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渡河作戦&共同戦線を阻止せよ!

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渡河作戦&共同戦線を阻止せよ!
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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・極色彩の敵意が咲く

 優・コーデュロイは「ガレアス型飛空艦」に数名を乗せ、戦場に向かっていた。
 事前に「鼓舞踊」を用いて士気を上げ、敵影を睨む。
「正体不明の連盟と白い機体の連合ですか。敵エース機はカラーリングや能力がまるでゼストのヴァイオレットさんですし、裏に何かあるのは確実。なら、敵を倒して何かしらの情報を得ましょう」
 「カンフォートパフューム」の香りで冷静さを失わないようにしつつ、ルージュ・コーデュロイへと声を飛ばす。
「間もなく降下準備に移ります」
「相手はアリスさんも知らない連盟の連隊と白い機体の連合、何かあるのは確実ね。特に、敵エース機体はヴァイオレットさんよね? 本人かどうかの確認のためにも鹵獲を目指しましょう」
 スレイ・スプレイグはふむ、と一拍挟んで思案する。
「アリスさんからは皇国に協力しろと依頼が出ていますので同じ連盟の所属機であっても遠慮なく撃退させていただきます。よしんばエースとその機体を拿捕できれば白い機体との繋がりを知ることができるかも知れませんしね」
「降下準備、健闘を祈ります」
 その言葉で戦場に降り立ったスレイは「スパイクユニット」で足回りを確かめながら「アーマードスレイヴ(突撃型)」でラースタチカへと「4連装ミサイル・ランチャー」による執拗な攻撃を行っていた。
 「ラビットムーヴ」で傾斜地を跳ねるように移動しつつ、射撃に適した地形を見出し、その度にミサイルを発射する。
 ラースタチカのレーザーエッジアサルトガンが火を噴き、ミサイルを迎撃しつつ応対の銃撃網を走らせていた。
 「オブザベイション」で敵の攻撃の気配を察知しつつ、「バックショット」で回避行動を取るが、ラースタチカはそれでも平然と攻撃を当ててくる。
 スレイの機体から早くも煙が上がり始める。
「相手へ有効打を与えることが目的ではありませんから、攻撃しつつも私が撃破されないことを念頭に戦いますよ。まだ仕掛け時には遠いのですからね」
 ルージュは「ブラックウィドウ(連盟)」に搭乗しつつ、「カンフォートパフューム」で冷静さを確保していた。
 「戦場の隠密行動」を心がけ、後方支援の位置取りにつき、「アサルトライフル【アサルトライフル】」を構える。
 「機動兵器知識【自由都市連盟】」と「オブザベイション」の観察力でラースタチカの取り巻きである多脚戦車の動向を見据えていた。
 「ピンホールショット」で多脚戦車の機動力を削いでいく。
 反撃のミサイルが放射される中で、艦より「ファイアーカノン」とシンシア・エーデルヴィレの照準する「ドキュウ(副砲)【ドキュウ(副砲)】」が火線を張る。
「さて、今回も出勤ですわ。いつも通り社長のテンション上げておきましたし後は戻ってきた時に即修理するだけですわね。え? ドキュウ撃っていいんですの? フフ、最近は事務仕事ばかりでしたし久し振りですわね! やはり砲撃は定期的にしませんとストレス溜まってしまいますものね。砲撃健康法ですわぁ! しかも今回の相手は同じ連盟の方たちですし、遠慮なく行けますわね。ええ! 当たったほうが悪いんですもの!」
 紫月 幸人は敵勢の中でもエース機であるオレンジ色のラースタチカを見据えていた。
「はてさて、オレンジのラースタチカねぇ。ゼストでオレンジのシールド持ちとかさぁ、嫌でもあの頃を思い出しちゃうよねぇ。ま、アリスちゃんの依頼だしね。それはそれってことでお仕事頑張りましょう!」
 「アーマードスレイヴ(突撃型)」に搭乗し「戦場の隠密行動」を心がけて射線に入らないようにまずは動く。
 「レーザーエッジアサルトガン」を携え、ラースタチカの動向を見張る。
 しかし、スレイ同様、ラースタチカはそんな幸人の機体へ攻撃を仕掛け、当ててくるから様子見どころではない。
「ドキュウで動きを阻害しますのよ!」
「相変わらずテンションは高いねぇ。それにしたって、気にかからないかい?」
 シンシアはラースタチカの動きに対し、ふと感想を述べる。
「何か見覚えありますわね、あのラースタチカの動き」
「だろ? これはどこか……一筋縄じゃいかなさそうだな」
「とは言え、当たったほうが悪いですわー!」
 「暴風神筒」の砲撃網が咲き、ラースタチカ周辺の敵影を引き離してゆく。
 リズ・ロビィシンシア・スターチスの「クナール型飛空艦【クナール型飛空艦】」に同乗し、声を張り上げていた。
「ラースタチカ鹵獲メインにしっかり取り巻き撃破さー! ドクターとして戦線維持に努めていきたいもんだねー。連隊の継続能力はあたしの手にかかっている……つまり! あたしがっ! みんなの命を握っているのさー!」
「それは穏やかじゃないな」
 信道 正義が口を挟みつつ、ラースタチカの動きを注視する。
