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反撃の狼煙!

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反撃の狼煙!
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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・燃え盛る街を背に

 亜莉沙は「カリバーンⅢ(王朝)」のソナー機能で敵の識別を行っていた。
「やっぱりガドラスガードの機体は反応がないわね。シレーネさん、手はず通りに」
 エオリアも「迅雷の守護者エムロード(王朝)」に搭乗し、「夜間迷彩」を施した機体で出撃する。
 シレーネは「バーンアップ」で防御力を引き上げて守りを固めていた。
「囮役って奴をこなしてみせるよー。ほら、狙ってきなよ」
 「ホーリーライト」で敵の気を引き、「重圧」で殺気を放出して囮役として前に出る。
 思惑通り、追従してきたクルースニクへと「コンバットヤード」を駆使し、周囲の地面をぬかるみと化す。
 体勢を崩した敵機を蒲桃の艦より出撃した蕃茄は「ウィンドマント」で飛翔し、乗り込んだ「シュヴァリエ・スナイパー」の武装を掲げる。
「考えてみれば防衛ばかりで、他の都市に攻め込むのは初めてですかね? しかも夜戦で工業地帯とは視界が悪い。土地勘もないことだし、注意していきましょう。まずは一機……!」
 「夜間迷彩」に紛れた機体が「イエロースピネルボウ」の矢を番え、「マジックソード」を付与した連射が突き刺さる。
 建物の陰に隠れてやり過ごそうとした敵機には「アローレイン」を発動させ、建物越しに相手を撃墜する。
「このまま……闇夜に紛れて……」
 しかし敵の包囲網もそれなりだ。
 出会い頭のクルースニク相手に、逃げられないと判じた蕃茄は「プッシュプル」で敵機のバランスを崩し、「ダイヤモンドソード」を武装に付与して高度と威力を上げた一撃が相手の腹腔を貫く。
「危ない危ない。油断大敵、ですね」
 亜莉沙も地に足を取られた敵機へと「サイレントダンパー」で駆動音を殺して肉薄し、「ウィンドマント」で飛行すると共に合図を飛ばす。
 それはエオリアと同時に攻撃の合図であった。
 「ウィンドマント」を発動させたエオリアは敵機を捕捉するなり、「マジックミサイルアックス【マジックミサイルアックス】」を振り翳し、「スマッシュ」の強烈な一撃を叩き込む。
「ますたー、追撃をお願いしますです」
「――任されたわ」
 「スピネルディフェンダー」を大上段に振るい上げ、敵機を叩き斬る。
 モルダも囮にかかった敵影を「アーマードスレイヴ(突撃型)」で見据え、「夜間迷彩」で視認性を落としたまま、「ヒートマチェット」を起動させる。
 赤い残火を纏った刃が暗闇で煌めき、「体術」の応用で衝撃を和らげつつ、「サイレントラン」で距離を詰めていた。
 シレーネの発動させたぬかるみにかかった敵へと、路地を縫って「ランディングショット」を用いた奇襲をかける。
「敵影……クルースニクだな。少しでも敵を疲弊させる。目的のためには、一機とて許すわけにはいかない」
 敵の胴体を生き別れにさせ、そのままの加速度を伴わせて再び迷路の路地に入る。
 ぬかるみに陥った敵へと別の路地から「トリプルショット」で狙い澄まし、沈黙したのを確認してから「エレクトリック・トーチ」で自らの位置を確認する。
「中枢までもう少し、と言ったところか。敵もなりふり構っていられなくなってきたのなら、指揮官機も出てくるはず」
 その言葉に亜莉沙も応じていた。
「どうかしら? あの、デキムス市長、一癖も二癖もありそうだから、警戒するに越したことはないわ。それに問題は複製紫月さんのジャマダハルね。囮は看破され、裏をかいて待ち伏せしているあたしたちを狙ってくるはず。敵に悟らせないように同じ方法で進軍を続けつつ、警戒は怠らないで。このまま……夜襲が成功すれば……」
 クルースニクの銃撃網を「マジックシールド」によって強化した武装で防ぎつつ、亜莉沙は宵闇に潜入しようとして、ハッと習い性の神経で振り返る。
 その太刀筋と交錯したのは、ジャマダハルの機銃掃射であった。気付くのが遅れ、何発かいいものをもらってしまう。
「――くっ! 見つけた。やはり各個撃破を狙ってくるつもりね。みんな、油断しないで。敵には地の利がある。この宵闇の中で、一番うまく動けるのは相手のほうよ」
 再び肉薄しようとしたジャマダハルへと「ホーリーライト」で目晦ましを行い、「スピネルディフェンダー」を下段より振るう。
 呼気一閃の刃は薄皮一枚程度の損傷でしかないが、お返しとばかりにジャマダハルは銃器で亜莉沙の「カリバーンⅢ(王朝)」の機体の複数個所に穴を開ける。
「たとえ一撃離脱戦法を取っていたとしても、これは効くはず……! 逃がさない! エオリア!」
「はい! ますたー!」
 煙を上げつつある機体に構わず、亜莉沙は至近距離で「マジックショット」の散弾で埋め、武装を振り翳し、ジャマダハルへと格闘戦を試みたエオリアへと伸長するクローアームが応戦に移るが、その攻撃網を掻い潜り、片腕のクローアームを振るい上げた一閃で叩き割る。
 すかさず応戦の銃撃網が突き刺さろうとするのを「タロンスモールシールド」で防御していた。
