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観測者の葛藤

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観測者の葛藤
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コンペティション ノエルの試練 1


 ナユタはこの合同コンペティションが前倒しで始まったことに焦りを感じていた。
 また“あの時のように繰り返すのか”。
 自分の手は真っ赤に染まっている。
 それでもそれを執行する役目を他の者にはやらせられないし、出来ることではない。
 兆しはすでに訪れている。
 だからこそ、覚悟をしなければならないのだ。
 そんな思考に陥っていた時、フェイシア・ピニンファリーナの呑気との言える明るい声が胸にスッと入ってきた。

「のえるん、バトロワはいちどりも戦いだからね。はやくはやくっ」
「あわわわ! そんなに引っ張らないでくださいー! 目が回りますー……!」

 ブルーウィングで飛行しながら元気にノエルを引っ張っていく様子はやんちゃな妹とそれに振り回される姉のようだ。

「あっナユタおねーさんだ。わーぃ!!」
「ふぇえっぇぇぇ!」
「あらあら。見つかってしまいました」

 ジェットウィングで加速してきたフェイシアが突撃してくるのを柔らかに受け入れるナユタ。
 背後でグロッキーになっているノエルは見なかったことにして。

「あたし、がんばるよー見ててね!!」
「はい。お互いに生き残りましょうね」

 ぴょんぴょんと飛び跳ねながらアピールするフェイシア。
 その間に回復に専念するノエル。
 ナユタは優雅に微笑み、本音をその後ろに隠してフェイシアの頭を撫でてから立ち去るのであった。
 ナユタに応援されたフェイシアはさらにやる気を倍増。
 絶対にノエルと勝ち上がるのだと気合は十分であった。

 微笑ましい最中、チャンスとばかりにグロッキー状態のノエルを狙う参加者がいるのは仕方がないことだった。
 他の参加者よりもやや弱く刈りやすそうな顔をしている。
 それでも危険を察知し即座に姿勢を正したノエルがユニバーサルウォッチをアクティベーションⅡの触媒としパルスレーザハンドガンをアクティベート。
 シュレディンガーケープを纏った上でブルーナイトをライドオン。

「フェイシアさん、やや遠くでこちらを観察する人が。おそらく遠距離タイプの攻撃者かと思われます」
「! そんなことまでわかるんですね。なんかいつも振り回していてごめんねー」
「いえ。目が回るのは私がフェイシアさんの速度についていけてないだけですのでお気になさらず。それよりも用心してください。もしかすれば、すでに向こうのテリトリー内かもしれませんし」
「そうです、か。ならそのメリットを潰すだけです! のえるんなら分かってくれますよね?」
「もう嫌という程。ですが、危険なのには変わりはないので、どうか気をつけて」

 ブルーウィングで飛び上がったフェイシアは距離の利点を潰さんとばかりに間合いを詰める。
 それに挑発され観察していた参加者が銃を向けるが、ジェットウィングでジェットエンジン搭載の翼はIFと同等の機動力がある。
 一発目を軽々と避け、それでもこちらを狙う弾丸を翼の微調整で三次元的な機動で回避しながらさらにスプレッドウィングスで更に速度を出す。
 そこまでスピードを上げれば飛んでいるフェイシア自身の目も追いつかないのではないかと危惧するが、トップギアで動体視力、速度や瞬発力を大幅に高めることで補っている。

「へいへーーい!! 当たってませんよーー?」

 高速で動き回り、本来なら回避困難な攻撃も避け続ければ相手の視野も狭くなる。
 フェイシアもただ逃げ回っているだけではない。
 フェイシアはノエルと一緒に戦っているのだ。
 だが、どちらかと言えばノエルはナユタに近い防御タイプ。
 それを活かした戦い方をするには相手との距離がありすぎたので、徐々にノエルがいる場所まで誘い込んでいるのだ。
 そこへ同じようにノエルを狙う別の参加者の存在に気づいたノエルがサッとデフレクターシールドを展開。
 素早く接近して来た相手は気配が薄かったがノエルの察知能力の方が高かった。
 真っ向からシールドと剣がぶつかり合う。

「のえるんは、やらせませんよ!!」

 フェイシアのピンチに相手をからかうのは止めにしてまずはノエルを狙ってきた相手目がけてショットアシストユニットで射撃補正を得たDD:オメガブラスターの荷電粒子砲を発射。

「ぶちぬけーーー!」

 宣言通りオメガブラスターの弾丸にぶつ抜かれた相手だが、そこで一矢報いようとノエルに向かって剣を振り回す。
 だがそれだけの闇雲な振り回しでノエルに勝てるわけがない。
 冷静に、慎重にノエルは、ユーラメリカやガイアで身に着けた護身術で相手を叩き落す。
 まさかのカウンターに相手はそれで気絶する。
 残るは初めの狙撃者だが、フェイシアが影分身を発生させオメガブラスターで十字砲火になるように動かしていくがどうしても当たらない。
 それなりに相手も逃げきる速さがあった上でこちらに攻撃を仕掛けてきたということか。
 ならば抱きついて見動きを封じてしまえば良い。

「どんなに、はやくたってーー」

 自分はオメガブラスターで逃げ道を誘導し、影分身を使って狙撃者に抱きつきギューッと動きを止める。

「うわっ!? 離せ!」
「うわーこんな抱き方しちゃだめですね、痴女でしかありません。でも……この、ぎじ百合パワーをくらいなさい!」

 影分身のやっていることに自分で引いてしまうフェイシアはそのままオメガブラスターを発射。
 影分身ごと狙撃者をぶち抜いた。

「イエーイ! 私とのえるんの勝ちー!」
「やりましたね!」
「のえるんもすごかったですよ、あの投げ飛ばし」
「えへへ。ユーラメリカやガイアで身につけておいてよかったです。危険物はああして投げ飛ばせばいいと学びました」
「実践大成功ですね。私達二回戦目に行けますよ、このままなら」
「はい! 是非とも生き残って二回戦目に突破したいですね。残り時間的に、戦うよりも飛んで逃げ回った方が早いでしょうか。それともどこかの商業施設にでも逃げ込んで隠れてしまいますか」
「どっちもリスクがありますよね。私の利点は空を飛べることですが、そうしたら狙い撃ちされますし、商業施設に逃げ込んでいるところを見られればそれこそお終いです」
「難しいですね。運も絡んできますし」
「あまり高く飛ばずに細道を細かく移動していくのは。そうすれば大型機械からは避けられますよね」
「それが一番いいかもしれません。またよろしくお願いしますね。あまり速度を出さないと嬉しいですが……」
「はーい。見つからないうちはそんなにスピード出さないようにします!」

 方針が決まった二人はノエルの手を引きながらフェイシアが滑空する。
 細道に隠れ潜むように移動して。
 まだちょっぴり速さがあるが、朝の段階の早さに比べればマイルドな速度であった。

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