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≪ロボティクスウォー≫失地回復を阻む“夕闇団”を倒せ!【皇国】

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≪ロボティクスウォー≫失地回復を阻む“夕闇団”を倒せ!【皇国】
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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■2-3.響き渡る号令

「構造から考えればこの先に人質が閉じ込められているはず……」

 “Bloodlines”所属のガジェットドクター、成神月 鈴奈は夕闇団の保有するキャラック型へと潜入しながら、図面を作成していた。彼女は以前この艦と同型艦に乗り込んだことがあるが、自分の飛空艦でもない限り、そうそう内部構造まで覚えているわけではない。
 結果的に一からマッピングを行い、人質の捕らえられているだろう場所、そこへ繋がる区画を見つけたが、どうやら物理的に封鎖されているようだった。

「雷神槌で破壊しないと進めそうにありませんね」

 言いながら槌を振り上げた鈴奈をフォローするように、残る二人のモノノフが得物を掲げる。

「音が出る以上、誰かが気づくかもしれない。その時はまず私が対処するわ」

 薙刀を構えながら呼吸を整えるのは西村 由梨。二人が視線を合わせると、鈴奈は一気に雷神槌を振り下ろした。

 ガジェットドクターである彼女は構造物の組成にも詳しい。急場しのぎで作られたバリケードの、最も脆い部分に向けて放たれた一撃は容易く封鎖を打ち崩す。

 キャラック型は格別大きい艦というわけではない。こうして音を立てれば、一人か二人は気づいてしまうもの。

「!」

 恐らく人質を見張っていた者だろう、それが曲がり角から走ってやってくる。予定していた通り、鈴奈と立ち位置を変えるようにして由梨が前へ出て薙刀を下段に構える。下段構えというのは相手の意識をその刃先へと誘導する力がある。

 薙刀そのものに警戒を向けたことを利用して、由梨自身がその隙に大きく前へ倒れ込む。相手が大きな声を上げるよりも早く、由梨は力強く床を踏み込み見張りの懐へと飛び込んだのだ。

「燕……返し――!」

 放たれた必殺の二連撃。それは一瞬で見張りの意識を刈り取り、騒ぎを起こすことなく状況を制圧した。

「……うまくいってよかったですが。流石にこう立て続けに攻撃をかけるとなると狙いは定まりませんね」

 由梨の狙いはアサルトライフルとモノクルターゲット。これらを一瞬で沈黙させることで増援が来ないようにするつもりだったのだが、

「結果オーライ、ってところね」

 潜入班最後の一人、ヒルデガルド・ガードナーが由梨の肩を叩いた。

「ヒルダさん」

「ここからは私が先行するわ。一人昏倒させちゃった以上、展開を早める必要があるしね」

「了解よ。ヒルダさんにお任せするのだわ」

「任せておいて」

 こうした巡回には定時連絡がつきもの。騒ぎこそ広まらなかったが、そうした連絡が途絶えてしまえば警戒度は急激に高まるはず。それを恐れたヒルデガルドは素早く艦の奥深くへと足を進めていく。

「……よし」

 そうして見かけた、孤立した見張り。鈴奈の推測が正しければ人質の捕らえられた区画は目前のはず。一つ一つの部屋を悠長に確認している時間が無いとなれば――。

(今!)

 気配を消したヒルデガルドが、流れるように巡回を行なうはぐれソルジャーに絡みついた。首筋に刀を当て、

「動くな。住民はどこだ」

 人質の詳しい位置を聞き出していく。鈴奈の推測は正しく、こうして奇襲をかけたタイミングも完璧であった。ヒルデガルドは鈴奈たちや、艦で待つ仲間たちに状況を伝えながら人質が捕らえられている部屋へと向かう。

 見張りは一人、これさえ倒してしまえば後は帰るだけ。気配を殺した静かな接近、そこから繰り出される一撃は的確にはぐれソルジャーの武器を叩き落とす。

「これで終わりだ」

 得物を失いこちらへ掴みかかってきたはぐれソルジャーへカウンター気味に刀の柄を叩き込んだヒルデガルド。気絶させた見張りから鍵を奪い解錠しながら、

「住民の囚われている場所を発見、解放次第脱出するわ」

 鮮やかな手並みで救出作業を進めていくのであった。

 彼女たち三人の鮮やかな救出劇。夕闇団が彼女たちの存在に気づくのは脱出の直前になってからだった。鈴奈たち救出班の作戦の成功の知らせを受け取ったBloodlinesの本隊は、すぐさま、艦隊戦に移行していた。