「あのオレンジの機体……ゼストのヴァイオレットを思い出す雰囲気だ。パイロットごとコピーする噂話は聞いているが、実際に相対するとなおさら本人に近しいものを感じてしまう。ヴァイオレットとはゼストでやり合っている。あの時も俺はバルドイーグルでヤツと戦った。あの時はほぼ差し違える形でシールドを打ち破り相打ちに持ち込んだが……同じ相手ではなくとも、今度はやられるわけにはいかないな」
「ここらでそろそろバーゲストの牙の鋭さを連盟のアリスちゃんと他国のみんなに見せるべきかなと思うのさー。そのために正体不明のラースタチカを鹵獲して何の目的で動いているか判明させたいさー」
「ヴァイオレット様は、原初のクアンタロスである四姉妹の一人。私たちのような量産されたクアンタロスのルーツに当たるお方……それを思わせる相手は、少々複雑ですね。とは言え、作戦に私情を持ち込むわけにはいきません。全力で皆様をサポートします!」
「さて、あたしの今回のやるべき仕事は二つ……一つは連隊唯一のクール系美少女芸術家女医ドクターとして、連隊のみんなの機体の修理を担い、連隊の継続力と連携力を維持する。もう一つは妖艶美人系少女芸術家スナイプドクターとして、空戦能力のあるラースタチカに暴風神筒をぶち込み地に堕として連隊長の社長の戦いの場に持ち込ませる……これらがあたしのミッションさー♪」
 正義は「バルドイーグル(連盟)【バルドイーグル(連盟)】」に「スパイクユニット」で足回りを維持させつつ、「オブザベイション」で敵の攻撃網を察知していた。
 「アサルトライフル【アサルトライフル】」でラースタチカの同行している遠距離仕様砲撃型アーマードスレイヴへと「ラビットムーヴ」で跳躍し、「バックショット」の反動を込みにして攻撃を織り交ぜる。
「こちらの姿勢が整ったのなら、狙っていくぞ」
 腰だめに構えて「ピンホールショット」の鋭い銃撃が敵影へと突き刺さる。
 ラースタチカより4連装ミサイル・ランチャーが掃射され、正義は後退しつつ取り巻きの機体へとわざと撃破できる攻撃を使用していた。
「……ラースタチカの中身が、もしもヴァイオレットを模倣しているのならば……あの優しさまでコピーしていれば恐らく、仲間を守る動きをするはず……」
 しかしラースタチカは友軍機は意に介さず、正義へ攻撃を繰り出し、あっさり中破させてしまう。
『ず、随分と舐められたものですね。次はありませんよ?』
 オープンチャンネルで聞こえてくるラースタチカからもたらされた可愛い声に、正義は歯噛みしていた。
 ラースタチカの搭乗者は嘘は言っていない。後一撃貰えば、正義の「バルドイーグル(連盟)【バルドイーグル(連盟)】」は撃破されるのは確実だ。
「……なら、ただ硬いだけの敵だ、集中砲火をかければいい。……悪いな、一方的に知っているような素振りを見せて」
「信道さん、カートリッジを預けるさー。弾切れだけには注意するさー」
「ありがたい……。敵を蹴散らすのに、容赦はしていられないからな」
 シンシアは「フロストゲイル」で敵部隊の足止めを行い、「カバリング・ファイアー」の援護射撃で牽制する。
「私やコーデュロイ様の飛空艦へ接近できないようにします。守りと攻撃は両立できるはず。命中率が対空でも対地でも変わらないストーンアーバレストならば」
 「ストーンアーバレスト」で地上の敵影へと掃射する。
 肉薄してくる敵影には「ストーン・ショットガン」を散弾にして迎撃行動に移っていた。
 「マジックウォール」を正義の機体に張りつつ、その攻勢を援護する。
 敵からの攻撃網には優が「ソイルウォール」を構築し、少しでも火力を弱めさせていた。
「連盟は本当に知らないことであると示すのが大事です。皇国の人たちもサポートしましょう。必要なことは後から取引すればいいわけですし」
 ルージュが狙いを定めた一撃をラースタチカに放つが、相手は軽く回避する。
「……どうやら、殺気には聡いようね」
「さて、仕留めに行こうかな。スレイ君、ミサイルで俺を狙って撃ってくれ。弾道にラースタチカを挟む形で巻き込みに行く」
「分かりました。4連装ミサイル・ランチャー、照準……!」
 「ダブルバースト」を実行した「4連装ミサイル・ランチャー」で一発目は通常弾頭を放ち、本懐である二発目には「スモークディスチャージャー」を含ませてある。
 一発目は取り巻きの機体によって防がれてしまうが、二発目のミサイルは正常作動し、オレンジのラースタチカの視界を塞ぐ。
「さぁ、どう足掻いたってこれで……!」
『視界を遮ったくらいで良い気にならないでください』
 ラースタチカへと幸人は「レーザーエッジアサルトガン」で攻撃するも、相手はその殺意に反応する。幸人、スレイ、正義の機体は大破寸前だ。
「ああ、確かに煙幕程度ならこの程度だろうよ。だが、俺たちがこの程度で終わると思っているのか?」
『え、ええ、思っていませんよ?』
 優が「パッシブソナー」を発動させ、ラースタチカの位置関係を把握するなり伝令を飛ばす。
「信道さん。ラースタチカへと攻撃を。こちらも艦の射撃で威嚇を行います」
「了解。……これで終わってくれよ」
 正義が「ピンホールショット」で狙い澄まし、優の艦より援護射撃の火線が飛ぶ。
『そ、それで示し合せたつもりですか?』
 その時、リズがラースタチカに向けて放ったのは「暴風神筒」であった。
 「機動兵器知識【自由都市連盟】」と「ウィークポイントアタック」を併用し背後より仕掛ける。
