クリエイティブRPG

観測者の葛藤

リアクション公開中!

 149

観測者の葛藤
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last

ブルーガーデンの日常 1


 永見 玲央はレイグランドワークを駆使して永見 博人の要求に応えるよう、物品調達の依頼を達成するためにクレギオンのクラスでもある政治家としての人脈/交渉力と商人の心理術での交渉により今回はクレギオンワールドの電脳関係物品を集めていた。
 ウェアラブルコンピューター及び周辺装置としてARデバイス、その他諸々。
 後、おまけとして、クレギオンワールドの空想科学読本的な何かとして選書したロステク図鑑。
 今回、博人は部員と共にプレイアデスファイルⅠの解析に着手するつもりなのだ。
 選書したロステク図鑑は何かヒントになるかもしれない。
 こういう研究は発想の転換が重要なのだ。
 そして玲央としては今回IDタグ(ETS)も入手したこともあり、セッティングまで自らの手で用意できたことで満足感満載だ。
 もうひとつのクレギオンのクラスである情報屋としての知識、全知識総動員しての情報収集とその情況予測で博人達の言動等を見て、ふっと気付いた事は助言するつもりで今回はOB生として部室に居座っている。
 養子である息子の凄さを自慢したいおじさんのように。

「先輩すげーっす」
「こんなコンピュータを用意できるなんて年の功ですな」
「金の功とも言えるでござる。フヒヒ」
「あまりそう褒めても出るのはお菓子くらいですよ。私はあくまでも助言程度と思っててくれれば。頑張って解析するのは貴方達ですよ」
「はい!」
「じゃあ、プレイアデスファイルⅠを起動するよ」

 部員達はプレイアデスファイルⅠがインストールされた異世界PCに興味津々な様子。
 飽くなき未知への探究心と好奇心は研究者の性である。
 養父の玲央が用意してくれたウェアラブルコンピューターとARデバイスも部員に使わせて、自身はユニバーサルウォッチを解析に使用。
 電子の魔術師の技術力で、ユニバーサルウォッチとウェアラブルコンピューター&ARデバイスと部員らのPCでクラウドシステムを構築する事で電算力・分析力等を上昇させるつもりだ。

「さーて中身はなーにかな」

 プレイアデスファイルⅠを攻略することで部員達のアーキテクトも電脳関係の刺激を与え、経験を積重ねる事で、先行している4人よりも先に“覚醒”する可能性も“0”ではないはず。
 だが誤算があった。
 情報自体は閲覧できるものの、高度な暗号化がなされており、PCが持ち得る手段だけでは読み解くには足りなかったのだ。

「なん、だと……!?」
「まさかのでござる」
「解読できないなんて、あり得る……のか?」
「クソがッ」

 解読できなかった悔しさがにじみ出る。
 だが、できないものはできないのだ。
 これだけの下準備をした上でもプレイアデスファイルⅠを解読するには至らなかった。
 この悔しさをバネにいつかプレイアデスファイルⅠを解析できるまでスキルを磨く……それが部の永遠の目標となった。



◇          ◇          ◇




 佐門 伽傳はひとつ懸念を抱いていた。
 学生達は被検体として集められた量子知性体ということだが、設定や記憶を操作されているならば情報も集めにくそうだということを。
 しかし、企業がこの世界を設定し学生たちに目的を与えているならば、ある程度は矛盾のないような知識を刷り込まれているのではないかとも考えられた。

 先日もおじさん呼ばわりをされてしまったが、学生に見えない歳なのは仕方ない。
 それでもブルーガーデン市民IDがあれば学生にもそう警戒はされないことも経験で実感している。
 では次はもう少し掘り下げて聞き込みをしてみようか。

「過去にも企業に見出されて“卒業”した者がいるそうだが、名前や戦い方など、何か知っているなら教えてはもらえんかな?」
「えー……んんー、誰だったかな」
「私は見ての通りライトブレードとアクティベーションする武器の二刀流だが、成績優秀な卒業生の戦いぶりを知れるなら参考にしたいので思い出せる範囲でいいのだが……」
「そうだ! 町屋 博だよ。確かそんな名前。貴方と同じ二刀流使い」
「思い出してくれて感謝する。時間を取らせたな」
「いいよー。じゃあねー」

 呼び止めた少女に礼を言って今度は{redアマネと通信を繋げる。
 呼び止めた少女に嘘を言っている様子が無かったのは嘘感知で把握している。

『もしもし。アマネさんですよ』
「伽傳だ」
『なにか分かったのですか』
「おかしいんだ。過去にも企業に見出されて“卒業”した者がいるそうだが、その名前を瞬時に思い出せる人が誰もいない。それどころか名前もバラバラだった」
『ふーん。それだけ“卒業”した人がいるとは考えないんですね』
「もうひとつ懸念がある」
『なんでしょう』
「企業は無論、次の段階へ進む準備もしているだろう。覚醒した被検体は、神格を受け入れる特異者の器として現実世界に顕現するのだろうが、量子知性体を顕現させるための器が、現実の側のどこかに用意されているのではないだろうか。クアンタロスのように機械でできた人型の器なのかもしれんし、神格の器ともなれば、力業でどうにかできるのかもしれんが……」
『そうですね……』
「それに、アーキテクトの技能を有した神格が顕現したとして、具現化などの能力を十全に発揮できるのは、ブルー粒子のあるゼストであり、高度な演算処理をされている仮想世界のブルーガーデンだからこそだ。ことによると、ブルー粒子のような性質ごと異世界に持ち込めるような、そんな厄介な技術もどこかで開発されているかもしれん」
『そういうことでしたら……ブルー粒子は生物を生み出せない。だから普通に考えれば器があると考えますよね。ただしその場合、いくら神格持ちになったとはいえ、量子知性体やクアンタロスの延長に過ぎません。これだけ大がかりな事をして“創造力”を持たせようとしていると考えると、その根底を覆す存在になる、と仮定した方がいいかもしれません』
「ふむ。そういう方向で用心しておこう。私からは以上だ」
『はーい。また何か新しい情報がありましたら、よろしくお願いしますね』

First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last