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真の楽園への重要な一歩

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真の楽園への重要な一歩
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・終わりの先へ

 突破口。
 それは、合計五回存在する、マグナ・マテルが攻撃を回避できなくなるタイミングだ。
 どの騎士団も、そのチャンスを見逃さなかった。
 ライトニング騎士団を率いて遥が動く。

『今よ! 全機突撃、わたしに続け!』

 ライトニング騎士団の面々を含む友軍全体に檄を飛ばしつつ、自らもミニッツストレングスを使い、機体の性能を押し上げてライトニングカリバーンⅢを飛翔させた。
 迎撃され多大な損害を被るも、遥はそれでも構わなかった。
 本命は、味方が攻撃する隙を作ることだからだ。
 そして遥の意図を、ライトニング騎士団の中で汲まない者はいない。

『今だ! B-MAXを使え!』

 ジェノの指示に従い、鬼姫(コピー)がデュランダルのバーサークモード・マックスを発動させた。
 赤いオーラを全身から噴き上がらせたデュランダルが、速度を増して疾駆し超高速で何度も体当たりを仕掛ける。
 当然のようにマグナ・マテルには避けられるものの、想定済み。
 最後の一発を当てるべく、計算してマグナ・マテルを追い込んでいく。
 光の刃を薙ぎ払い、神速の一撃を追撃で加えた。

『夜明けの扉、抉じ開けさせてもらうぞ……マグナ・マテル!』
『私のエネルギーを供給します! 持っていってください!』

 すかさずフィーリアスがジェノの精神力を回復させ、大技の連発を可能にする。
 戦いの最中、マグナ・マテルが長い攻撃待機状態に入った。
 明らかに危険な兆候に、フィーリアスが警戒していると、空が明るく輝く。
 ──流星の如く、無数の隕石が降ってくる。

『全てを、根絶する』

 世界の終わりのような光景に、誰もが空を見上げて唖然とするが、フィーリアスが前に出た。
 【神格】アイギスに隕石が集束していき、マグナ・マテルへ反射して撃ち出された。
 光が爆発し、轟音が響きマグナ・マテルの姿勢が僅かに傾ぐ。
 ビーシャはシュワルベWRdreiを突っ込ませ、マグナ・マテルへ格闘戦を仕掛けた。
 すぐさまヒュッツが続き、フォールチョンを先行させる。

『……全て、抹消する。“オリジン”の定めた摂理のために』

 迎撃として放たれた炎の槍が、ビーシャとヒュッツを葬り去らんとそれぞれ迫り来る。

『やれるものならやってみろ』

 恐れて動きが鈍くなるどころか、逆に更に加速したフォールチョンが、炎の槍とすれ違い最小限の損害で突破する。
 そのままフォトンシューター<D>を構え、弾速を高めて高速発射した。
 ビーシャも宙返りして避けると、なおも突撃しながら機体を横方向に高速回転させ、翼を刃に見立てて独楽のように回りながら斬撃を放つ。

『この好機を、逃すわけにもいかないんですよねぇ!』

 射撃を避けたマグナ・マテルがビーシャの格闘に捕まり、続いて距離を詰めたヒュッツから追撃を受ける。
 龍の爪を模したオーラをスピットファルクスに纏わせ、振り下ろした。
 これも、マグナ・マテルは避けきれない。
 今までほぼ当たっていなかった攻撃が、当たる。
 やはり、今が好機だ。

『たぶん、これが最後のチャンスですよぉ! 全力でやっちゃいましょう!』
 
 ファルケンHTのステージで、特製トロピカルドリンクの空き瓶をシオンが懐にしまう。
 一気に中身を呷った際に口元から零れた雫を拭うと、大きく息を吸い込み大音量で歌を響かせた。
 シオンの衣装は無数の光の粒で飾られ、星空のように瞬き光輝く。

