろう』
要約すると、こうだったわね。
あなたはこれを、七色が全て稼働すればアルファオメガを倒せると解釈してるのね」
ルシエラは頷いた。
七色は輝神オータスの力を宿すための器。
全てが稼働した時“神”が現界し、不死なる魔王たちを魔神の呪縛から解き放つだろう、と。
「でも、分かってるでしょう?
魔王祭では七機全てが稼働していたのに魔王は滅ぼせず、アルファオメガは自我を失い、災厄と成り果てた。
七色だけでは足りないのよ」
「リゼの仰る通りです。一と六。七ではなく、そう記されていることの意味。
それを読み解く必要があります」
白く輝くアルビオンを見上げ、ルシエラは呟いた。
「心に色を。世界に彩(いろどり)を。
この美しくも救いのない世界に、せめて魂の安らぎのあらんことを」
■目次■
プロローグ・目次
【1】“堕とし子”の群れ
【1】神機での戦い方
【1】レオとの共闘
【1】ウェール騎士団との共闘
【1】アストと学び
【1】凪が近い
【1】殲滅
【2】魔族の調査1
【2】魔族の調査2
【2】魔族の調査3
【2】魔族の調査4
【2】魔族の調査5
【2】魔族の調査6
【2】魔族の調査7
【2】魔族の調査8
【3】アルトルーク観光1
【3】アルトルーク観光2
【3】アルトルーク観光3
【3】アルトルーク観光4
【3】アルトルーク観光5
エピローグ