「千載一遇のチャンスってのはこういうことを言うのさー。連隊全員が力を合わせた瞬間こそ、今さ!」
『そんな付け焼刃で……! 甘いです!』
 かまいたちがラースタチカを切り刻もうとするが、シールド兵装が起動し攻撃力を最小にまで減殺させる。
 その上で、正義の攻撃を回避していた。
『あ、あなたたちは私に勝てると思い込んでいる。それが甘い目算なのだと、分からせてあげます!』
 ラースタチカから放たれたのはミサイル・ランチャーの広範囲攻撃だ。
 地面を穿ち、傾斜地に陣取る者たちはその威力だけで後退を選ばざるを得ない。
「……ここまで上手く戦局を整えたのに、仕切り直しってことか……」
 歯噛みする正義に優が声を張り上げる。
「いいえっ! 決して無駄ではないはず……! そうでしょう!」
「――その通り! 我々【ライトニング】と【アサルトフォックス】が、殿を務めます!」
 桐ヶ谷 遥の声が響き渡り、【ライトニング】からは馬謖 幼常の「クナール型飛空艦」と、ビーシャ・ウォルコットの「クナール型飛空艦【クナール型飛空艦】」が前に出ていた。
 フィーリアス・ロードアルゼリアの「クナール型飛空艦」とレニア・クラウジウスの「キャラック型飛空艦」も戦場へと割って入る。
「共同作戦だよっ! これより白い機動兵器とラースタチカ迎撃任務にはボクたち【アサルトフォックス】と【ライトニング】が引き継ぐ!」
 戦戯 シャーロットの声と共に朔日 睦月の「キャラック型飛空艦」とリイム・クローバーの「遊撃艦【ヴェーザー】【クナール型飛空艦】」、そして紅城 リムスのヴァルフェス【キャラック型飛空艦】」が戦場へと進み出てくる。
 渡会 千尋は援護射撃特化の場所に陣取り、「アーマードスレイヴ(汎用型)」で「ヘビーマシンガン」を構える。
「ここからだと戦場がよく見えるね! とにかく敵が多いから、ちゃっちゃとやらないと苦戦するよ! そんなのはゴメンだね! ヘビーマシンガンの掃射性能を活かし、デュアルバーストで射程の長そうな順から敵をどんどん片づけるよ! さぁ、ハロウィンパーティだよ! とっとと逃げないとブギーマンに取って食われるよ!」
 銃火戦力の弾丸が舞い、敵の中でも射程距離の長いであろう機体から狙いを定めていく。
「また白いのがわらわら居ますぅ! それに、なんか連盟機が混ざってます? こう、所属がごちゃごちゃした敵が集まると敵さんのお雑煮みたいですぅ!」
 ルルティーナ・アウスレーゼがオープン回線でくぅと腹の虫を鳴かせる。
「ちょっと、お腹が空いてきました。……リムちゃん、どうしましょう……? わふ? リムちゃん、どうしました?」
「どうって……ママ、回線……」
 じとっと睨んだリムスにルルティーナはその段になって全部隊に声が筒抜けであることをようやく自覚した。
「……あ。何でオープン通信になってるんですかぁっ! せっかく【ライトニング】連隊さんとの共闘ですし、ビシッと決めようと思ったのにぃ! これじゃ、ただの緊張感のない駄狐ですぅ……」
 尻尾をしょんぼりさせたところで、リムスは指摘する。
「それも聞こえちゃってるよ……【ライトニング】連隊のおねーさんたちと連絡すると思ったから通信がONになってるし、さっきの一連のお雑煮とかのママの言葉、【アサルトフォックス】と【ライトニング】連隊の皆に筒抜けなの……。リムも、娘としてちょっと恥ずかしいんだよ……。あ、ほらママ! 通信、通信切らないとだよ!」
「わふっ!? あわわ……! 一旦通信オフ、オフですぅ!」
 しかし聞こえてしまったものは仕方ないのか、互いの連隊で笑みがこぼれていた。
 この戦場の極致でも、笑えるのだから大したものだと全員が思う。
「ふぅ……なんとか落ち着きました。では、改めて通信オーーン! 【ライトニング】連隊、レベッカさんですね?」
「ああ、こちらレベッカ。さっきのは傑作だったな」
「うぅ……忘れてくださいぃ……」
「国同士がなかなか歩み寄れずとも同じ特異者同士なら歩調は合わせられる。その利点を活用し敵エースに対処していくとしよう」
「あ、はい! よろしくお願いしますぅ……」
「とはいえ、お雑煮という発想はなかったな。……戦いが終わったら御馳走しようか?」
 通信域に笑い声が混じる中で、ルルティーナは顔を真っ赤にしてぼそぼそと吹き込む。
「あ、それはもう……っ。さっきのはいいですからぁ……」
「冗談だ。絶望的な敵との戦力差でも、笑えることがある。ならば、一つだ。――我々が勝利する。その一つしかあるまい」
 レベッカ・ベーレンドルフの宣戦布告めいた声音は、ラースタチカの操縦者にも届いていた。
『オープンチャンネルで話している私が言うのも何ですが、私を倒せるとでも?』
「そのつもりがなければここまで来ていないさ。私たちは勝利するためだけに、この戦場を踏み抜いた。むざむざ後退する気などない」
 「キャラック型飛空艦」を操舵するレベッカは遥とアルフレッド・エイガーの機体の降下準備に入る。
「準備はいいな? 桐ケ谷、アル。ここはもう戦場だ」
「了解。連盟の機体ならビーム兵器が主力だろうな。その辺をどうにかするのがオレの仕事だ」
「敵エースは強敵ね。あれを追い込むのには枠組みを超えた連携が必要よ。桐ケ谷、独立連隊【ライトニング】連隊、連隊長、出撃するわ」
「よし、二人とも降下」
