クリエイティブRPG

観測者の葛藤

リアクション公開中!

 149

観測者の葛藤
リアクション
First Prev  14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24  Next Last

コンペティション セツナとナユタの試練 2-2


「ま、ざっとこんなもんさ。チームとして動くにはそれなりの戦術がいる。バラバラに単騎で戦うのがチームという訳じゃない。まぁ、それぞれが単騎決戦を挑める技量があるのならば話は別だけどな」

 アルフレッドなりのアドバイスを親身になって聞くセツナ。
 少しでも自分の糧になるようにその顔は真剣そのものだった。
 遥たちがチーム戦の良さをセツナに教えていると同じように焔生 セナリアもコル・スコルピイを神殺の釣針で同期した上で周囲に展開して参加者と戦っていた。
 コル・スコルピイの十四基一セットの自走式浮遊砲台を神殺の釣針で離れた場所から操作し、各砲台との視覚共有により状況を把握しつつ、自身の死角を埋めるようにして各状況に対応し敵を見つけては多方向からの一点集中砲撃で仕留めていく。
 相手がチームを組んで入れば各砲台による一斉射による広域牽制を行う。
 時には時間差で回避先を予測しての偏差射撃を行ったりと、幾つもパターンを変えながら四方八方変幻自在に各砲台を立体機動させて砲撃を実行させつつ、乱入の事も考えて幾らか砲台は不意打ちに対して牽制した上で自らがアクティベーションⅡによるライフルで撃ち抜いていく。

「つまりなにが言いたいかと言えば、その時の仲間の得意な攻撃方法や距離感を自然に掴み取り、その場に合わせた立ち位置を自分で確保しなければならないんだ。コイツとは背中合わせが戦いやすそうだとか、隣り合って穴を埋め合った方が良いとか、そういうのを瞬時に判断して即席だろうと同じチームとなるべく寄り添う必要があるってことだ。人数が多いチームなら考えることはそれだけいろんなパターンを考え配置をイメージする。相手が動きやすい立ち位置をな。それを指示する人間も時には必要ってことだ。前線で戦うだけですべてが解決するわけではないことが分かれば今は良いか」
「なるほど。勉強になった」

 そうセツナが言った瞬間。
 セツナの頬をすり抜ける形でライフル弾が1つ。
 ハッと意識を切り替えれば周囲を敵に囲まれていた。
 遥たちの戦い方を学んで油断していたセツナの不手際だ。
 だが、いま過ぎ去っていったライフル弾を撃ち込んだ主は次々にセツナ達を囲んでいた者を討ち倒していく。

「逆恨みであれなんであれ、徒党を組んで女の子を狙い撃ちするのはみっともないわね? 背中は任せなさい、セツナさん」
「君はあの時の」
「そうよ。またあの時見たく共闘と行きましょう」

 セナリアはIDタグ(ETS)を首から下げ周囲にコル・スコルピイを展開しセツナと背中合わせになるように立って加勢せんばかりの体勢を取ってみせる。
 そこは自分の場所になる場所なのに! と思わずにはいられない千尋だが、千尋のポジションはセツナが自分の実力を最大限発揮できるように隙をカバーすること。
 霊醒を用いて先の先を取り、雪月落葉の三連撃で敵を確実に倒すこと。
 今のような状況なら絶界を用いてまとめて吹き飛ばすのもやぶさかさはないかもしれないが、一度きりの必殺技というのは切るタイミングがとても重要なので迷いが生じるが、それはなにも背中合わせになってまで位置取る必要はないのだ。
 そのお株すら突如現れた女に奪われそうで危機感が煽られる。
 自分と同じように彼女は各砲台で死角をカバーしつつ、多数戦に特化した変幻自在な砲撃を加えていく姿は自分より格上に見えた。
 そんなことなぞ露知らずセナリアは視覚共有によってセツナが動きやすいように、けれど彼女の為にならない事はしないよう意識しつつ牽制砲撃を続ける。
 窓や屋上からの狙撃手には、振り向かずに視界共有による照準でエレクトロアクセルを撃ちだし迎撃だってしてみせた。
 別の窓から銃撃が複数飛んできてもセツナは余裕とばかりにビルの壁を走って逃げていく。
 アイのように自由に飛べたりはしないが、それくらいはセツナにもできるのだ。
 もしセナリアの弾幕を潜り抜けて接近されたなら、刀をアクティベーションⅡして受け流し、スプレッドウィングスの機械翼で軽減したりと防御に徹しつつ砲撃を行わせ、その途中、セツナが此方を見たりする動きを視界共有で確認したなら、息を合わせて彼女とスイッチして相手を迎撃していく。
 千尋のカバーも焔子の赤兎の攪乱も必要なくセツナと息の合った連携を見せつけられた。
 それも仕方のないことかもしれない。
 セナリアは一度セツナと共に戦った経験があったのだから。
 お茶会で親密になろうとした千尋とはベクトルの違う信頼を築き上げてきたのだ。
 千尋も焔子も新たに現れたライバルに闘志を燃やす。
 セツナのパートナーになるのはこの自分だと言わんばかりに。



