・ベイグラント騎士団
デュランダルⅢを操縦する
土方 伊織は、
【使徒AI】メルセデスのサポートを受けながらバルバロイたちと戦っていた。
主に狙っているのは、バルバロイ・リノセロスだ。
「突破口を切り拓くこと。それが、今回の僕のお仕事です」
物理攻撃が有効でないバルバロイ・リノセロスに対し、伊織のデュランダルⅢはバーングラディエーターで斬りつける。
固い装甲に阻まれるはずだが、トルネード・シースによって攻撃属性が風に変更されているため通った。
バルバロイ・リノセロスは鱗粉を放出して反撃してくる。
トルネード・シースによる竜巻で、伊織は冷静に鱗粉から身を守った。
「なるほど。耐えますか。ではこれならどうです」
デュランダルⅢの手元に雷光が生まれる。
巨大な剣の形に固定された雷光を横一文字に薙ぎ払ったデュランダルⅢが、バルバロイ・リノセロスの装甲を切り裂き上下に切断した。
攻撃を終えた直後のデュランダルⅢに、バルバロイ・リノセロスの別個体が突進してきた。
「させませんわよ」
しかし、その足元に木の根を出現させた
グラーフ・シュペーが妨害し、伊織を守る。
グラーフは状況を読む。
次々にカプセルからは新手のバルバロイが現われている状態だ。
妨害から一気に倒してどんどん数を減らしていかないと、増えすぎたバルバロイたちに圧殺されかねない。
既に、伊織が一体を倒している間に、数体のバルバロイ・リノセロスが集まってきている。
「こちらもペースを上げないといけませんわね」
敵意を向けてくるバルバロイ・リノセロスたちに対し、グラーフは地母賛歌を発動させた。
一斉突撃を受け止める伊織のデュランダルⅢの耐久力をこれで確保すると同時に、突進してくるバルバロイ・リノセロスたちを樹根によって拘束し、動けなくする。
辛くも拘束範囲から逃れた個体の反撃は、グラーフを乗せた
【使徒AD】スカイガンナーのスタンドガレオンが際どいところで回避した。
「今のうちに叩くです」
「さ、一気に畳みかけますわよ!」
気を逃さず伊織が機体を突っ込ませて、纏めて動けなくなっている群れの間をすり抜けながら雷光の刃を振るい、斬り捨てていく。
動ける個体の一体が、グラーフを狙って突っこむ。
しかしステージの飛び移ろうと跳躍したところでスタンドガレオンの砲撃がヒットし、半ば墜落するようにグラーフへ迫る。
グラーフは慌てず【レリクス】クリュサオルを回避させ、木の根で追撃を牽制しながら距離を取った。
すぐに伊織が距離を詰め、戒めを振り払うバルバロイ・リノセロスにそれ以上の行動を許さず脳天へ雷光の刃を振り下ろした。
グラーフが妨害し、伊織が攻撃する形を徹底し、厄介な鱗粉を振り撒いてくるバルバロイ・リノセロスに対抗した。
* * *
ディマジオの子機に
デューン・ブレーカーを乗せ、
砂原 秋良は飛翔する。
二人は
ゲオルグ・グレイマンのエイヴォンMVの周囲を旋回するように動いていた。
「大量のバルバロイに、まだ中身が出てきていない培養カプセルの数々……。これは、長引かせるほどどんどん増援が増えるアレですね。そちらの回避はお任せしてもいいですか? ある程度私も対処はしますが、今回は回復と敵の妨害行為の対処に集中したいです」
「構いませんよ。任せてください! 自分のことは自分で何とかしますから」
エイヴォンMVに搭載されている
【使徒AD】ミレイが、ゲオルグへ自分たちへ向かってくる大量の飛翔物の存在を知らせた。
複数のバルバロイ・ツインカノンが放った炎弾たちだ。
『さっそく砲撃のお出迎えだな。回避する!』
いち早く、ゲオルグが回避機動を取った。
ディマジオを親機子機同時に加速し飛来する炎弾を避けながら、秋良とデューンも、それぞれ星音と星詩を発動させる。
秋良の、想奏星譚・癒しの風が導くはが発動し、同じく発動したデューンの想響星譚・明日へ繋ぐ星の詩を拡大させる。
高い治癒力を宿した旋風を発生させ、秋良がそれを周囲に放てば、その風を背に受けて衣装をはためかせながら、朗々とデューンが歌声を響かせる。
『中和確認……! さあ、いくぞ!』
炎弾を回避しながら、ゲオルグがマギ・エアロランチャー<G>で砲撃し、地上で突進を開始したバルバロイ・リノセロスへ空中から空気の塊でできた砲弾を浴びせた。
バルバロイ・リノセロスが直撃を受け、あらぬ方角へ吹き飛ぶ。
吹き飛んだ先で、そのバルバロイ・リノセロスが群れから孤立した。
『安全に攻撃できるな。回り込めば群れの分散も狙える。仕掛けるぞ』
『お供するでふ!』
素早く
十文字 宵一と
リイム・クローバーが動いて追撃をかけた。
宵一のエスカリボールⅡが先行する背後から、リイムのファルケンHTがバルバロイ・リノセロスへ砲撃を行う。
