■プロローグ
「おおっし! 神輿の整備、気合い入れていくかー」
元気そうなおじさんが若者と協力しつつ、
神社から神輿を運んでいる。
青い羽織に赤い文字で「祭り」、白いハチマキと足袋。
カラッとした気候に、穏やかな自然、
ここに住む人たちがどこか気の良い人ばかりなのは
そういった環境によるものかもしれない。
「ふふ、元気いっぱいですね」
怜峰村の巫女、結衣花が微笑んでる。
「やあ、結衣花ちゃん、
子どもが舞を楽しみにしているんだよ。
少しは神輿にも興味を持ってほしいんだが」
「女の子ですからね。
踊りや舞に憧れてしまうものですよ」
そんな何気ないやり取りの裏で、
何かが村を脅かそうとしているのを
彼らは知らない。