「今回は連隊同士での共闘戦。敵もなかなかに強敵みたいですからね、頑張って支えましょう」
 「鼓舞踊」で全体士気を上げたクラリス・アーデットは遥の機体へと「初の手当」の札を張っていた。
「これで出撃後集中攻撃を受けてもある程度なら継続回復の効果で耐えられるでしょう」
「すまないわね。それもこれも……エース機、ラースタチカを撃墜するため……」
 降下を果たした二人は「スパイクユニット」で傾斜地を踏み締める。
「連盟の機体ならビーム兵器が主力だろうからな。その辺をどうにかするのがオレの仕事だ」
 アルフレッドの「シュヴァリエ・ルーク【シュヴァリエ・ルーク】」は「ウィンドマント」を展開し、低空飛行を試みていた。
「主な役割は防御支援。敵エースだけじゃなくその取り巻きも多数いるからな。その辺纏めて飛んでくるビーム攻撃を防ぎ味方を守っていく」
 機体性能である大型の「マジックシールド」と「エンブレムシールド」で防御陣形を固める。
 遥は「必殺の構え」で抜刀術の体勢を取り、敵の注意を引き付けていた。
「これで【アサルトフォックス】は攻撃しやすいはず」
 ビーム兵器の火線が舞うのを、アルフレッドと遥が前線に立っていなしていく。
 「オブザベイション」で動きをじっくりと観察し、ラースタチカの動向にも目を光らせていた。
 「指鉄砲【指鉄砲】」で牽制銃撃を放つも、ラースタチカは簡単にはその動きさえも捉えさせてくれない。
「敵勢、三時の方向に翳りあり、です」
 クラリスは「ライトアナライズ」で敵の弾幕の薄い方向を指し示す。
「相手は素早い同盟の機動兵器だもんね。こっちもASを活用して対抗するよ!」
 フィーア・シュナイデは「アーマードスレイヴ(突撃型)」に搭乗し、「ラビットムーヴ」で素早く動いて後方支援の位置取りにつく。
「さて、足の速い相手には少しばかり躓いてもらおうかな」
 「モノクルターゲット」で照準補正を果たし、「オブザベイション」で敵の動きを見切ってから「ヘビーマシンガン」の連射を叩き込む。
 敵機が回避し、反撃の応酬が向かってくるもその時には「ランディングショット」と「バックショット」を使い分け、こまめに立ち位置を変えていた。
「取り回しの悪いヘビーマシンガンでもこまめに動き回れば直撃は避けられるもんね。あとは前衛として注意を引き付けてくれているお姉ちゃんを信じて撃ちまくるようにするよ。こうして敵を足止めして味方が追撃を仕掛けるチャンスを作ることが、共闘の大事なところだろうし」
 草薙 大和は敵影を眺めながら、交戦領域に入ったことを確かめる。
「白い機動兵器と、連盟の共同戦線……また厄介な組み合わせだな。連中に水源を破壊されれば、皇国の食糧自給率が大幅に低下し、文字通り国の生命線を連盟に握られることになる。それだけは何としても避けないとな」
 草薙 コロナもその言葉に続いていた。
「白い機動兵器と連盟の機体が、皇国の水源を破壊に来たですか? 水源を壊されてお米が作れなくなったら大変です! 何としても追い払わなくっちゃですね!」
 大和は「サイフォスキャノン(皇国)」に搭乗し、「弩」を番えて遠距離攻撃を主眼に据えていた。
「僕やコロナはエース機の周りに陣取る機体を相手取ろう。エース機を孤立させて、桐ケ谷さんたちをはじめとする味方機が戦いやすい場を作るよう立ち回る」
「今回は連盟の【アサルトフォックス】、シャロちゃんやルルちゃんのチームとの共闘ですね! 他の人たちだったら敵か味方かを疑いながら戦わなきゃいけなかったかもしれないですけれど、気心の知れた仲間との共闘なら、全面的に信頼し合えるです!」
 コロナの乗り込んだのは「大鐡神・野武士」である。
 幼常の艦より降下されたのは土方 伊織の「アガートラム改二(皇国)」である。
「敵エース機を打倒するために、その僚機の相手を担当することになったです。連隊としてエース機を抑えるとのことですので、できる限り僚機との連携を取らせずに各個撃破を狙うのが理想になるかな~です。僕のアガートラム改二は機体特性的に側面からの実弾に攻撃をある程度“反らす”ことができるので、実弾に怯まず接近戦を仕掛けるのですよ……」
 「戦場の殺気」と「察知」を活用し、敵の位置関係を把握、そして向けられてくる敵意を感覚する。
 「指鉄砲」で牽制銃撃を行いながら、ラースタチカの守りについている機体群へと「刃喰刀」の濃口を切っていた。
 敵機もビームソードを振るい上げ、刀の圏内でその気勢を受ける瞬間にはダメージを軽減させ、「燕返し」の二連撃が返す刀で突き刺さる。
 幼常が「ファイアーカノン」による「カバリング・ファイアー」の支援砲撃を行いながら「ソイルウォール」の土壁で敵機の火線より友軍機を守る。
「連隊の僚艦と連携を取りつつ、足並みを揃えて布陣する。前線に出ている連中は後ろを振り返る必要はないぜ。一機でも撃墜して進め。……とは言え、今回は他のところの連隊との共同戦線になる。脅威の排除は最重要だが、鐡皇国側としては戦果を持って行かれるのも拙かろう。まぁ、優位に立てるように戦況の把握に努めるとする」
 艦艇を並べたレニアは敵勢を見据えて苦々しく口にする。
「白い機動兵器と連盟の機体と共闘、ね。連盟のアリス・エイヴァリーは皇国に援軍を寄越してくれたわけだし、白い機動兵器と裏で繋がっているとは思えないけれど、むしろ“連盟の中に明らかな敵対勢力が紛れている”ことのほうが、今後の展開を考えると厄介かもしれないわね。……っと、今は目の前の事態を解決することが先決ね。何としても、皇国の水源地帯を守り抜かなくちゃ」