『当てるでふよ!』
マギ・エアロランチャー<G>が轟音を放ち、空気の塊を発射する。
狙い澄まして放たれた一射は、ようやく態勢を整えて突進を始めていたバルバロイ・リノセロスを再度吹っ飛ばした。
そこへ、ビートルバスター<D>とねんがんのソード<D>の二刀を携え、宵一のエスカリボールⅡが接敵し、ビートルバスター<D>による刺突からねんがんのソード<D>の斬り上げに繋げた二連斬撃を浴びせた。
ビートルバスター<D>の一撃はその分厚い装甲に傷を作りながらも、姿勢を崩さず耐えるバルバロイ・リノセロスだったが、続く氷の刃は防げない。
僅かにバルバロイ・リノセロスが中に浮き、足をばたつかせる。
『まだだ!』
鋭く踏み込んでバルバロイ・リノセロスの側面へ回ったエスカリボールⅡが、その動作を回避動作として、飛来するビームを避けつつ、二刀流の乱舞を一息で放つ。
無数の剣閃が瞬き、バルバロイ・リノセロスから鮮血を迸らせた。
バルバロイ・モスが鱗粉を巻き起こすのを見て、宵一は風下に味方がいないことを確認して暴風を巻き起こし、鱗粉の到達を防いだ。
その間にも、バルバロイ・ツインカノンが炎弾や雷網弾をばらまいてくる。
しかし、その量は充分に対処できる範囲内。
宵一もリイムも、しっかりと回避に成功する。
さらにバルバロイ・フォリジャーやらバルバロイ・グラスホッパーやらが散発的に攻撃を行ってくる。
さすがにこれらは避ける余裕がなかったので、針だけは手首を回転させる武器防御で受け止め、酸は浴びるに任せた。
嫌な臭いと共に装甲が溶ける音が、エスカリボールⅡとファルケンHTの周囲に立ち込めた。
リイムが反撃し、大量の光線をバルバロイの群れに向けて一度に放ち、屈折させてあらぬ方角から強襲させた。
光が爆発し、何体かのバルバロイが弾け飛ぶ。
反射してしまうので、バルバロイ・リノセロスには当てないように気を使った。
* * *
バルバロイ側の動きはばらつきを見せ、伊織とグラーフを狙うもの、秋良とデューン、ゲオルグを狙うもの、秋良宵一とリイムを狙うものの三通りに別れた。
固まったまま集中攻撃を受ければ、誰かが落ちる危険性は極めて高かったろうが、これだけ分散してしまえばベイクラント騎士団側にも付け入る隙が出てくる。 ベイグラント騎士団とバルバロイの群れの初手の激突にタイミングを合わせて放たれた秋良とデューンの星音と星詩は、バルバロイたちの結界を中和しつつ、激突の損害をバルバロイ側には残したまま、ベイクラント騎士団側の損害を完全回復させた。
これにより、ベイクラント騎士団はまず体力面で一歩リードすることに成功する。
「……まあ、数的差があるのでこれでも油断できないのですけれど」
『また攻撃が来たぞ!』
ゲオルグの警告と時を同じくして、ミレイが危険を察知してアラームを鳴り響かせた。
雲霞の如く、雷網弾が広がって秋良とデューンごとディマジオを飲み込む軌道で放物線を描き、大量に飛んできている。
「こちらでも捉えました! 回避します!」
「了解です! 量が量ですからこっちでも回避しますね!」
光の軌跡を残しながら一気に急下降し、雷網弾の真下を潜り抜けようとしたディマジオ目掛け、バルバロイ・グラスホッパーが跳躍し、飛びかかってくる。
組み付くつもりだ。
しかしそれにはデューンの輝くエネルギーフィールドを纏った【レリクス】クリュサオルが反応し、上手くエンオウ【Rs】を側面に沿うように滑らせて受け流し、体勢が崩れたところを地上へ蹴り落とした。
それぞれ星音と星詩を維持しながら、治癒魔法を駆使してベイクラント騎士団を耐久面で支える秋良とデューンは、バルバロイの群れから見ても、重要な働きをしていると分かるほどの活躍を見せており、その重要性から注意を引いた。
しかし秋良もデューンも回避を繰り返しながら反撃し、秋良がシルフィードワンドで風を巻き起こし、バルバロイ・モスが拡散させる鱗粉を押し戻して味方を守る。
エンオウ【Rs】に水を纏わせたデューンが不意を突いてバルバロイ・リノセロスの頭上から急降下し、勢いを乗せて切っ先を脳天に突き立て、再度上昇して離脱する。
戦いに参戦しているイペタムたちも奮闘しているようだ。
ゲオルグは敢えてディマジオよりもエイヴォンMVを前めに位置取りさせ、秋良とデューンに対して己が盾になれるよう動いている。
「まあ、避けるに越したことがないのは、俺も同じだがな」
とはいえ、火と風に対して機体に耐性を持たせ、バリアで物理攻撃に対する防御手段も備えてきているので、耐久面でいえば、エイヴォンMVなら相対的に被害が少なくて済むだろう。
少なくとも、ディマジオが被弾するよりかは。