■プロローグ■
――撃墜されてしまった飛空艦が見える丘
自由都市連盟の
盟主アリス・エイヴァリーと、彼女に私的に雇われている“カウンターソルジャー”
マッシュは、飛空艦の残骸と、その近くにいる
ガドラスガードや
“バンディッツ”を双眼鏡やモノクルターゲットで確認していた。
二人の後ろには2機のアーマードスレイヴが立っている。
1機は汎用型アーマードスレイヴをマッシュがカスタマイズした
マッシュカスタム。今は鐵皇国に協力しているが、
ル・フェイといいマッシュといい、ソルジャーはカスタマイズした機体に自分の名前を付けるのが通例のようだ。
もう1機はアリスが乗ってきた深緑色のアーマードスレイヴである。
「思っていた以上にガドラスガードの数が多いですね」
「そうだな。勢力範囲を侵犯すれば、今までも飛空艦を撃墜していたが、それにしては数が多い」
アリスもマッシュも同意見だった。
飛空艦がガドラスガードに撃墜された、という事件は、ガドラスガードと隣接している勢力範囲では割とよくあることで、自由都市連盟はそれを避けるために、ガドラスガードの勢力範囲に極力隣接しない勢力範囲を拡大している。
ただ、それは飛空艦が
ガドラスティアを狙っているとガドラスガードに認識されて起こると推測されており、大抵の場合撃墜された後ガドラスガードは撤退してゆく。
そこへ“はぐれソルジャー”の中でも戦場に散らばる残骸を回収する“バンディッツ”たちが動き出すのだが、今回は少々様子が異なっていた。
ガドラスガードが飛空艦の残骸からあまり離れないのだ。
「……可能性の話だが、
お前がイスカリオで造らせていたものを脅威と認識したのかもな」
「ガドラスガードが、ですか!?」
「……あくまで可能性の話だ」
「……」
マッシュの突拍子の無い憶測にアリスはしばらく考え込む。
「ともあれ、
“新型機”のロールアウトは急務です。マッシュは“バンディッツ”をお願いします」
「了解した」
二人はそれぞれのアーマードスレイヴに乗り込むと、特異者との合流地点へと向かうのだった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】ガドラスガードを倒す
荒野の戦場
集中攻撃
【2】飛空艦から“バンディッツ”を追い払う
盗人たちの意地
飛空艦の確保
エピローグ