■プロローグ■
――エヴァーライト某所、リライズサバイバル開始から40分経過。
「なに、何事も試してみなければ始まらないよ
それにもう仕掛けも終わるころだ」
楽し気な声色、しかし、なぜか聞く者の心を落ち着かせるような不思議な声。
この声は部屋に設置されたディスクから流れている。
それを聞くのは”仮面の男”だ。
「……私にはあのような狂った道化を信用できません。
それにあんな紛い物が代用品になるとはとても」
「アハハハ!」
”声の男”は何が面白いのか、急に笑い出した。
”仮面の男”はその理由が分からず、困惑しているようだ。
唇を歪めている。
「いや、すまない。
でもまあ仲間を”狂った”などと悪く言うものではない。
君は裏切りを危惧しているのかな?
だけど、彼の動機は明確だ。
こちらが望む環境を与えてやれば裏切ることはまずないだろう」
”声の男”は軽い調子でそう述べた。
”仮面の男”の耳には
まるで裏切られたらそれはそれで構わない、
そんなニュアンスが込められているように聞こえた。
「ああ。どうやら終わったようだ。
残念ながら、失敗したらしい。
仮想空間がクラッシュした。
まあ、そうそう上手くはいかないな。
こちらの線は成功すれば儲けもの、という程度のものだからね」
失敗、そう聞いても”仮面の男”は何の感情も湧かなかった。
当然の結果だ。
アレの行いはあくまで主の酔狂な好奇心を満たす余興に過ぎない。
本命は自分の計画だ。
「私は私のほうの計画を進めます。
あの女の居場所が見つかるのも時間の問題でしょう」
「ああ、頼む。
君には期待しているよ、ネビュラ。
さて私は彼のフォローをしにいくよ」
そうして通信は終了した。
■目次■
1ページ プロローグ
2ページ 【1】リライズサバイバル1
3ページ 【1】リライズサバイバル2
4ページ 【1】リライズサバイバル3
5ページ 【1】リライズサバイバル4
6ページ 【1】リライズサバイバル5
7ページ 【2】第1戦目と第2戦目
8ページ 【2】第3戦目と第4戦目
9ページ 【2】第5戦目と第6戦目
10ページ 【2】第7戦目と第8戦目
11ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス1
12ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス2
13ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス3
14ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス4
15ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス5
16ページ 【3】レイドバトル――ボトムダイダロス6
17ページ エピローグ