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≪ロボティクスウォー≫失地回復を阻む“夕闇団”を倒せ!【皇国】

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≪ロボティクスウォー≫失地回復を阻む“夕闇団”を倒せ!【皇国】
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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■1-1.開幕の一撃

 棹銅の街。元々鐵皇国の領土であったこの場所を、今まさにはぐれソルジャーである“夕闇団”が蹂躙していた。ダークレッドに塗られた飛空艦が停泊し、手当たり次第に略奪を繰り広げている。いくらかの人は彼らの人質となり、後々の交渉に使われる予定でもあった。

 そうした飛空艦と同じ色の機動兵器たちは警備のため街の外周へと展開、街の外へと睨みを利かせていた。

 夕闇団のダークレッドを最初に捉えたのは独立連隊“ライトニング”の面々。彼らを迎撃するべく機動兵器群が動き出す。

「それでは皆さんの勝利を祈願いたしまして……」

 先頭を行くガレアス型飛空艦。その中で拍手を打ったのは“エテルナの司祭”クラリス・アーデット。ガジェットドクターとして舞った鼓舞踊、それを受けたかのように、それぞれの飛空艦の加速器が一層明るく輝いた。

 彼女を乗せたガレアス型飛空艦、それを操るビーシャ・ウォルコットは立て続けにパッシブソナーを放つ。安全を最優先するのが彼女の流儀であったが、いずれにせよ今回は相手に既に視認され警戒されている状況。街に潜む機動兵器たちの布陣を把握することが何より最優先であるという判断であった。

「ソナー確認。第一降下予定地点までおよそ三十秒」

「降下予定了解! アル、フィーア、私の順番で出るわよ!」

「良い旅路を」

 ビーシャのアナウンスに従うように出撃準備を進めるのは桐ヶ谷 遥を筆頭とした三機の編成。彼女たちは最初の露払い、そして囮としての役目を担っている。

「了解。さあ、アルフレッド・エイガー……出るぜ!」

フィーア・シュナイデ、続いて行くよー!」

 最初に着地したのはアルフレッド操るシュヴァリエ・メイジだ。エンブレムシールドにマジックシールドを纏わせながら、敵の布陣する場所へと前進を開始する。

 彼が狙うのは近接戦仕様の機体。砲撃戦を得意とするアーマードスレイヴに好き勝手されるわけにはいかないが、それを抑えるためにも前衛を仕留めなければならない。

 まずは後衛に位置する敵の先制攻撃を凌がなければならないのだが――。

「マジか!?」

 所詮ははぐれソルジャー。貧乏所帯である以上ビームを主体に攻めてくると踏んでいたのだが、飛んできたのはアーマードスレイヴ用の重機関銃による一斉掃射であった。

 エンブレムシールドだけでは受け止めきれない。ウィンドマントを翻して一気に機体を加速させ、街の家屋の陰へと滑り込む。

「くそ、思ってたようにはいかないもんだな……!」

 即座に戦術を組み替えるアルフレッド。既にフィーアと遥は攻撃態勢に入っている、このまま強気に出ない選択肢はない。

「やられる前に、やれってな!」

 シュヴァリエ・メイジに持たせたマジックミサイルアックスを巧みに振り回しながら一気に敵機の正面へと飛び込んでいく。攻撃が目的ではない、催眠効果を持つその剣筋によってなんとか射撃を惑わせた彼はそのまま前衛となっている極風へと飛び込んだ。

 迎撃がわりに放たれたピームピストル、それを安堵しながら受け止めた彼は、機体をぶつける勢いで加速する。

 そうしてたたらを踏み後退しそこねた極風をアルフレッド――ではなく、側面から飛来した飛去来器が刈り取った。

「お手伝いさせていただくのですよ!」

 それを放ったのはアガートラム改二を操る土方 伊織。相手が近接攻撃を行わないと見て取るや、奇襲気味に飛去来器を投擲したのであった。

「次は、こちらで!」

 畳み掛けるようにアガートラム改二の試製蜂巣砲が火を噴いた。砲身を束ね回転させることで実現した連射性能、そこから来る圧力は決してヘビーマシンガンに劣るものではない。アーマードスレイヴ対策として開発されたその強さを活かして、一気に敵の動きを崩していく。

