■プロローグ■
――棹銅(さおどう)の街郊外
鐵皇国の
皇帝・覇道 鼎は皇帝専用のアメノトリフネ(飛空戦)を郊外へ着陸させ、
大鐵神・毘沙門を下ろしていた。
「鼎様、毘沙門で大丈夫?」
「わたくしには
大鐵神・広目の方が合っていると思いますが、
この間大破させてしまいましたし、修理を進めてもらっている
大鐵神・増長は
少々考えがありますの。
あの時の二の轍は踏みませんわ」
覇道家専属の巫女(ガジェットドクター)
兼武 結咲が心配そうに聞くと、鼎は微苦笑を浮かべながら応えた。
ワールドホライゾンでの、自由都市連盟のソルジャーが駆る空の守護者ヘルグリューンとの戦いは、彼女にとっていまだに苦い思い出である。
軍事指導として雇っているソルジャーの
ル・フェイにも散々突っ込まれているし、今回は特異者という仲間がいる。
それに棹銅の街を無法者である“はぐれソルジャー”の
“夕闇団”から取り戻し、鐵皇国の勢力下に置きたいという目的もある。
もう、あのように無様に負けられないという、彼女なりの決意があった。
「だいたいこんな感じかしら」
そこへ愛機
ル・フェイカスタムを駆るル・フェイが戻ってきた。
特異者に頼まれて、ル・フェイカスタムのならし運転を兼ねて、周辺を事前に偵察してきたのだ。
「あんたは皇帝なんだから、どっしりと構えていればいいのよ。それと自分の実力と仲間を信じることね。何せあの“七日間の地獄の特訓”を途中で諦めないで最後までやり遂げて、大鐵神に乗れるようになったのだから」
「ル・フェイ……そう、ですわね」
鼎の表情と雰囲気から察したのか、ル・フェイが発破を掛けた。
その言葉に背中を押されるように鼎は真顔になると、棹銅の街を“夕闇団”から取り戻すべく、大鐵神・毘沙門へと向かっていった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】“夕闇団”の機動兵器を倒す
■1-1.開幕の一撃
■1-2.一斉包囲
【2】飛空艦に捕らわれた住民を救出する
■2-1.風が吹くように
■2-2.助け合う者
■2-3.響き渡る号令
■2-4.勝利を告げる声
エピローグ