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≪セレクター編≫ブラフマンの断片

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≪セレクター編≫ブラフマンの断片
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渋谷駅までへの道のり8


 有栖たちの動向は分からないが、京やウィリアム、碧海は黒江から意識を逸らすことはできなかった。
 お互いに死力を尽くした攻防が続くが、練度の高い攻撃を二重に受ける特異者たちがやや押され始める。クローンとはいえ、その力はほぼ黒江と同等だった。

「あまり好き勝手するな……ッ!」

 碧海が豊神楽【姿失舞】で獅子頭を有した狛犬の巨獣を召喚する。唸り声を上げて黒江に噛みついた狛犬は、毒に侵されて消滅したが、クローンの方も引きちぎられてその姿を崩した。ただの毒液となったクローンの残骸が黒江に吸収されていく。攻撃の手がゆるんだ隙に、ミステリーゲートを展開した京が一気に槍を黒江に放った。
 黒江の体に槍が突き刺さる。抱きかかえてたぬいぐるみが落ちた。
 
「もうおしまいだよ、クロエちゃん」

 京が言うが、黒江はマスクの裏で笑う。黒江を貫いた槍が腐食し、ぼろぼろと崩れた。クローンの残骸が黒江の傷を修復し、黒江は落ちたぬいぐるみを拾い上げた。
 
「だから、おしまいなの」
「何を――」

 それでも京は言葉を変えない。刹那、黒江の体に切創が入る。突如として碧海の姿が現れ、ソハヤノツルギを払った。
 京の槍が出現した瞬間、空亡で姿を消した碧海がソハヤノツルギを神格開放。黒江の防御を無視して一太刀を浴びせたのだった。
 
「あ……、あぁ……」

 状況を理解した黒江が声を漏らす。だが黒江は斬られた箇所を押さえると、血走った目を二人に向けた。
 黒江の皮膚が変色し、血管が浮き出る。体内で毒が暴走しているのか、体のあちこちから毒が漏れ出ていた。
 
「あ、はは……“これ”、可愛くなくなるからヤだったんだけど……なあ!!」

 逆毛立たせた黒江が吠えた。京たちは身構えるが、それとは別に強烈な殺気を感じた。
 背筋が凍えるような感覚。黒江どころではない、尋常でない空気の張り詰めに息をのんだ。
 
「やめろ、黒江。目的を見誤るな」
「ア……レン、おじ様……」

 黒江の横に現れた亜蓮は、何かを黒江に打ち込み、彼女を抱きかかえる。
 
「いずれまた、会うことになるだろう」

 亜蓮は京たちを一瞥し、黒江と共に姿を消した。


「行っちゃった……」
「とりあえず、退けたということでいいのだろうか」

 誰もいなくなった渋谷の街中で、京が呟く。ユニゾンを解いたウィリアムが首を傾げるが、碧海は頷きその場に座り込んだ。
 亜蓮も黒江も撃破には至らなかったが、二人が姿を消したということはもうこの場に留まる必要がないのだろう。
 
 しばらくの後、三人のもとに有栖と全能神が駅へたどり着いたとの知らせが入った。
 特異者たちは無事、有栖と全能神を守り切ることができたのだ。


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