7.地中の反乱(1)
岩壁からところどころ何か金属的な構造物が露出していた。
大型の何かの装置の一部のようだった。
『あともう少しのところなのだがな』
フードを目深に被った者が呟き、ピリピリとした空気が流れる。
部下に指示を出す。
『ドワーフどもを始末しろ。生きて地上に戻すな』
近接戦に長けている者、攻撃・幻覚の魔法を使う者、モンスターを使役するものが追ってくる。
「行かせません」
【ドラゴンジェムズ】の
ルキナ・クレマティスが立ち向かう。
謎の組織“ブランコスモス”を相手にするためにも
高橋 凛音と
御陵 長恭と連携して動く。
「敵は正体不明の組織です。油断しないようにしましょう」
ルキナはドワーフに脱出を優先しチームの全体的な支援をする。
「皆さん、助けに来ました! 早くこちらへ!!」
石で壁に傷を刻んで戻るときの目印にしてあった。
僧侶の聖光で怪我の治療、混乱している者を静心で落ち着かせる。
「あの少女のためにもドワーフたちを助けなければならない」
「ブランコスモスか……詳しくは知らぬがキナ臭いのぅ……」
凛音はドワーフ達の確保、誘導を優先に動く。
狩人のショートボウでの三矢射ちの射撃で前衛を支援する。
「今回は一枚盾に成ってしまうが囚われたドワーフ達を救う為にも精一杯、剣を震わせて貰うとしよう……」
長恭は戦士として前衛に立つ。
ドワーフの救出時は殿軍を受け持つ。
「魔導兵器の発掘やらどうせ碌でも無い事を企んで居るのじゃろぅ……」
【金烏玉兎】の
西村 由梨も最奥の発掘現場に辿り着いた。
高天原 壱与、
西村 瑠莉、
東河 茉侑と共に動く。
「困っている人を見て動かなことは私の【守護星印】が赦さないのだわ。お父さんの心配をしている女の子の世話を焼くのは当然のこと」
壱与も何かきな臭さを感じていた。
「そこで何が行われているのか分からず相手の戦力もまったく分からないというわけだ。
まさに冒険者の仕事だな。
挑み、きっちりと救い出してみせようじゃないか」
「あんな子供から、笑顔を奪わせるなんて見過ごす事は出来ないのですよぉ」
瑠莉は弱い人、特別な何かも持たない人が、それを理由で泣かなくて済むように少しでも力になれるようにと、冒険者をしながら武者修行で技を磨く旅をしている格闘少女であった。
なのでいつも台所は火の車であるが、それはそれ。
「失踪したドワーフさん達が捉えられて利用されているのだとしたら、それが出来るだけの力を持っているはず。
十分に注意して、捜索に当たらないといけないのですよぉ」
「地下っぽいので心配でしたが最低限の明かりはあるのですねえ」
茉侑が誘火玉の炎を使い足元を照らす。その炎は曲がり角や待ち伏せに備えて飛ばしたり揺らすことに使う。
最優先は失踪したドワーフ全員の救出。可能であれば失踪の原因を調査する。
遺跡の中は事前に用意したメモを使いマッピングしながら進む。
壱与は壱与が盗賊で遺跡に潜入し状況を探る。戦闘は狭い中での戦闘に合わせシルバーダガーを装備。
毒刺を組み合わせることで威力を補う。
「姫さん、よろしく頼む」
(戦力の把握ができていない相手と真っ正面から戦うというのは愚策。)
見張り役だけであれば、最小限の戦闘で周囲に気づかれずに遂行する。
ドワーフを確認したら戦闘開始、魔導士として後衛を担当する。
瑠莉は格闘家として前衛で敵を翻弄、無力化を図る。
複雑な足場の発掘現場を利用して軽業師の足捌きで壁や天井も駆け回る。
それに対しフードの者もテリトリーであるだけに足場を伝い巧みに瑠莉の攻撃を躱す。
そして速手裏剣を放ってきた。瑠莉が息吹鎧のドラゴンルーンのブレスを纏い跳ね返す。
「やるじゃない!」
削りかけの岩陰の隙間を移動して相手の武器や攻撃の動きが制限されるような位置取りをすることで攻撃を避ける。
常に両手の先は長い袖の中に隠しているが、その袖の動きに一瞬相手が気をとられる。
「えいっ」
茉侑が思い切って誘火玉をフードの者の顔面に向けて放つ。
「うっ」
続いて瑠莉が掌底投げの動きで潜り込んで掌底を打ち込み至近距離で強いダメージを与える。
フードの者は足場ごと吹き飛びようやく動かなくなった。
「手強かった!」
「瑠莉さん大丈夫ですか!?」
茉侑は僧侶で聖光、静心、月光草を駆使して味方を回復させる。
その頃――フードを目深に被った者は アイオーンがと対峙していた。