コンペティション 1-1
四企業合同コンペティション。
各社が技術の粋を集めて開発した新製品、それを託すのに相応しい学生を決めるための大会。
ブルーガーデンを建設したのはSQ社だが、都市を実質的に管理しているのは大区画を治める四大企業、東区画のエーレンフェスト技研(E研)、西区画のプランク工業(P社)、北区画のクライン=ゴルドン社(C&G)、南区画のディラック社(D社)である。
四社がそれぞれの企業に相応しい専属のテスターを見出すのはもちろん、SQ社へ送るべき者を選抜するための競技大会である。
そして
檜扇 セツナは夢が出来た。
まだ小さな芽でしかないが、それでも自分で色んな人たちの力を見る事で、自分が本当にしたいことを見つけようと思ったのだ。
プランク学院の
三色 ナユタも難しい顔をしていた。
それは他の三人とは違うと
ノエルも感じていた。
ナユタは被検体であると同時に、黒幕と繋がったブルーガーデンの監視役かもしれない。
ノエルはそう考えており、
アマネからも気を付けるよう言われている通り十分に言警戒する対象であった。
“守る事”に関しては誰よりも優れているという自負はあるが、ナユタの防御を崩せる者と言えばセツナとE研の姫である
アイ・S・スプレンデンスだろうと言うのが
コウ・サイネリアの意見だ。
さて。この合同コンペティション、一体何が起きるのだろうか。
いつもよりも開催時期が早くなっているイレギュラーがどう関わるのか、誰も知らない。
◇ ◇ ◇
そして始まった合同コンペティション一回戦目。
ここで半数の参加者が脱落することとなるだろう。
狩りの巧い者がいればそれ以上の数が減って次の二戦目に移るだろう。
応援席からは各参加者がモニターで抜かれており、応援者は好きなプレイヤーのモニターを見て応援するのだ。
盛り上がりそうな視聴率の高いモニターはメインモニターに切り替わりそれだけを見ているだけでも楽しいだろう。
今、メインモニターに映っているのは
朝霧 垂だ。
クシフォスに搭乗し、索敵中はディメンションカーヴァーで機体の周囲の空間を歪め奇襲への対策を施していある。
「うーん……ヒリヒリするぜ」
狙いとしてはナユタを始めとする四姉妹と特異者以外の一般参加者との戦闘を優先して潰してくか。
クシフォスを操縦し索敵していると、先手を突くように相手から銃撃戦を仕掛けられる。
垂はディレイアヴォイドでクシフォスの7基のスラスター、拡張パーツ『レッドライダー』の急加速を併用して弾丸を回避。
態勢を整え先ずはホーミングミサイルランチャーを放ち、シュナイダー×3で牽制射撃を行いながら接近し、オリハルコニウムダガーで止めを刺す鮮やかな戦法。
それには応援席からも感嘆の声が漏れ聞こえる。
そこにブルーガーデンのマスコットキャラクターがあおばちゃんという同じく青い鳥をモチーフとしたキャラクターに猛烈な対抗心を燃やした
アキラ・セイルーンが
アリス・ドロワーズのシックスセンスに従いながらとりあえず高い建物の屋上から高らかに歌声を上げて非常に目立っていた。
「わたーしは幸せのアホい鳥。私と 合 体 したものは幸せになるという伝説(を作っている最中)のトリです。さあ! あなたも私と 合 体 して幸せになって一緒に伝説になろうじゃありませんか!」
垂は無言で地上からアキラに向かってホーミングミサイルランチャーを放つ。
「アキラ、来るヨ!」
アキラはその姿言動だけで悪目立ちしているが、企業の目に留まりアッピールするためにアリスはハートスティングをかざしながらシックスセンスで警戒を呼び掛ける。
呼びかけるというよりもホーミングミサイルランチャーから逃がすように蹴とばしたと言ってもあながち間違いではない。
ここはどんなに高い所から落ちても軽いケガ程度で済むことを利用して地上に落とす。
落下していくアキラに【昼】パワーオブラブでアキラの身体能力を強化し、アシストスカイでアキラに有利な空模様を作り出す。
地面にめり込んだアキラと垂が睨み合う。
先に動いたのはアキラ。
グリムフォールで周辺を闇に包み、闇に紛れるとともに闇属性スキルの強化を図る。