 だが試製蜂巣砲は決して万能と言えるほどの武器ではない。特に、二回の掃射分で尽きる弾薬は最たるものだ。

「はわわ! この間になんとか前衛を排除したいところなのです……!」

 回収した飛去来器を改めて構え直しながら次の一手を探る伊織機。幸いながら彼の機体は実弾に強いもの、脅威となるのはそれこそ極風のビームピストルぐらいなものだ。

「ビームは俺に任せな!」

「はいっ!」

 翻り対ビーム特化のアルフレッドにとってはビームピストル程度豆鉄砲でしかない。二機が協力し合うことによって前衛へ距離を詰め制圧することはそう難しいことではなくなっていた。

 当然、そうなれば焦るのは夕闇団の後衛を務める砲戦型のアーマードスレイヴと破摧の守護者ゾイサイトたちだろう。厄介な二機を仕留めるために火線を集中させようと狙いを絞る。

「やらせないっての!」

 それを待っていたのがフィーアのアーマードスレイヴだ。ラビットムーヴによって見晴らしのいい場所まで陣取った彼女が、建物の隙間を縫うようにしてビームピストルを撃ち放つ。

 精密狙撃とも言えるその一撃、予想だにしていなかった攻撃によって砲戦型のアーマードスレイヴが攻撃の手を止める。即座に撃破まで至ることはなかったが、しかし、火器管制に必要なセンサーを破壊されていたのだった。

「ドンピシャ!」

 幸いアーマードスレイヴに関して、フィーアには一日の長があった。どこを撃たれれば相手が嫌がるかを的確に把握し、それを精密に撃ち抜くということができるのは、ライトニングの中でもフィーアだからこそ出来る芸当であった。

 前衛が抑えられ後衛が動揺したその瞬間を狙うのが桐ケ谷遥のシュヴァリエ・ルーク。あえてシュヴァリエを用いることで、敵機の目を惹くことが最大の目的だ。

(とはいえ、それこそビームを使ってこないのは予想外だったけれど――)

 ウィンドマントを活かして入り組んだ地形を機動する彼女の姿は相手にとっても異様に見える。彼女を近づけまいと無傷のゾイサイトがヘビーマシンガンを斉射する。

「少しのダメージは……覚悟の上よ!」

 フィーアの援護もあって全ての火線が集中するわけではない。必殺の構えから放たれる天喰刃の衝撃波――それによって、火器管制が正常なゾイサイトもその腕を切り裂かれ攻撃能力を失っていく。

「このまま後衛を食い荒らすわよ! アルフレッド、フィーア、お願いね!」

 彼女たちの立ち回りは至極派手なもの。必然的に、彼女たちを止めるべく夕闇団の戦力も少しずつ集まっていくことになる。

「ふむ。ビーシャからもたらされた布陣を考えれば、ここを押さえるのが肝要か」

 そうした敵の集合を撹乱しようと目を光らせていたのは馬謖 幼常である。クナール型飛空艦を操りながら幼女とは思えぬ鋭い目つきで戦場を見下ろす彼女は、類まれなる集中力を発揮しながら戦局を分析していた。

「フィーリアスもパッシブソナーを展開し続けている。俺もそちらのフォローに入らせてもらうか」

 パッシブソナーは敵の布陣を共有できる優秀な装備だが、反面としてどうしても敵に位置を捕捉され攻めかかられやすくもなる。それでもこの棹銅の街の地形を考えれば、パッシブソナーの役割は非常に重要なものだ。

 幼常はフィーリアス――フィーリアス・ロードアルゼリアの飛空艦と足並みを揃えながら、スパイダーネットを展開した。突出しこちらに仕掛けようとしてきた敵の小隊を絡め取った幼常は、即座にフィーリアスのクナール型飛空艦への通信を開いた。

「フィーリアス! 敵機体の接近はこちらで押さえる! そちらはデータの共有に専念してくれ!」

「! 助かるわ、幼女さん!」

「幼常だ!」

「そういうことよ。聞こえたわね、ジェノ!」

 フィーリアスの飛空艦に搭乗していたのはジェノ・サリスの操る突撃型のアーマードスレイヴだ。機体のサイズと機動力を活かしながら街を疾走していた彼は、フィーリアスから共有された情報をピックアップしながら大回りに接近していく。

