6.失われた都(3)
「なんか食糧多めに持ってるとか怪しそうな奴を狩人のスキルで追跡してればきっと見つかるんじゃね?」
【ガレオンズハイ】の
迅雷 敦也は仲間の
迅雷 火夜と
キャスリーン・エアフルトとで遺跡内を捜索していた。
そうして別の発掘現場に着いた。数人のドワーフの中に、ミリーが話していた特徴のドワーフが居た。
火夜が息を飲む。
「きっとお父さんだよね……あのミリーって女の子に早く安心させたいな。
火夜ちゃんと同じくらいの子が泣いてるなんて嫌だもん、火夜ちゃんも女の子安心させたい〜!」
キャスリーンが冷静に判断する。
「ドワーフが他に何人いるのか分かりませんが、全員をこっそり脱出させるのは難しいのではないかと思います」
ある程度の場所で踏みとどまり追っ手を足止めする必要があると考えていた。
ドワーフを発見したら囮になり、その隙に他の冒険者達にドワーフを逃がしてもらうようにしたい。
火夜は魔導士として敦也の武器に炎賦使って炎を纏わせる。
高速詠唱で敵を凍結呪で素早く凍らせ、他の冒険者に知らせた。
草薙 大和と
草薙 コロナが駆けつけた。
鉱石を発掘していたドワーフの失踪と、遺跡の近くで発掘作業をしていた謎の集団”ブランコスモス”。
大和もアイオーンと同じようにその二つには関連があると感じていた。
「もし”ブランコスモス”とやらがドワーフたちを誘拐し、強引に発掘作業に従事させているのなら、急いで彼らを救出しなきゃならない」
小さな女の子が助けを求めているのを、コロナも無碍にすることはできなかった。
「わたしたちも、ドワーフさんたちの捜索に協力しますです。あの子のお父さんも、絶対に連れ帰ってみせるですよ!」
大和は戦士として矢面に立ってブランコスモスの連中と斬り結びドワーフたちの脱出を支援する。
狭い場所では受け流しで攻撃を捌いてコロナに追撃を任せ、突撃鋭槍を繰りだす。
コロナも大和と共に戦士として矢面に立つ。
刃渡りが短く取り回しのいいシルバーダガーで戦う。
一方でドワーフの救出も進められる。
中には発掘中の事故や“ブランコスモス”によって負傷している者もいた。
壬生 杏樹とシルヴィア、ヴァンは敵の人数やドワーフの様子等現場の情報が揃うまでは隠密行動を心がけていた。
ヴァンは“ブランコスモス”の一派と思しき人影を見かけたら盗賊の忍び足で様子を伺う。
「ドワーフだけをこっそり逃がすのは危険だね。
どうせ見張りがいるだろうし、せっかく逃がしたのにまた捕まった……は避けたい。
となれば一緒に脱出するのが一番だ」
シルヴィアは僧侶として聖光でドワーフ達を回復させる。小結界でドワーフを守る。
ドワーフ達の側から離れず脱出の手助けをする。
「あーあ、俺の“ワイバーン”が使えたらなあ」
ヴァンは海賊船“ワイバーン”を帰りの足に用意しようとしたのだが遺跡の近くに帆船を付けられる場所はなかった。
「敵と味方を取り違える心配はほぼ無いわけだな。こりゃ都合がいい」
狩人の
国頭 武尊は雇用した者達と移動していた。
武尊は弓兵と傭兵を雇って同行させていた。
報酬は期待できないので実質持ち出しとなってしまうが、失踪したドワーフを救出する事で、質の良い武器を手に入れる機会を得たいと考えていた。
傭兵の
剛勇の女侍は雇用主の武尊とエルフ達の弓矢の支援を受け不埓な者達を刀で倒す。
エルフの弓兵隊長、もう一人の
エルフの弓兵隊長は同胞と供に弓で怪しげな者達を射抜く。
強敵に対しては裂空波斬を使用する。
「どうせ何も喋らないだろうから、捕虜はいらない。一人残らず片付けるぞ」
そう強気だった武尊だったが、そう甘くはなかった。
枚銜戦術で遺跡内に居る怪しい連中を片端から退治したいところだったが、一時的に雇った弓兵と傭兵では倒せるほどではなかった。
「ううむ、やはり特務機関は伊達じゃないな。
ちょっとそこのお姉ちゃん、手を貸してくれ」
「わ、わたしは戦闘はできません!」
取間 小鈴はアイオーンに同行して遺跡に来ていたが途中で逸れてしまっていた。
「怪我人の手当てを頼む!」
「それでしたら任せてください!」
小鈴は僧侶のスキルでの治療や小結界でのサポートを行う。
ドワーフ達も加わると小鈴は目を輝かせた。
「ドワーフさんはー言わば筋肉の申し子ー。その素晴らしい筋肉をー悪事に利用しようとはー許すまじーなのですねー」
「お、おう」
武尊は少しばかり小鈴から距離を置いた。
キャスリーンは追ってくる者達を足止めする。
魔法使いとして街で釘をたくさん買っておいて物陰から「風弓」で撃ち込む。
香油瓶を投げてから炎賦を付与した釘で撃ち抜いて炎をまき散らして怯ませる。
「それにしても、ブランオニキスが探しているのは、エスターシャが封じたという魔導兵器なのでしょうか。
だとすれば遅かれ早かれ、譜の方も狙ってくるかもしれません。
もしかするとそれが、リュクセール王室の権力闘争に関係しているのでしょうか」
そんな懸念を持ったキャスリーンはアイオーンに自分の考えを伝えるべきかどうか迷う。
「アイオーンは脳筋なところがあるから……」
「だね」
「ところでアイオーンはどこに?」