そして【夜】真夏の夜の夢で幻を見せ、グリムフォールと真夏の夜の夢で垂の認識を惑わせている間に同じくグリムフォールで強化された拒絶のシクレシィエンブレイスで鞭のようにして攻撃を仕掛けるアキラだったが、垂のディメンションカーヴァーの耐性のないアキラが吐き気で直視できない。
その吐き気はすさまじく合 体の余裕はない。
周囲の鞭のような影のうねりが鈍くなりへにょへにょになっているが、垂の方も幻影を防ぐことは出来ないのでブレイドダンスで、クシフォスの滑るような360度のスラスターを移動しつつオリハルコニウムダガーでアキラを仕留めた。
流れるようにアリスの方も真夏の夜の夢から解放された瞬間にホーミングミサイルランチャーで爆散。
さすがにアキラをゴッドマザーで回復するよりもホーミングミサイルランチャーが飛んでくるのが早かったのだ。
当然パラレルストーリーの曲剣モードで相手を眠らせることも考えられたが、アリスは別に特に強い思い入れを合同コンペティションにはなく、アキラに頼まれて参加しただけのこと。
アキラが脱落したらアリスもとっとと降参するつもりだったがそれすらも遅かっただけのこと。
この戦いの勝者は垂となった。
◇ ◇ ◇
次にモニターに映ったのはイーグルヴァンガードIFに搭乗した
朔日 弥生だ。
弥生は以前から配信者として名声を高めていたこともあり知名度も高くモニターに映るのもやむ無しだろう。
今の対戦相手は
壬生 杏樹と
水瀬 茜のペアチームだ。
バリアボードをアクティベートし盾としてパーティクル・アナライザーで警戒する弥生。
基本装備としてメインウェポンには標準装備として搭載されたビームソードとハンドビームガンと盾のバリアボードの3点。
IF用ミサイルランチャーは機体の肩部に装着し、左右の手にはビームソードとハンドビームガンを握っているが、同時に使う技術は弥生にはない。
距離に応じたビームソードとハンドビームガン。
肩部に遠距離用の実弾兵器のミサイルランチャー。
守備のバリアボードは周囲を浮遊し自動起動。
距離、特性、相性不問のオールラウンドな構成であるとはいえるか。
装備を用意する事と、それを活用する事はまた別の話。
それをどう活用するか? どのように戦うか? それこそが重要な事である。
前回偶然にも多対一を想定したデータ収集を行っていたこともあり、丁度良い予行演習になったと思わないでもない。
その結果を踏まえ、今回に役立てようか。
今までの集大成……ならばアピールも重要だろう。
出し惜しみせず積極的に動き出し、流れをこちらに引き寄せる事を志向すべし。
地上にはユニバーサルウォッチを媒介にしてアクティベーションⅡで弓矢をアクティベートする杏樹の姿が見える。
杏樹の原点でもあるエルフをサブに弓使いとして参加した彼女は左手に弓を持ち、利き手である右手で矢を番え、射るスタイルで一射。
リンケージ・クレアボヤンスで全体像を把握、パーティクル・アナライザーを活用して先に気づいた弥生がハンドビームガンを発射することで杏樹が狙い撃ったアクティベートした弓矢を逸らす。
戒心で弓矢では発射速度的にハンドビームガンには叶わないと瞬時に判断した杏樹はビームランチャ―に作り替えて応戦。
電脳武装そのものを使うわけではないためディラックポインターの恩恵は得られないかも知れないが、まずは実践。
このコンペティションにはアーキテクトの地力を上げるため、先輩として色々教えてくれたアイとセツナへの恩返しも兼ねた腕試しの意味がある。
弓矢から再度アクティベートしビームランチャ―に作り替えたソレで弥生のハンドビームガンと相殺すると、その隙に茜が接近しペンライトとして持ってるライトブレードを使ってアクティベーションⅡしC&Gツールナイフで強化した日本刀で裂空を放つ。
具現化したこの刀と、剣術の心得をもって今回の大会に臨む茜は杏樹からの支援射撃をもらいつつ接近を果たし放った裂空。
真空波によって盾であるバリアボードのバランスを崩したところに杏樹のエアーボム加勢し、バリアボードを吹き飛ばしたところで無防備になったイーグルヴァンガードIFのボディ目がけて茜が斬りかかるが、それよりも早く弥生はエレクトロアクセルで加速させたビームソードを振るうことで茜を杏樹を切り倒し勝負がついた。