 「サンダーカノン」主体の雷撃砲台が「カバリング・ファイアー」による援護の火線弾幕を張る。
「今回は連盟の【アサルトフォックス】も陣営に加わって、結構な大所帯になるから、味方を巻き込まないように気を付けないと」
 「ストーン・ショットガン」を掃射し、「ソイルウォール」を展開して友軍を守るのも怠らない。
 それらの戦局を眺めていた雪神 白羽はふぅむと思案を浮かべていた。
「皇国の水源を狙い、兵站を瓦解させようとは、なかなか姑息な手を使ってくるものよ。これは連盟側の狙いか、あるいは別勢力の暗躍か……。どちらにせよ、相手の好きにさせるわけにはいかぬ。しゃろ殿やるるていな殿の所属する【あさると狐】の面々と共闘し、必ずや水源を守り抜いてみせようぞ。此度の戦では、皇国、連盟の所属を問わず、あらゆる機体の修理を手掛けねばならぬ。忙しくなりそうであるな。敵の自爆には注意を払いつつ、水源に被害が及ばぬよう、可能な限り距離を取ることや地形破壊によって水源に影響は出たりせぬよう、撃破すべき地点を念入りに吟味することが必要であろうな」
 前線を押し上げる面々が居る一方で、ジェノ・サリスは隠密行動に移っていた。
「……敵エース機は素早さと防御に優れる機体らしい。正面からまともに当たっても、追い詰められた時点で逃げられるのがオチだ。……ギリギリまで戦闘を味方に任せ、敵エース機が味方への対処で手一杯になったところを狙うとしようか」
 身軽な「アーマードスレイヴ(突撃型)」で「戦場の隠密行動」に入り、状況を確認しつつ、ラースタチカの動向を見張る。
 その作戦行動を補助するのはフィーリアスの役目であった。
「カバリング・ファイアー」によって艦艇を前に引き上げ、援護射撃で注意を引く。
 「ソイルウォール」の土壁を構築することでジェノへと即席の遮蔽物を生み出し、より隠密作戦の成功率を上げていた。
「……私の役目はあくまでジェノ機の隠密行動サポート。少しでも隠密行動の成功率を上げることで、作戦の成功へ貢献するとしましょう。パッシブソナーで常に敵の位置関係は把握しています。鉢合わせだけはしないように注意を」
「助かる。それにしたところで……これだけの敵勢だ。金目のものが少しは転がっていそうなものだがな」
「あまり欲を掻かぬように。足元をすくわれますよ」
「肝に銘じておく。……このまま敵エース機の動向を見ておこう」
「ターゲットはオレンジのラースタチカとなりますな。ダメージを与えると言うより、如何にして行動の掣肘を実現するかが我々の熟すべきミッションです」
 睦月の言葉と共に朔日 弥生はラースタチカを前にして「イーグルヴァンガードIF(連盟)」に搭乗し、艦より出撃していた。
「敵ラースタチカはビームを反射するシールド兵装の存在、これは防御を固め、我々の選択肢からビーム兵器を奪うためのものか? ……私はそれについて否と考えます。防御特化のエース機が持つビームを反射するシールド兵装は、我々に対する攻撃手段として使用されるものである――私はそのように考えています。エース機とは言え防御特化、いくら強敵とは言え守るだけであれば脅威ではありません。我々としては実弾兵装を用意して対処……そんな単純な方法で済むような簡単な仕掛けのはずがない」
 弥生はラースタチカの周囲を固める白い機動兵器や僚機へと自ずと視線を移していた。
「例えば自由都市連盟の機動兵器。我々がよく知る身近な存在。コストがかさむ実弾兵器より、ビーム兵器を中心に運用されることが多いのは周知の事実。今回の敵がコストを考えるかは定かではないにせよ。ただの運用上の観点と言うよりも、ラースタチカのシールド兵装を利用してくる可能性もあると私はそのように推測しているわけです」
「そうなってくれば、攻撃の乱反射もあり得る……。敵はまだ本懐を隠している、というわけですか」
「あくまで推察ですが。ラビットムーヴで機動しながら敵機を注視しておきます」
 「スパイクユニット」で大地を踏みしめてから、「ラビットムーヴ」で速度を維持しつつ挙動する。
 ラースタチカがこちらの陣形に対して動こうとするのを、睦月が「ソイルウォール」で妨害する。
『こ、これで私の動きを阻害したつもりですか?』
「“これ”だけではないですよ?」
 弥生は放った「重圧」と共に「ショットガン」を土壁の上へと向けて発射していた。
 睦月の艦より「ストーンアーバレスト」が放射され、ラースタチカの機動力の阻害を試みる。
 「投擲型デプス・チャージ×4」を投擲した弥生はラースタチカの針路方向を既に関知している。
『あ、あなた方では私には到底届かない、それを分かりさえもしないなんて』
 ラースタチカの武装の照準が攻撃部隊へと向いたのを藤原 経衡は見逃さない。
「盟主アリスの依頼により皇国の【ライトニング】を支援。敵のエースが眼前に現れて堂々の宣戦布告に好感を抱いた。不意打ち同然のソルジャーにあって、粋だと感じた。今回は、依頼により敵対することになるが、オレンジ色のラースタチカのエースは粋な人物なのでいずれは轡を並べる時が実に楽しみ。己が実力を示し、彼のエースに知ってもらいたいところだ」
 共に大地へと降り立ったシャーロットは敵影を見据える。