「一世一代の大勝負だよ! 負けないで! わたしも最後まで、諦めない! 喉が枯れるまで、絶対に歌うのを止めないよ!」

 一気に勝利を手繰り寄せようと味方を勇気づけた。

「俺も徹底的に付き合ってサポートするぜ! 諦めんなよ!」

 激しく揺れるステージの上で、アルフレッドもシオンと共に気丈に立ち続ける。


* * *



 流れるように、鶏肉騎士団が後に続いた。
 すかさず正義がクロスラインシールド<D>からマジックミサイルを斉射する。

『ここで倒し切れなければどの道後がない! 出し惜しみはするな!』
『今さら使い惜しむ気はねぇよ! 派手な花火を上げてやる!』

 連携したキョウがビットボマー<G>を二機ともマグナ・マテルに取りつかせ、自爆させようとする。
 メルセデスがすかさずマグナ・マテルをマークし、照準を合わせ続けてキョウをアシストする。
 取りついただビットボマー<G>が大爆発を起こすも、煙の中にマグナ・マテルはいない。
 別の場所に瞬間移動したかのように現われていた。
 大した傷を負っていない。
 どうやら取りついてから爆発するまでの僅かな時間で、爆発範囲外に脱出することに成功したようだ。
 鬼姫(コピー)の助けを借りてバーサークモード・マックスへ移行したタヱ子が、マグナ・マテルに体当たりすると至近距離から周囲に響き渡るほどの声量で朗々と歌唱を始めた。
 喉が枯れるほどの絶唱と共に、タヱ子の衣装がまるで星空のように光の粒で覆われていく。

『……“オリジン”の定めた摂理の前では無駄なこと』
『無駄ではありません。次に繋げる一手です。後は、任せましたよ……』

 全ての力を使い果たし、タヱ子がその場に倒れこんだ。
 イベタムに抱えられて後退する。
 ヘビーガトリング砲<D>に水を纏わせ、後方に噴射させて一気に急加速した焔子は、フレキシブル・バーニアの出力最大を維持したままマグナ・マテルへ突っ込んでいく。

『やはり、今はよく当たりますわね!』

 孫の手<D>のバスタードソードを振り抜き、突撃の勢いに重武装で増した機体重量を乗せてすれ違いざまに斬撃を放った。


* * *



 敦也は機を逃さなかった。
 フルール歌劇団の全員へ号令を下す。
 各騎士団の連携が加速する。

「今だぜ! 総攻撃だ!」
「みんなをパワーアップさせるよ!」

 がおがおにゃ?ん♪ を発動させた火夜が、味方を獣型のオーラに包んで戦意高揚の効果を与える。
 マグナ・マテルへ立ち向かう勇気を与え、身体能力と視覚を強化させた。
 続けて敦也の放つ【神格】シウコアトルがふたつ、万物を貫通する稲妻となってマグナ・マテルを貫く。
 アレクス・エメロードのファルケンHTへ、敦也が着地した。

『お疲れさん』
「あとは一斉攻撃だけだ。最後まで頼むぜ」
『任せろ』

 敦也へアレクスが親指を上げてグッドサインを出した。
 火夜に続けて、妖精舞踊【獣神百華夜行】を発動させたのは、シンフォニックソード【Rs】を掲げたシャーロットだ。
 広範囲を宵闇で満たし、フルール歌劇団の仲間たちに対して身体能力と視覚の強化を行う。
 シャーロットの周囲に発生した無数の水輪が、一斉にマグナ・マテルへ襲いかかった。
 聖杖ウィルガルムの魔力と己の魔力を融合させたアレクスが、金色の獣王を発動させた。
 星音が、シャーロットの星詩を支援し、効果範囲を強化拡大する。
 金色に輝く猛虎のオーラが迸った。
 ディマジオの上で、三美と珠樹は視線を交わす。

『私たちも続きましょうか』
「そうですね。ここが正念場でしょう」

 三美が君と未来へを発動させた。
 皆と共に未来へ進む決意を籠め、歌い上げた。
 戦意を高揚させ、マグナ・マテルに臆せず挑む強さを得る。
 珠樹が未来照らす明き花を合わせた。
 無数の炎の弾が空中に放たれ、炸裂する。
 色鮮やかな花火となって炎の風を巻き起こすと、味方に活力を与え、マグナ・マテルの肉体を焼いた。