「ソナーに感あり。位置を共有するぜ」

 マジックウォールを纏った飛空艦・朝凪が移動を開始する。ネーベル・ゼルトナーから送られたソナーの情報を確認した高橋 凛音の駆る飛空艦・夕凪がそれを追う形で続く。

「了解じゃ。さーて、艦隊戦と洒落込むことにするかのぅ」

 凛音は軽く安全ヘルメットのかぶり心地を調整しながら悠然と操縦桿を握る。ル・フェイから共有された棹銅の地形情報とソナーの結果を合わせながら、採るべき航路を確認した。

 裏では夕闇団がパブリックで共有しているアイドルたちの歌動画が流れ続けている。

「はぁ……コッチじゃこんな曲流行ってるのかねぇ……」

「略奪を旨とする手合でなければ和むところじゃがのう」

 ネーブルのぼやきに応える形で返しながら凛音は苦笑した。そうして棹銅の街へと距離を詰めたところで、

『こちら救出班、無事に戦域を離脱したわ』

 鈴奈たちから改めて通信が入った。

「聞こえたなアヤメ、突入を開始せよ」

『かしこまりました』

 凛音はついで、別働隊であるアヤメ・アルモシュタラに対しても号令を送る。アヤメは先に棹銅の街、その外周部からの潜入を試みていた。

 元々のプランでは既に敵飛空艦の近くまで寄せていくつもりであったが、万一露見してしまった時敵艦は救出作戦の前に離陸してしまうとしてル・フェイから制止を受けたからである。

「ち、ジーベック艦も動き出したみたいだ。どうする、凛音」

「数的有利を作ることを優先じゃな。……目標は変わらず、キャラック型! スパイダーネット、展開するぞ!」

 四蓮独立連隊が艦隊戦を行わなかった分、ジーベック型飛空艦が先んじて飛び立とうとしていることに彼女たちは早期に気づくことができた。ややも離れた場所、ここでキャラック型に先手を打つことが出来れば問題はない。

 凛音の展開したスパイダーネットによって、離陸を妨害されたキャラック型。そこへ向けて凛音とネーベルは一斉に照準を合わせた。

 そして、凛音の号令よりも先、キャラック型の装甲に火花が走った。

『こちらアヤメ……射撃予定地点に到着。攻撃を開始しています』

 隠密行動は彼女の得意とするところ。警戒網をなんとかかいくぐった彼女は、ヘビーマシンガンによってキャラック型のエンジン部へ向けて弾丸を叩き込み続けていた。

 機動兵器群の攻撃は飛空艦に対して決定打にはなりえない。アヤメの射撃がいかに正確だといえど、キャラック型の動力炉を撃ち抜くまでには至らないだろう。しかしスパイダーネットに加えて次々に叩き込まれる機動兵器による攻撃は、キャラック型を駆る夕闇団のソルジャーたちを混乱させるには十分すぎる効果を発揮していた。

 混乱が混乱を呼び、こちらへの対応が遅れていることを確信する凛音。

「街を人質に取る様な外道に容赦はせぬ……」

 彼女は笑みを深くして通信を送る。

「ネーベル! タイミング合わせ~。目標、出遅れた艦に向け、撃てぇ~!!」

「全砲門、叩き込む……!」

 タウルスカノンとファイヤーカノンによる一斉砲火。頭を押さえつけられる形で次々に打ち込まれる砲弾は、キャラック型飛空艦の装甲を次々に食い荒らしていく。

 完全な離陸を行なうことができなかったキャラック型はまともな回避運動を取ることができず、彼女たち二隻の砲弾を直接浴びる形となる。頭を抑えられ立て続けに直撃を貰った飛空艦は、火を吹きそのまま爆散していった。

「凛音、アタシはジーベック型の足を止める。そっちはそのまま引き付けに動いてくれよ」

「おう。最大船速でぶちかまして動くとしようかの」

 二隻で一隻に当たったお陰でBloodlinesは行動に余裕を持つことができた。妨害を終えたアヤメとも合流しながら、改めて、飛来する敵勢力の対処へ彼女たちは向かうのだった。

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