「信用できない“道化師”のアリスちゃんか~。ちょっと疑われ過ぎて可哀想かも? こうやってボクらを水源防衛に派遣しているのは事実だし、下手打つと暗殺されるような立場で雁字搦めなだけじゃない? 盟主なんてやらずにアバターアイドル配信で遊んでいたかったのも本音に思えた。てなわけで、アリスちゃんを困らせる……暗殺疑惑白い機動兵器の調査だ☆ リトルフルールの名コンビ、ヤマコロちゃんが所属している縁で皇国の【ライトニング】連隊と連携して会話できそうなオレンジ色のラースタチカを追い詰める」
 「シュヴァリエ・ニンジャ」に搭乗したシャーロットは「マジックシールド」で強化した「エンブレムシールド」を保持し、速力は「ウィンドマント」で補強している。
『い、言うだけならタダですからね』
「うーん、それはどうだろ。ヴァイオレットちゃんの複製疑惑のあるキミなら、ビームをシールド兵装で乱反射させる攻撃がメインなはず。連盟とビームに強いシュヴァリエ・ニンジャちゃんの出番だ!」
 「スパイクユニット」で大地を踏み締め、「バスターランサー【マジックランス】」を突き出す。
「いざ尋常に――勝負!」
『しょ、勝負にもなりません。……知った風な口を利いて、こちらが気に障っていることに気が付かない。あなた方は私と同じフィールドに立った気でいる、それは大きな間違いです』
 僚機がビームピストルでラースタチカの援護をしようとするのを、シャーロットは盾を翳していなしていく。
 加速して敵影に「エビュタス」で接近し、相手が関知する前に武装で斬り捨てていた。
 着地時に発生する隙は後方支援の千尋が「ヘビーマシンガン」の弾幕を張って制する。
「リムもマジックシールドを展開するよ。防ぎ切れるかどうかは分からないから、主砲の射撃の照準はママに任せるから」
 リムスが「プラズマブラスター【サンダーカノン】」による「カバリング・ファイアー」による火線を飛ばす。
「補給が必要ならいつでも言ってください! ギガントレスキューツールとレストアで修理作業に入りますっ。補給が必要なら補給用カートリッジも忘れずにです♪」
 ルルティーナは艦の「12.5mm連装副砲【ドキュウ(副砲)】」を掃射しながら、敵影の損耗率を見据える。
「うん、資材や各備品も固定できてますし、これなら艦が無茶な機動をしても大丈――わ、わふーーーぅ! あ、痛ぁあ! うぅ……た、たんこぶできてますぅ……」
 艦内各所の固定を確かめようとした矢先、リムスが艦を「デネボラドリフト」で急旋回する。
「あー! 逃したりしないんだからっ!」
 強引に艦の向きを変えてもたらされた砲撃は的確に相手を葬ったが、リムスはその段になってルルティーナが恨めしげに涙目になっていることに気付いていた。
「……ママが乗っていたのすっかり忘れていたんだよ」
「リムちゃん、ドリフトするなら一言言って――わふーーーっ!」
「また敵影なんだよ!」
 再度の急ドリフトによってルルティーナは艦内を跳ね回る。
「ひ、酷い目に遭いましたぁ。たんこぶが、ふたぁつ……ぐすん」
「な、泣かないで、ママ。……きっといいことあるから、多分……」
 敵の砲撃型アーマードスレイヴがラースタチカに近づかせないように機銃掃射するのを、十文字 宵一は「バウンティ・スレイヴA【アーマードスレイヴ(突撃型)】」の機動力を活かし、懐に潜り込んで「ランディングショット」による「ビームダガー」を突き刺す。
「砲撃型って言うことは動きは遅いと見た。防御に関しちゃ、ダブルバーストの二連撃で確殺する」
 宵一の機体が横に滑り、破壊した敵機を押し退けて「オブザベイション」による敵のエネルギーの流動や慣性を分析し、砲撃タイミングをはかる。
 リイムは艦より「パッシブソナー」を使用し、山岳地帯に潜む敵影を炙り出していく。
「宵一、四時方向に敵影を関知。こちらは砲撃で援護します」
「よし、その調子で頼む」
 「タウルスカノン」による「カバリング・ファイアー」の牽制砲撃が咲き、敵影の動きを鈍らせる。当たらなくても構わない。敵の動きを鈍らせさえすればいいのだから。
 宵一の機体へと回り込もうとする機体には「ソイルウォール」の土壁で阻害していた。
 宵一は「スモウク・キング【スモークディスチャージャー】」を焚き、投擲して敵集団のかく乱を行う。
「この期を逃さん。一気に肉迫する」
 「ラビットムーヴ」で急速接近し、「ランディングショット」による「ビームダガー」の二連撃を突き刺す。
「悪いが、本丸へと攻撃するのに、邪魔立てはさせないぜ。とは言いつつも、奴さんだってただの的ってわけじゃなさそうだが」
 多脚戦車とラースタチカの銃撃網が宵一の機体へと追いすがる。
『やらせると思って?』
「それはどう……かな」
 リイムは「インクリネイション」を発現させ、艦を上下逆さまに展開、主砲を地上へと向けてみせる。
「肉を切らせて骨を断つ……ある程度の損耗は……想定内と言わせてもらいましょう」
 相手が声にする前に砲撃が襲いかかる。
 重火力の網を潜り抜けたラースタチカに「マジックシールド」で敵の火線を潜り抜けてきた経衡の率いる大和とコロナが迫っていた。
 「戦場の地形把握」でここまでの山岳地帯をクリアしてきた経衡の眼差しは真っ直ぐにラースタチカを睨んでいる。
