■プロローグ■
──ユニウスの街の北の遺跡前
鐵皇国の客将
紀乃 刀児と、ルミナス王朝の客将
ルゥは、遺跡の合同調査の前に装備の最終確認をしていた。
刀児が腰に佩いて素振りをしている穢土刀は、彼女が穢土で愛用していた刀をジーランディアでも使用できるよう、鐵皇国の覇道家直属の巫女兼刀匠の
兼武 結咲にジーランディア用に打ち直してもらったものだ。
「ビームやレーザーも切れ味はいいが、やはりの刀はこの重さが無ければな」
「分かるぜ。手ごたえがないとだよな!」
そういうルゥもユーラメリカで着用していた戦闘員の戦闘服とナックルを、こちらもルミナス王朝の司祭
ソラン・ラッグスに、ジーランディア用に仕立て直してもらっている。
不意に刀児は空を見上げていた。
「どうした珍しい鳥か蝶々でも飛んでいたか?」
「いや、その逆だ。
ジーランディアに来て以降、野生生物を見たことがなくてな」
「言われてみればそうだな」
鐵皇国にもルミナス王朝にも、それぞれの街にはジーランディアに転移した時に一緒に転移してきた家畜がいるが、一歩街を出た荒野では、刀児が言うように鳥一羽、野良猫一匹見掛けることはない。
「そう考えると随分と寂しいところだよなぁ。デルタシティだって野良猫や野良犬は普通にいたぜ」
「穢土と違い
穢魔(えま)……魔物がいないのはありがたいがな。野盗は“はぐれソルジャー”がいるから変わらんが」
「モンスターすらいない世界、複製した機動兵器の世界か……まぁ、考えるのはお偉いさんに仕事だ。俺たちは俺たちの仕事をしようぜ」
少し感傷的になった刀児とルゥだったが、目的は目の前の遺跡の調査だ。
二人とも気持ちを切り替えると、集まった特異者たちと共に遺跡へと乗り込むのだった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】ユニウスの街の北の遺跡を調査する(皇国・王朝)
・対峙、砂塵の守護者
・打ち倒せ、極寒の守護者
・蝕む花弁の守護者を超えろ
・劫火、灼熱の守護者を叩け
【2】海底の補給路を破壊する(連盟)
海底の補給路を破壊せよ! 1
海底の補給路を破壊せよ! 2
マンジェリカとの邂逅
エピローグ