◇          ◇          ◇




「こんにちはナユタさん。ナユタさんは選抜されて“外”に行ってしまわれるかもしれません。そうすると、これが最後の機会でしょうし再戦をお願いしたいです」

 そう言ってきたのはIDタグ(P学)を首から下げたいつも通り気品のある邑垣 舞花だ。
 ここまでブルーナイトをライドオンし、無用な戦闘は避けてナユタとの一戦に賭けてきた舞花。
 機導兵器のスピードと付属レーザーライフルでの牽制射撃で“逃げ”に徹しながらナユタを探していた舞花はようやく本命のナユタの存在を発見することができたのだ。

「コウ。この約束は本当です。ですから、手出しは無用です。横槍を狙う者に警戒していてください。この戦いばかりはあなたを守ることが出来ませんので」
「そうか。分かった」
「コウさん、理解を示してくれてありがとうございます」
「別に。ナユタがそう言ったから、それに従っただけ」

 コウが引き下がったのを確認し舞花とナユタの再戦が実現する。
 前回は、ナユタの防御の前に手も足も出なかった。
 シールドにて遠隔攻撃は防ぎ反射され、機械鳥による観測による解析によって具現化した武装も触れれば分解されてしまうことも知っている。
 そこで、攻略方法としてライドオンしたブルーナイトでの空中移動も含めた高速移動でのレーザーライフルによる銃撃を考え付いた。
 スピードの力で翻弄を試みてシールド展開の隙を突ける角度、方向、タイミングを探って突破口を見つけ出せないか試みる舞花。
 ナユタはいつも通りシールドで舞花のレーザーライフルを受け止める。
 どう切り崩してくるのかナユタとしても非常に興味深い思いがあった。
 予想取りこの方法では攻略にはほど遠い。
 だから、早々に切札を使う。
 スモークポットからの煙幕で機械鳥からの視界を塞いだ隙にスピアレーザーガンをベースにアクティベーションⅡで刺突に特化した回転式ドリル槍を具現化し突撃を敢行。
 ナユタによる解析が終了する前に。
 ブルーナイトのブースターを最大出力にした突進力を加えたドリル刺突、それとアドインパクトの衝撃力も上乗せしシールドを穿つべく力を尽した舞花の一撃。
 ナユタの分解能力は攻撃にも転用可能と推測した舞花はシールドを破壊した後の次の一手も考えてある。
 ナユタの高い防御性であっても長時間回転式ドリル槍を受け止めることはできないだろう。
 ふと手応えが軽くなった瞬間、その一瞬に地面を前転し最接近する舞花。
 スピアレーザーガンの銃口を至近距離から彼女に向けた寸止めの態勢に持込むべく、全力を賭ける。

「引っかかりましたね」
「え」

 ナユタはあえて自らのシールドの強度を落とし油断を誘い、スピアレーザーガンを分解するタイミングを窺っていたのだ。
 盾が無くとも演算さえできれば分解も可能。
 あえて盾を囮に演算にリソースを割いたナユタの方が一枚上手であった。

「私の負けですね。これでもいろいろ考えての一手でしたが」
「楽しい勝負でしたよ。駆け引きで私が勝ったというだけ。そんなに落ち込まなくていいんですから」

 ナユタは勝者の顔でそう舞花を慰めた。

First Prev  14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24  Next Last