 「アイリス【シュヴァリエ・ルーク】」に搭乗した経衡は「遍現跳躍」で飛び越え、敵の攻勢を全て受け止めてみせていた。
「敬意なくしてモラルなし。敬意は優しさから生まれる。我が道は優しさを以て敬意を伝え、モラルを敷く道なり」
『何をしているのです。集中砲火を……!』
 白い機動兵器を含む全ての敵機の火力が経衡へと向くが、彼は退くことはない。
 それどころか、加速を強めていた。
「ラースタチカのパイロット。貴官は事前に正々堂々と宣戦布告した。その行動は敵対者と本気で相対峙する敬意の表れに他ならん。私は感銘を受けた。此度は敵対することになったが、別の戦場で轡を並べて戦う日を心待ちにしておりまする」
『何を……知った口調で……!』
 「マジックハープーン【マジックハープーン】」を構え、「プッシュプル」の動きで魔力噴射を行い、敵の戦端の出端を挫いていた。
「我が身の全ては守護の為に在り! 征け! 二人とも!」
「好機を逃さないで!」
 遥の「天喰刃」が衝撃波を弾き飛ばし、道を作る。
 アルフレッドも「マジックソード」で威力を高めた「マジックリピーター」を速射し、牽制銃撃を叩き込んでいた。
「しつこくチマチマと攻撃して集中力を削ぐぜ。これが決定打になるんなら、いくらだってな」
「僕らは勝つんだ……! そのためならば……ッ」
 「籠手打ち」で僚機を狙い撃ち、取り巻きの機体を少しずつ引き剥がしていく。
 ラースタチカが僅かに孤立した一瞬を逃さず、コロナが照準していた。
「そのチャンスを! 逃すわけにはいきません!」
 「破砕拳」が射出され、ラースタチカの眼前に迫る。
『……こ、こんなものでっ! 私とラースタチカが墜ちるとお思いですか!』
 「破砕拳」をビームブレードで往なし、四方八方に掃射されるビーム兵装をシールドを展開で防ぐ。
「ラースタチカ……飛来する攻撃を全て“識別”しているようね。エース機の本領発揮ってわけね。抜刀するわ、今こそね。アル、向かってくる敵意は任せるわよ」
「ああ、マジックシールドを譲渡する。直接守れない分、これで補うぜ」
 遥が武装を解き放ち、アルフレッドの防御支援を引き受けてラースタチカを睨む。
「敵エース機を照準! 主砲、全弾集中させます! 作戦領域全ての友軍に警告! これより我が艦は敵機のシールド破壊に注力します!」
 ビーシャが「インクリネイション」で艦を逆さまにして「タウルスカノン【タウルスカノン】」で照準する。
 その狙いの矛先にラースタチカを据えたその期を、レベッカも同調していた。
「【ライトニング】連隊旗艦である我が艦も続くぞ。火力を集中させる……! 各砲台は敵エース機、オレンジのラースタチカに集中!」
 ここに来て旗艦であるレベッカの艦が挙動し、砲身をラースタチカへと向けていく。
「損耗激しい者は修繕する。最後の一撃の前に不安要素のある者は此方へ」
 白羽が修理誘導し、「スピードリペア」を施していく。
『し、四方八方から取り囲んで……なるほど、お姉さまがやられたのも納得がいします』
「――卑怯でも狡いとも思ってもらって構わないよ。悪いが、こっちとら総員の想いを込めた一撃、虚しく空振りなんてことはあっちゃいけないんでね」
 マンジュリカが背後には、既にジェノは確実な距離に踏み込んでいた。
 「ラビットムーヴ」の移動力で高めた一撃の一瞬――「天喰刃」の一撃を「秒の一打」で打ち下ろし、その一撃は確かに――ラースタチカの装甲を捉える。
 即座にラースタチカはビームブレードを振るい、ジェノの「アーマードスレイヴ(突撃型)」を一刀両断する。しかし同時にジェノは「天喰刃」の刃を振るって衝撃波を生み出し、概算距離でさえも無為に帰す。
「ここまでお膳立てしたんだ……。ならば、俺も全霊を尽くそう……!」
『くどいですわね……どこまでも、私を追い詰められるなど……』
「それこそが本懐だと言うのなら、全力を尽くすのが、私たちの役目です」
 弥生は「刈り蹴り」で地形を利用した「体術」で絡みつく。
「フレンドリーファイアも許容します。全火力、全砲門を照準、ラースタチカに」
 その覚悟に睦月の「スパイダーネット」がラースタチカに掛けられる。
『……なんて愚かな……。死ぬ気ですか……!』
「そのつもりはないですよ。わたくしは仲間を――信じていますから」
「その通りっ! ボクは仲間を死なせたりはしないよっ!」
 「マジックランスチャージ」を溜めたシャーロットがラースタチカを見据え、その槍の矛先は光を帯びた加速となってシールドを破壊せしめていた。
『……私のシールドが……!』
「飽和攻撃を仕掛けるのです。今ならば少しばかり防御は手薄になっているはず……!」
 伊織もラースタチカに照準し、その攻撃網を絞る。
 足の止まったラースタチカへとビーシャの艦の一撃が突き刺さっていた。
「多用はできません、撃つのは一発。だからこそ、必ず当てること。最低シールドの一つでも壊さないとサボってると思われちゃいますからね」
 「オブザベイション」で敵の動きを探りつつ、遥は「重圧」もかけて相手の抵抗を封殺しようとする。
『そ、その程度のプレッシャーで……まだシールドは残っています……!』
 睦月の「フレイムブリッツ」がネットを焼き払い、ようやく自由になったと思った弥生だったが、「イーグルヴァンガードIF(連盟)」は彼女の想定以上のダメージを負っていた。
(まさか、スパイダーネットの中でわたくしを盾に!?)