「フィーリアス! 近くに味方はいるか?」

「ええ。遥さんたちに今位置情報を共有したわ!」

 スパイダーネットに絡め取られて身動きが取れなくなっている敵小隊と遥たちが接触。すぐさま射撃戦へと移行した彼らを横撃するようにジェノのアーマードスレイヴが迫る。

(敵はこの小隊だけではない。このまま遥たちと協働して予定地点に追い込んでいくとするか)

 入り組んだ地形は正しく、隠密行動を旨とする彼にとっては格好の戦場だ。横合いから飛び出した彼は即座にアサルトライフルを連射し、瞬く間に一機の腕を破壊した。

 混乱する敵部隊。彼らも馬鹿ではないらしい、即座に後退を選択したのは実に危険意識が出来た相手だということだ。

「だがそちらは……狩り場だ」

「ストーンアーバレストによるカバリング・ファイアーを敢行するわよ!」

 幼常のソイルウォールによって逃走経路を限定された敵機は開けた場所へと誘導される。そこへと叩き込まれる文字通りの石弩が次々に敵の機体へと降り注ぐ。

「ここなら、街の建物に被害はでない!」

 開けたこの場所にこなければジェノの追撃を躱すことが出来ず、しかし、ここに来ればフィーリアスによる一斉砲火が待ち受けている。砲撃が止んだと思えば、今度は幼常のソイルウォールによって道を塞がれる。

 仲間たちの密なパッシブソナーによる位置情報の把握。それは仲間同士で攻撃を邪魔しあうような悪手を減らしていた。

「フィーリアス。他の敵の誘導は出来ているか?」

「ええ。大和さんの方にも無事敵を送り込めているわ」

「ならこれは仕留めても構わないな」

 ジェノは大きく機体を跳ねさせながらアサルトライフルの銃口を敵機へと合わせる。射撃兵装であろうと、モノノフであればその狙いを絞り篭手を撃ち抜くことなど容易いものだ。

「これで終わりだ」

 相手に一気に接近しながら弾丸を叩き込んだジェノのアーマードスレイヴは、そのまま大地に火花を散らすようにしながら飛び上がった。

「二、三発はもらったか」

 ライフリキッドによって急速に損傷を癒やしながら彼はつぶやく。気づけば敵小隊は全ての武器を失い、実質的に戦闘不能へと追い込まれていたのだった。

「残りの追い込みは伊織や遥たちに任せるとしよう」

 そう。まだこの作戦は終わりではない。彼らライトニングの、その最終段階が今実を結ぼうとしていた。

 ――ビーシャの艦に乗っていたのはクラリスやアルフレッド、遥たちだけではない。ガジェットドクター、レベッカ・ベーレンドルフも“そう”である。

「ビーシャ、クラリス! アルフレッドや伊織の修復と補給は終わったか?」

「はいっ。補給用カートリッジはこれで全て使用済み。再出撃可能です!」

「補給完了了解。それならこのままレベッカを降ろせる場所まで移動するわ」

 連続戦闘に向かない伊織の機関砲、想定外の装備によって多く被弾してしまったアルフレッド。彼らの機体への処置を全て終えたビーシャはすぐさま舵を取り進路を変える。アルフレッドたちが改めて出撃してくれたのを見て取ると、彼女は少し離れた場所まで移動していった。

「このあたりには敵は居ないはずです。レベッカさん、幸運を!」

「神には祈らないが……ああ、せいぜい上手くやるさ」

 そう言って出撃したレベッカだが――彼女は機動兵器どころか乗り物にすら乗っていなかった。彼女はいつ敵に襲われるかも分からないような場所へ降り立つや、その場に感知式のスタンマインを敷設していた。

 幸いライトニング最後の小隊、草薙 大和も狙いは同じ。パッシブソナーによって繋がれた情報網は着実に敵をこちら側へと誘導する流れへと変わっている。

 レベッカの潜む戦闘区域に追い込みをかけるべく立て続けに攻撃を放っている。

「そろそろレベッカの準備も終わっている頃合い。コロナ! 先行してレベッカと合流してくれ!」

「了解ですよ!」

 大和たちのグループで最も火力が高いのは草薙 コロナの操る大鐵神・野武士。大和は彼女が最も力を発揮できる機会を作るための言わば追い立て役だ。

 上空からも、レニア・クラウジウスの操るキャラック型飛空艦から立て続けに雷が降り注いでいる。対地攻撃に向いたものではない以上、直接的に戦力を削ることは無いものだが、しかし、うっかり当たってしまえば即擱座ではないものの機体の動きは止まってしまう。そうしたプレッシャーを与え続けた相手に向けて、大和が的確に弩を撃ち込み無理やりに移動させていくのだ。

