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≪セレクター編≫ブラフマンの断片

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≪セレクター編≫ブラフマンの断片
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渋谷駅までへの道のり1


 田中全能神に肩を貸す九鬼 有栖佐門 伽傳が近づく。
 佐門の黒蓮乃戈に憑依したシャブダ・ボーディの力で全能神にプリミティヴキュアを施し、加えてインヴォークを付与した。これで彼の体は黒江による毒に中てられる前へと戻り、かつ毒への耐性を得る。
 しかし黒江は九鬼一族きっての毒使いだ。耐性のない新たな毒を生成することも容易だろう。とにかく今は全能神を守り抜き、渋谷駅に送り届けることが先決だ。佐門はシャブダのルドラの護符を展開、ザンザスに乗り先行して全能神と有栖を誘導した。
 
「そんなの、行かせるわけないじゃない」

 黒江が逃亡を図る佐門たちに向けて毒の弾丸を飛ばす。しかしそれは間に飛び込んだ叉沙羅儀 ユウの水の結界によって防がれた。反撃とばかりに叉沙羅儀は圧縮した大量の水の刃を黒江に飛ばす。
 併せてデュオ・フォーリーが全能神たちを背にする形で、黒江に対してメカナイズドシールド改を構えた。叉沙羅儀の水刃を毒の障壁で防御した黒江に向かってヴィルベルヴィントを展開し、起こした風で毒霧が全能神の方向へ向かうのを防ぐ。
 ただ、ヴィルベルヴィントの威力では毒霧を霧散させるまでは難しかった。デュオはポイズンイミュニティで致命傷は避けたものの、漂う毒の成分に体がうまく動かなくなってしまう。
 
 デュオと入れ替わる形で高橋 蕃茄は前線に出る。しかしドレッシングミラーによってその姿は見えない。
 高橋は当初、黒江の毒を体内に取り込もうとしていた。自身の体に流れる毒の体液で、彼女への耐性を得ようとしたのだ。
 しかし、高橋が黒江の毒を目の当たりにしたとき、この体液に取り込める代物ではないと直感した。高橋は毒を取り込むのではなく、体術によって彼女を絡めとろうとした。
 だが、黒江の目は簡単に騙せない。光の屈折のわずかな違和を捉え、高橋に毒の散弾を浴びせる。咄嗟にルドラの護符を展開した高橋は、辛くも毒を散らすが少なくない数を被弾する。ただ、リアリティクローゼットにより向上した身体能力、毒の体液による解毒作用で意識を飛ばすことはなかった。むしろ、生命の危機によりアームスマイトが活性化。体が肥大化し、アシストユニットの支援と勢い、パワーで黒江に迫る。
 
「暑苦しいのは嫌いよ」

 掴みかかり、チョークスリーパーを仕掛ける高橋の腕を黒江が受け止める。高橋の体捌きも相当なものだったが、黒江はそれを上回る動きで高橋をいなした。おおよそ少女のものとは思えぬ力。そして格闘しながら体表に現れる毒に、高橋は後退を余儀なくされる。

 そして、立ちはだかるのは黒江だけではない。精神の弱い者なら気絶してしまいそうな眼光をした亜蓮が有栖たちを追った。だが、有栖と亜蓮の間に指揮装甲車が割り入り、亜蓮は足止めされる。操縦しているのは三好 慶火。停車と共に周囲の僚機と一斉に亜蓮をコンダクトマークした。
 
「小賢しい」

 亜蓮は魔力砲を受けたように見えたが、それをすべて跳ね返す。オーラによるものか、亜蓮本人の身体能力か。あるいはその両方か。何にせよ、圧倒的な力量を感じさせた。
 それでも特異者たちは黒江を、亜蓮を止めねばならない。有栖と全能神を無事渋谷駅に届けるために。
 
 黒江と亜蓮を足止めさせている間に、全能神と有栖はその場を離脱。
 更に対黒江では、デュオや高橋、叉沙羅儀らが様々な毒や攻撃手法を引き出したことにより、黒江の毒の解析を進めるクロウ・クルーナッハが、より多種の解析を行うことができた。
 クロウはラプラスの魔瞳環で黒江の自体を、永劫の探求で攻撃に使われる毒を観察・解析。無窮の探訪で、強敵の前でも臆することなく解析を進めていく。

「物理的な融解性の毒に、腐食性の毒。加えて常時、精神に異常をきたす神経性の毒を発しているな。だが……」

 クロウの解析により、弾丸のように飛ばされる毒は融解性や腐食性のあるもの、それに黒江自身から常時神経性の毒が発散されてることが分かった。前者は物理的な防御、後者は強い精神力や耐性を持つことで防げるはずだ。
 しかし、クロウは眉を顰める。ビブリオフィリアとして持つ飽くなく知識欲、探求心をもってしても、黒江のことが解析しきれない。
 
「一つとして同じ毒がない。繰り出される度に性質や成分が異なっていると思う。作用の分からない毒もある。
 それにあの体術……明らかに体に見合った動き、可動域じゃなかった」
 
 黒江は幻術使いとしての一面もあるという。他人の五感を操る術を持つのであれば、自身の五感も毒の掛け合わせでどうにでもなるのだろう。ある種ドーピングのような使い方もしている可能性があると、クロウは仲間に伝えた。
 
「うかつに触れれば、武器が溶けたり腐食したりする可能性がある……ということですね。
 できれば彼女を拘束して攻撃したいところですが……」
 
 叉沙羅儀が操る水を増加させ、エリクシルチョーカーの発動で魔力を回復させる。放った水の刃で黒江を拘束できないかと試行錯誤するが、相殺されたり反撃への防御でなかなか思うようには攻められず、クロウも己に向かう毒は空虚の門に吸い込ませたり、エーリヴァーガルで吹き飛ばしたりと防御はできたが攻撃に転じることができなかった。

「いい加減、通るわ」

 防戦に傾く特異者に、黒江が波状攻撃で畳み込んでくる。手を突き出し、そこからビーム砲のように毒が放たれかと思うと、黒江の周囲からどす黒い霧が発せられた。
 叉沙羅儀は毒のビームをアイギスで受けるが、その勢いに押されてしまう。毒霧は水の結界で耐えたが、かなりの量を消費した。このままでは突破されると、叉沙羅儀はフリギドゥス・イグニスの青白い炎を黒江に放ったが、黒江は全身を毒でコーティングし凍結を免れ、炎が晴れた時には黒江の姿はなかった。


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