6.エース機の脅威(3)
【リュミエール連隊連隊長】の
戒・クレイルは敵エース機に注目していた。今までもエース機の存在で大きく戦局が左右されて来た。
この渡河作戦を頓挫させる為にはグラナートの抑えは不可欠だと考える。
高速で水上を自由に動けるであろう敵エース機に対し、こちらは水中・水上の両面より攻撃を仕掛け、動きを封じていくことにした。
そのことを【リュミエール連隊】の仲間に伝える。
「我が部隊は敵エース機変幻の守護者グラナートの迎撃に向かいます。岸で自ら防衛に当たる王の所へは近づけさせはしません!」
――ルミナス王朝を守ためにどうか皆様のお力をお貸しください。
防衛戦の開始前、整列した各連隊や傭兵達を前にソラン・ラッグスが言葉をかけた。
その時
志那都 彩が【リュミエール連隊】としての方針を伝えソランの協力と助力を求めた。
もちろんソランからエース機を抑え込むためにも全面的に協力することを伝えられた。
ベグライターの戒は
セルヴァン・マティリアのピンネース型飛空艦にシュヴァリエ・マーメイド【シュヴァリエ・マーマン】に搭乗して乗り込む。
事前に
癒しの巫女に機体にシールドエンチャントを施してもらい、またジャミングウェーブを流してもらって敵ピンネース型飛空艦から補足されない様にする。
「初の水中戦、……緊張するなぁ」
セルヴァンはカンフォートパフュームの香りで精神を安定させライフリキッドを備えて操縦席に座る。
スチールライナーのセルヴァンの役割は“罠を仕掛けること”だった。
「ふふふ……グラナート網漁と行きましょうか」
彩もまたカンフォートパフュームの香りで気持ちを落ち着かせていた。
ガジェットドクターの巫女装束である【藍袴の装束】を纏いセルヴァンのピンネース型飛空艦に同乗していた。
(連盟の思惑、通りには……させない。
王朝、を護る為……にも、ここは通さない)
彩の役割は敵撃破の補佐を行うことだった。
ベグライターの
乙町 空はシュヴァリエ・アーチャーに搭乗して前線までは
砂原 秋良のガレアス型飛空艦【グランドハート】に搭載してもらい移動していた。
「なるほど、狙いはグラナートになりますか」
スチールライナーの秋良はグランドハートにサブマリンユニットと地龍神筒を装備しての出動だった。
「流通の為と言いつつ、決裂直後に実力行使……少し稚拙な感じもしますが……この状況、王朝に与する者としては看過出来ません」
空は今回のデキムスの動き方に違和感を感じていた。
「うさんくさい交渉が決裂したから、というのは建前なんでしょうね。わかりやすくていいですね」
秋良が空の言葉に同意する。
「どう転んでもこうなったんでしょうし、それが早いか遅いかの違いなだけ。
その中でできることをやればいいだけです。
相手方には勇者バルタザールの英雄譚の礎のひとつになってもらう。その物語を綴りましょう」
空も頷きリュミエールの一員として迎撃の任に集中する。
秋良の飛空艦には
ヤクモ・ミシバのデモンズロアも同乗していた。
「やることはいつも通りで変わらんさ。敵が来る、だから潰す。
わかりやすくていいってことだ」
ASに青春を捧げた少女がヤクモの機体にホスピタリティを施す。また、冷静に戦えるようにとお守りを置いておいてくれた。
『リュミエール連隊、グラナートが接近して来ます』
広域の通信網からソランが警告する。
セルヴァンはパッシブソナーでより正確に敵グラナートの位置を探る。
「水中や水上で少々やり方に難があるかもしれんが……やれることをやるとしようじゃないか」
ベグライターのヤクモはマジックミサイルアックスとフローユニットと投擲型デプス・チャージを搭載したデモンズロアで出て水上からグラナートを迎撃する。
「水上や水中で他の属性がどこまで使えるかわからんしな。
敵に攻撃するときには舞踏を組み込んでやってみようか」
ウインドマントとマジックシールド、あとマジックソードの組み合わせでフローユニットで小回りは効かなくなっているためその辺りを気をつける。
距離があるときに牽制のためマジックミサイルを撃ち込む。
水中では投擲型デプス・チャージ×4を投げる。
「当たれば効くだろうし、当たらなくても爆発の影響はあるだろうしな」
秋良はカバリング・ファイアーでヤクモ達の支援を行う。
水上で狙うときはストーン・ショットガンやウィークポイントアタック、水中で狙うときはサブマリンユニットで潜水しての地龍神筒で攻撃する。
「副砲で火力に難はあるかもですが、弱点に当たれば行ける」
味方を巻き込まないようにも気をつける。マジックウォールも使う。
いざというときにはライフリキッドも使っていく。
連隊メンバーや他の連隊、王朝の人達と足を引っ張りあわないようにも気をつける。
できる範囲で合わせていけるようにする。
【シュヴァリエ・マーメイド】で出撃したベグライターの
京・ハワードも敵エース機の撃退に向かう。
「やはりこういう結果になりましたか、ですがその手は桑名の焼き蛤です!
グラナートに上陸される前に決着をつけましょう!」
「グラナート、補足!」
セルヴァンが他の仲間にも位置を無線で通達して迎撃態勢を整える。