「れにあ殿、少し舵を東へ回してくれい。味方の修理に当たりたい」

 その合間、余裕が出来ればレニアの飛空艦に同乗した雪神 白羽が仲間の立て直しに奔走する手筈になっている。ライトニングの役割は敵勢力の撃滅ではない。一秒でも長く矢面に立ち、相手の戦力を削ぐと共に注意を引き付ける。そのためにはこまめな修理が必要なのだ。

「東ね。大和! 少し離れるわよ!」

「ああ。時間には遅れるなよ」

「そこについては我の腕を信じてくれ」

 それぞれの動きについては当に阿吽の呼吸とでも言うべきか。ライトニングの一方が大和と合流すれば、残る仲間たちはレニアと合流し修理を進めていく。誰かしらが攻めている時には誰かが退き、そうして少しずつレベッカとコロナの待ち受ける場所まで寄せ上げる。

「さあ、言ったからには腕を尽くさなければな」

 消耗した機体を“すぴぃどりぺあ”によって即座に戦線へと復帰させ、そこに随行する形でカバリング・ファイアーによる支援を重ねていく。四隻の飛空艦による包囲網に加えて下がらぬ前線、航空戦力の少ない夕闇団にとって彼らは強い圧力となって押し込まれていった。

「細工は流々、我のひぃとえんちゃんとも万全である。後は大和殿ところな殿の“詰め”を見るばかりだな」

 大和の駆るサイフォスキャノンは遠距離射撃の管制に優れた特性を持っている。レニアの生み出したソイルウォールで逃げ場を失ったアーマードスレイヴに対して的確に放たれる射撃は、単なる牽制というだけではなく、隙を晒した機体を撃ち抜きすらする。

 逃れなければ落とされるだけ。大和は戦場の地形を活かしながら相手を寄せ付けず、また近寄らない。恐ろしいのは正面切っての撃ち合いだったが、なんとか、ライフリキッドを使って耐え忍んでいた。

「そろそろ行くぞ! レベッカ、こっちを巻き込んでくれるなよ!」

「ああ。任せておけ――」

 大和が声を上げた瞬間、激しい光が炸裂した。感知式のスタンマイン、前もってレベッカが仕掛けておいたトラップがちょうど起動したのであった。

 続けざまのクエイクカッター。地上に居る限り逃れ得ぬ大地の亀裂がレベッカから放たれ夕闇団へと動揺を走らせた。

 合わせて大和や他の仲間も一気に攻め立てる。次々と乱立するソイルウォール、突撃する前衛機、放たれる遠隔攻撃。スタンマインという脅威によって一気に混乱した敵機体は逃げるようにして袋小路へと飛び込んで行くほか無い。

「すーっ……」

 そして、それを待ち受けていたのは当然、コロナである。単純、故に強力な大鐵神が必殺の構えを取っている。背後にはアルフレッドがヒプノスソードの構えを取り、万全の体勢。

「ここまでのお膳立てがあって……失敗するわけにはいかないのです!」

 そんな彼女の裂帛の気合を体現するように、大鐵神の前腕部が火を噴いた。破砕拳、大鐵神を代表する必殺の“飛拳”である。それは白羽の調整によって真っ赤に赤熱し、まるで飴細工のようにアーマードスレイヴの駆体を吹き飛ばした。

 ――圧倒的、という他ない。狭い路地、悠長に立ち止まっていれば背後から痛烈な追撃を受け、それが嫌なら大鐵神と正面からの真っ向勝負を挑まなければならない。

(遠距離攻撃ならば手刀で撃ち落とすしか無いですが……!)

 包囲されている以上立ち止まっている余裕が夕闇団にはない。

「さあ! この不撓の拳を恐れぬのなら、かかってくるのですよ!」

 コロナの堂々とした口上。やぶれかぶれとなった夕闇団がかかってはいくものの、最早、そのような“後ろ向き”な突撃で彼女を打倒できるはずもなく。外周を守る部隊はまたたく間にライトニングの餌食となっていくのであった。

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