「考えなしではないのです!」
 ジャマダハルはその直後、大きく跳躍する。
 先ほどまでジャマダハルが居た空間を蕃茄の放った矢が射抜いていた。
「もう一手だったようですね。やはり、速い……」
 蕃茄を狙って機動したジャマダハルへと連射の応酬を浴びせつつ、迷路の街頭へと紛れ込もうとする。
 敵機はレーザー系の銃器で矢を弾き落としつつ、パルサークレフテスを率いていた。
「……大群……! しかしそれなら……逆にやりやすいと言うものです。シレーネさん!」
「はいよー。敵をこっちに誘導してねー。アーシの勇姿、よく見ておくし! 囮役ってのはこういうことをするんだってねー!」
 パルサークレフテスの遠距離射撃を「エンブレムシールド」で防衛し、肉薄してくる敵には「イエロースピネルシールド」を対応に回す。
「速度落ちてるけれどサイレントダンパーで可動部の動きはスムーズにいくだろうし大丈夫っしょ。まぁ、多少の被弾はセバンニの回復魔法があるからすぐに修復できるし。そもそもバーンアップで防御力を高めているからそうそうヤバくなんないはず、防御専念なら……!」
 シレーネに誘い込まれたパルサークレフテスへと、蕃茄と亜莉沙は同時に仕掛けていた。
 遠距離から蕃茄の矢が射抜き、構築されたぬかるみにはまった相手をエオリアと亜莉沙が叩き割っていく。
「……ジャマダハルは……!」
「――こちら【リュミエール】独立連隊。ジャマダハルを発見」
 そう報告をもたらしたのは戒で、空へと奇襲をかけようとしていたジャマダハルを認識する。
「どの場合でも闇討ち上等のスタイルというわけですか……」
 「ホーリーライト」で敵を引き付けていた空は振り返るなり、「マジックリピーター」の応戦射撃を見舞うが、ジャマダハルは勢いを削がれた様子もない。
「このまま……ジャマダハルを引き寄せれば……!」
「――ええ、こちらの応戦が上回れる。意外にも夜戦は得意なんですよね♪」
 上空から追従した京が「プロッド・クロスボウ」を「ダイヤモンドソード」で硬化させて鉄球の雨嵐を生み出し、ジャマダハルの逃げ場をなくす。
「今です! この局面ならば……!」
 戒は「コンバットヤード」の土製ドームを生み出し、敵機を閉じ込めている。
「……こちらを視認するよりも他に意識を割かれていたようですね。このまま、足止めをしつつ、【ヤークトフント】独立連隊に連絡を――」
 そこで不意にドームが粉砕される。
 ジャマダハルは内側から高火力で打ち破り、戒へと攻撃を仕掛けようと姿勢を沈めていた。
「この機体は……!」
 咄嗟に「蒼十輝【オリンディクス】」の光弾を叩き込み、その出端を挫こうとするが、ジャマダハルは暗闇へと再び逃げ帰ろうとする。
「そうは――させないわよ!」
 修理を終えたAHI RUが「鬼砕破砕拳」を「電光石火撃ち」で叩き込み、ジャマダハルの装甲を激震させる。
 ――その一瞬の追撃の差が、決定的な差を生み出していた。
「追いついたぜ! 追いかけっこはここまでかよ! 紫月の複製!」
 【ヤークトフント】独立連隊の恭也は「オリンディクス【オリンディクス】」を突き出し、ジャマダハルと対峙する。
「これで……一打だ!」
 視野外からの一撃が食い込み、ジャマダハルが大きく姿勢を崩していた。
 垂の「アローレイン」がその足並みを捉える。
 振り返ったジャマダハルへと垂は強気な笑みを返していた。
「いいぜ、来てみろよ」
 銃撃網を「バーンアップ」と「スウェイ」による回避で潜り抜け、「マジックショット」の迎撃火線が突き刺さる。
 その期を逃さず、恭也は駆け込んでいた。
「出し惜しみはなしだ! ここで決めてやる! スクラップにしてやるぜ!」
 敵機の刃が迫る。
 それと同時に恭也の牙たる「オリンディクス【オリンディクス】」が交錯していた。
 互いの剣が互いを穿つその前に、「エクスプロードトッシュ」による刺突が至近距離で爆発を引き起こす。
 ジャマダハルの頭蓋が砕かれ、頭部を失ったその機体が膝を折る。
「ユニウス夜襲は完遂、か。他の連中が集まってくるとヤバい。海路を使って撤収するぜ」
 垂の言葉に、他の連隊メンバーも頷き、海上で留まっている【リュミエール】独立連隊たちが帰還までを確保する。
 セルヴァンは「エンブレムシールド」で敵の追撃を受け止めつつ、「ミディエイションネット」で迫ってくる敵の動きを制していた。
 【ロッソジェルベーラ独立連隊】のエイミーが「爆風神筒」で応戦し、蒲桃の艦からも「ミディエイションネット」による阻害が効いてくる。
「全機帰投を確認! 敵勢を抑えつつ、海上へと撤退機動に移るわ!」
 エミーリアの確認の声と共に「スパイダーネット」と「エレクトロマイン」の阻害によってようやく、安息が訪れる。
「ユニウス夜襲は達成……これが盤面を突き崩す大いなる一打になるか、それとも……」
「わわ、……わかりません……けれどでも……十分な働きはできたかと……思います」
 所在なさげなエマに帰投した一は返答する。
「ああ、きっと……これが次なる戦いへの……大きな一手となるはずだ」
 燃え盛るユニウスの街を背に、一同はただ強敵との戦いの残滓と、そして転がりゆく戦局を感じ取るのであった。


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