『勝負を仕掛けるわよ、メルちゃん!』

 風花の呼びかけに応え、メルセデスがミニッツストレングスを使用し花嵐の機体性能を無理やり引き上げた。
 バーングラディエーターで八相の構えから斬りかかると見せかけ、龍の瞼<D>を使用し装甲を犠牲に急激に加速をかける。
 さらにフレキシブル・バーニアを限界まで連続使用し、大華を思わせる噴射炎を幾重にも重ね、常識外れの速度で駆けた。
 当然、風花にかかる負担も凄まじいが、歯を食い縛って耐えた。
 
『光よ!』

 手にした風花のバーングラディエーターの刃が、赤く輝く闘気に覆われた。
 常識外の速度によって生まれる遠心力を強引に捻じ伏せ、霞の構えに変えて突撃し、その勢いのまま刺突を放つ。
 刺突が命中したことを確認するや否や、魔力を一気に注ぎ込んで自らを巻き込み大爆発を起こした。
 すかさず、機体とのリンクを強化して感覚を加速させ、いのりも全力でマグナ・マテルへ攻撃を加えた。

『いいね。今度は攻撃が当たるよ!』

 二刀流の乱舞が、最初の避けられてばかりだったものとは裏腹に、悉く直撃を見せ、マグナ・マテルへダメージを与えていく。
 呼応式加速装置<D>の推進力も利用して、全力で二刀流の剣撃乱舞を展開した。

『るるちゃんそのまま突っ込めー!』
『きゃはー♪』

 元気よく出されたシャーロットの号令に、楽しそうな声でルルティーナが応じてフラウフルール EXA-IIを突撃させる。
 フラウフルール EXA-IIの突撃を、【使徒AI】メルセデスが補助した。
 臨界に達した魔力ドライブ炉が強制冷却され、冷却材を排出した。
 フラウフルール EXA-IIが分身したかのように、マグナ・マテル目掛けて急加速する。

『とっかあーん!』

 楽しそうなルルティーナの声を、鼓膜を一瞬で吹き飛ばしそうなほどの凄まじい轟音がかき消した。
 ぶちかましを決め、ステージをマグナ・マテルの身体にめり込ませたフラウフルール EXA-IIのステージを走り、シャーロットが拳に水を纏わせ、全力でマグナ・マテルをぶん殴った。

『力いずパワー! かーらーのー!』

 ばっとシャーロットがその場を飛び退いたことで、マグナ・マテルへの射線が通る。
 小ノ葉のカゲミツが火縄銃を全力展開し、一斉に銃声を響かせた。

『次はこれ!」』

 弾切れになった火縄銃を投げ捨て、再び斬騎剣<D>とインファントキラー<D>を抜き放つと、魔力ドライブ炉のリミッターを一時的に介助し出力を上昇させた。
 加速して近付き、全力で斬り刻む。
 メルセデスの力を借り、ルルティーナは速やかに追撃準備を整えていた。

『ゼロ距離掃射だよ! どっかあーん!』

 ぶちかましの際にマグナ・マテルの身体に突き立てられたMBR・ブリューナクが火を噴いた。
 連射能力が高められ、一瞬で全弾発射される。
 シャーロットと火夜が、共に星詩を維持しながら獣の歌を朗々と歌唱し、その効果を共鳴させていく。
 さらに三美と火夜が協力して、勇気の歌を熱唱した。

『大忙しだよ~』
『だよね~』
『ですが、もうすぐそれも終わりです』

 三人が掲げるシンフォニックソード【Rs】に、それらの音色が束ねられ、増幅されていく。
 金色の虎のオーラを纏った火夜が、雷光を剣の形に固定し、薙ぎ払った。
 火夜とタイミングを合わせ、シャーロットもトルネード・シースからシンフォニックソード【Rs】を居合抜きし、マグナ・マエルの傷口から魔力を雪のように噴出させる。
 少しでもダメージの足しになればと、三美も控えめにシンフォニックソード【Rs】を突き刺し、ぐりぐりと捻り回して傷口を抉った。

「ロゼッタ。警戒を密にお願いします」

 珠樹が三人の戦いぶりを見守りつつ、ディマジオに搭載されている【使徒AI】ロゼッタへ戦況と、敵味方のレーダー反応の監視を頼む。
 最後まで、油断はない。


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