「届け――! わたくしたちの!」
 遥は雄叫びを上げながら刃の切っ先を突きつけていた。
 無数のビームの火線が掃射され、拡散して機体を擦り切ろうとする。
 一撃一撃でさえも、必殺の域に到達したラースタチカの反撃を、遥は押し通していた。
 ――最後の一撃へと書ける修羅。戦いの中でこそ輝く、一刹那の幻影に追い縋るように。
 放たれた刺突がラースタチカの装甲に食い込む。
 即座に飛び交うシールドの殺意。
 絶対の殺戮包囲網に飛び込んだ遥は、切っ先より衝撃波を放ち、ラースタチカのシールド兵装によって弾き飛ばされる前に一閃を叩き込んでいた。
「甘いのよ。――わたしたちの繋がりをその程度と、見誤ったのもね」
『あ、甘いのはどちらですか?』
 それでもラースタチカの操縦者は冷静さを失っていなかった。ラースタチカは動ける範囲で弥生の「イーグルヴァンガードIF(連盟)」を盾に、常にダメージを緩和し続けていたのだ。
 策としては悪くなかったのだが、物理的な盾をラースタチカに与えてしまった形となっていた。
 首根っこを掴まれて動けない弥生の「イーグルヴァンガードIF(連盟)」を前に、シャーロットは殺気を仕舞わなかった。
「人質を取ったようだけど、退き際は潔いほうがいいよ。……この作戦は盟主アリスちゃんの耳にも入ってないっぽいんだけど、よりにもよって謎の白い機動兵器と組んでるってどういうこと?」
 ラースタチカの操縦者は応答しない。それも当然と思いつつもシャーロットは言葉を重ねる。
「まぁ、水源を破壊すれば皇国が食糧難になってより連盟が有利になるのは分かるんだけれどね。特に恨みのない相手に対して、市長の暴走にしてもやり過ぎじゃないかな? あと死んでくださいねってどうして死んで欲しいの? 教えて?」
『……私を含めての実験ですよ』
「……やっぱりそれって、どことなく完全に駆逐するって感じじゃないってことじゃない?」
 その疑問に経衡も声を振っていた。
「先にも言ったが貴官は宣戦布告した。その時点で、白い機動兵器の自爆のやり方とは相いれないように思えるが? それは貴官の中に迷いがあると感じていいのだろうか」
『……どうとでも。私は私の使命を全うするだけですので』
「使命ねぇ……。何だかお堅いな。キミって、でももしかして……」
『私にはもしも、や仮定の話は必要ありません。ただの確定した事項だけでいいのですから』
「戦いは終わったわ、弥生を置いていきなさい!」
『わ、私をここまで追い詰めたのですから、安全圏まで脱出したらおいて帰りますから安心してください』
 中破したラースタチカは弥生の「イーグルヴァンガードIF(連盟)」を掴んだまま、残存兵力と共に撤退行動に移っていた。
 今の状態から、その背中に追い縋ることは困難である。どうやら弥生の「イーグルヴァンガードIF(連盟)」に干渉しているようで、弥生は機体から脱出できないでいた。追撃すれば弥生の危険が危ない。
「せめて名前くらい名乗ったらどうなの?」
『そ、そうですね……私はマンジュリカです』
 シャーロットの言葉に、ラースタチカの操縦者――マンジュリカ――は名乗って去っていった。

 白い機動兵器もそのほとんどが殲滅させられていた。
 残存部隊も撤退機動に移り、下手に足跡を残すことはない。
 それは同時に――この戦いで分かったことは、限りなく少ないのだという事実と、相手の戦力は際限なく強大である真実――。
「……全連隊へ。作戦は完遂された。繰り返す、作戦は完遂された。これ以上の追撃の必要はないから、手出しは無用だよ」
 苦味を噛み締めたような蔵恵の声が響き渡る中で、水源を守り通した者たちは、自分たちに守ったものの大きさと、そして改めて“白い機動兵器”とマンジュリカの強さを体感する。
 終わったわけではない。
 ――これが、始まりの戸口なのだと、その感慨を握り締めるだけであった。

 余談だが、弥生の「イーグルヴァンガードIF(連盟)」はちゃんと水源近くで解放されていた。
 マンジュリカは律儀な性格なのかもしれない。

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