ブルーガーデンの日常 2
八代 優はレディステディで事前に
ノエルをきっかけに
ナユタと
コウを誘っておいた。
「……わたし達のバトル、見てくれると嬉しい。……きっと、心に残るものにするから」
そう誘い文句で。
「ちょうど、近々合同コンペがあると聞きます……自分達が成す演奏演武(バトルライブ)が、皆さんの刺激と激励になれば幸いです」
「おいおい、なんど戦ってもお前のお堅さはそのままだな」
「まぁ、これも自分の個性という事でご容赦をば……」
「ははは! だなっもっと砕けてくれるのを期待してるぜ」
いつものメンバーと化してきてたクラスメイトとバトルを申し込んだ
小山田 小太郎。
今回は観客に優が誘ったノエル・ナユタ・コウがいる。
「ブルー粒子の新たな可能性を紡ぐ為に……我らが演奏演武を、皆さんに示します」
小太郎はたスピアレーザーガンを媒介にアクティベーションⅡで独鈷所をアクティベート。
「……この一瞬を、忘れぬように。……心を護り活路を拓く演奏と成す」
優も≪S≫想奏祈響の音色を奏でる事でヴァーチャルイコライザーの波形エフェクトを展開する。
旋律を調整しながら相手の動きや攻撃を読み取って具現化したBPMブーストのレーザーで相殺をし道を拓くために。
複数人で行うバトルだからBFFミックスで連携を高めて、音を整えて。
大切なものが揺るがぬように……皆の心に想い響かす祈りの旋律を届けて、3人の演奏演武を形にするために。
「俺達流のバトルでも、魅せられるといいな!」
睡蓮寺 陽介もここのプランク学院を気に入っていた。
クラスメイトが気の良い連中だったこともある。
調査の事とか裏の事情を忘れた訳ではないが、良くして貰ったなのら、ちゃんと礼には礼で返さなきゃ嘘だろうと思うくらいには思い入れがあった。
だから、演奏演武を行うのだ。
ノエル達やクラスメイトにも合同コンペティションに出る人はいるかもしれない。
本番前のちょっとした壮行会、魅せることで背中を押そう。
「人を魅せるパフォーマーってのが俺の夢なんでね……!!」
ノエル達も来てくれるならプレイヤーだけでなく観客もいるということだ……恥ずかしい戦いはできない!
陽介は前回オルガノレウム・イミテーションがなくてもアダプターの技は使える事がわかった。
アニマクリエイトでコンボ:OCMガードによって生み出した数十にも及ぶ舞う蝶にOCM.REFによる反射能力を付与して皆を護り、その上でOL.レイ・アルパのフォルテによる演奏を乗せる。
そして激震ビートフュージョンでバトルを盛り上げていく。
「お前達の連携はとっくに分かってんだよ!」
「こっちだって成長してんだからな!」
以前は銃をアクティベートしただけの生徒がDD:バスターライフルをアクティベート。
ポイントを集めてデータを手に入れたらしい。
「優さん!」
「分かってる」
表向きは高出力の大口径レーザーライフルとされているが、実際には試製プラズマ投射砲は優のBPMブーストのレーザーと相殺。
陽介の蝶にも打開策を探るように二人がかりでスピアレーザーガンやショットバーナーで蝶の盾に攻撃仕掛けている。
その後ろで陽介は陽気にフォルテの演奏の最中に激震ビートフュージョンで大地震が起きているような錯覚で相手を前後不覚にさせた上で、強力な打撃攻撃を行う。
「陽介君はあまり前に出ないで。盾で守れる範囲は限られていますよ」
「だな。気ぃ付けるわ」
「優さん、次の相殺で前に出ます。援護を」
「……ん」
二人にそう指示を出す小太郎。
バスターライフルと優のBPMブーストのレーザーが相殺し道を拓く先に宣言通り小太郎が前に出る。
独鈷所の刺突とレーザーの射撃を織り交ぜた戦闘技法にエレクトロアクセルを交えて刺突をや銃撃を加速させ突出。
それを受け止めるのはホエールスライサーをアクティベートした青年。
お返しとばかりにソニックバーンの高速攻撃が繰り出される。
それをエレクトロアクセルで加速させて打ち払い前へ。
高速の乱打が陽介の音楽にアクセントを添えていく。
クラスメイトの方とも何度も戦いこちらの癖も見抜き始めている。
そのための対策だって練ってきていた。
それでも、誠意と全霊を尽くし臨むまで。
ただ、それでは普通のバトル……重要なのは、演奏と武技を織り交ぜ人を魅せ人を惹きつけるバトルライブと成す事。
優が演奏と共に相手の攻撃を察知し撃ち落し、陽介が音に合わせたパフォーマンスで人を魅せつつ皆を護る。
小太郎はそれに合わせ遠隔操作系の防御兵装と称して展開した信念の光刃の防御にて攻撃を潜り抜け相手に槍を突きつけ勝負をつけにかかる。
2人を活かすように立ち回り、パーティクル・アナライザーで捉えた予兆を基にした情況予測にて実現させていく。
「(例えここが仮想の世界でも、皆はここに生きている。この先何があろうと……この青き日々に紡いだ思い出に、嘘はないのだから。どうか……この演奏演武が、皆を支えとならん事を)」
そう願いを込めたライブバトル。
ナユタとコウにもその思いが伝わることを願って。
小太郎たちのチームは祈るように戦った。
◇ ◇ ◇
アマネと通信を繋げるのは
紫月 幸人。
「さてさて、キョウちゃんまだ帰ってこないけど大丈夫かなぁ!?」
『大丈夫ですよ。キョウさんは』
「キョウちゃんを拘束してる奴絶対陰湿だよ!? 空前絶後の超絶美少女であるキョウちゃんを前にして何するか分からないから心配が加速度的に増しちゃうううう!!」
『はぁ……?』
「という事でアマネちゃん、早くキョウちゃん奪還の手配の方お願いしますぅ! マークされない為に裏方に徹してるんだからぁ! キョウちゃんに何かあったら、アマネちゃんにはコスして貰いますので、キョウちゃんのね!」
『それはお断りします』
「いや、絶対させてやるううううぅぅぅぅぅぅ!!」
『報告がないのなら、これで通信を切りますね。それでは』
――ブチッ
幸人の愚痴には付き合ってられない。
アマネにはやらなければならないことが山のようにあるのだから。
そしてキョウのコスプレも着たくない。
◇ ◇ ◇
「やるからには徹底的にです」
先程までアマネに愚痴を吐きまくっていた彼から打って変って、アマネの努力もありつつ幸人は表の顔として
セツナの舎弟としてお手製オーガニック弁当を持参した。
「はい! これでコンペティション、がんばってね。あと、これが参加者リストと俺が集めてきた参加者のプレイの癖とか使う道具とか集められるだけ集めてきたよ」
電子魔術師とかスマートクォンタムとかヴィークルとか諸々使って参加者の情報やら技術やらは調べられた範囲の他のコンペ参加者情報をまとめた書類をセツナに手渡す。
セツナはそれを受け取って真剣に読み込んでいく。
自分の力の使い方を強く、有利に戦うために。
「おっとそろそろ時間だね」
「ありがとう。これを参考にできるところまでやってくる」
「うん。頑張れセツナちゃん。君の未来の為に」
幸人はセツナの背中をポンと押してコンペティションへと送り出した。