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カルディネア

忍び寄る崩壊の序曲

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忍び寄る崩壊の序曲
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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2.小さな依頼者のために(2)

「まずはアイオーンの推論を確信にするために情報を集めましょう」
 サトリ・エッシェンバッハは直ちに遺跡や“ブランコスモス”に関する情報収集を開始した。
 前回助けた隊商に繋ぎをつけ、サトリに仕える探究者の猫村 燐がセロナブル周辺で隊商からブランコスモスの挙動に関する情報を集める。
 行方不明になったドワーフ達と取引している交易商や鍛冶屋を紹介して貰い、ドワーフ達がいつ居なくなったか、南スタガルゴー山脈にフードを被った男達が徘徊していなかったか等を尋ねた。
 彼らの間に伝わっている情報は多くはなかったが、それでも遺跡発掘を行ってる“ブランコスモス”の人数や規模を多少はつかむことができた。
(それだけ奴らの方が情報操作が上手いということでございますね。油断ならない相手でございます)
 燐は内心舌を巻いていた。

 フレイア・フォルセティも【岩の守護竜】の一人として情報を集めた。最初ノイエ・ゴルドバールに向かい目撃者から聞き取りをしようとしたがそこまでの時間の余裕はなかった。
「マッセン平原経由で来た交易商はブランコスモス及び遺跡構造の情報や、もしかしたら拉致されるドワーフを見ているかもしれません~」
 マッセン平原はドワーフ達が姿を消した南スタガルゴー山脈と失われた都市の間に広がる地域である。一隊一隊から丁寧に聞き取る。
 平原は広大であり互いに積荷を確認するわけではないので他所の商隊についての情報はなかなか得られなかったが、ようやく「ドワーフを連れた商隊を見かけた」という商人を見つけた。
 向かった方角としては「失われた都」近くの遺跡であることに間違いはないようだった。だが特に不自然な様子はなく移動していたということだった。
 拉致事件とブランコスモスの関係の立証とまではいかなかったが、アイオーンに伝える。
 その時サトリはアイオーンを通じてセロナブル領主エルンストにも集めた情報を伝え、遺跡から少し離れた場所にドワーフ救出のための軍を展開するように依頼しようとした。
「多分それは止めた方がいい」
 エルンストへの依頼はアイオーンが止めた。
 丁度エイブラム王子が王に即位し、リュクセール王国の内情的にピリピリしている状況で軍を動かすことは難しいと思われた。それにエルンストに目立つようなことをさせるのは危険だった。
 アイオーンにそう言われては、サトリもこの案は取り下げざるを得なかった。せっかく得た協力者を失ってしまうのは、彼女にとっても得策ではないからだ。

 御子柴 瑞稀は今回サトリに声をかけられて【岩の守護竜】のメンバーに加わった。
 瑞稀には信仰の対象である神竜の実像をこの目で見たい、偶像崇拝ではなく実像崇拝としたいという願いがあり、アイオーンに同行する。
「アイオーン君、救出に成功したら横笛を吹いて知らせるよ。それが脱出の合図だ」
「頼む」

 同じく【岩の守護竜】の一人であるリュイック・ラーセスはアイオーンに対しては瑞稀とは異なる感情を抱いていた。
「フィルツェーンする振舞いや、明確な根拠無しにドワーフの行方不明をブランコスモスの仕業に繋げたり、アイオーンにはイマイチ信用出来ないところがある」
「うん……」
 リュイックの仲間のミューナ・デュトワもアイオーンがフィルツェーンする振舞いが雑で不満を持っていた。
「フィルツェーンともう少し相談とかするべきだと思うんだけどな」
 疑問なのは“ブランコスモス”がドワーフをどうやって支配しているのかだった。
「しかし、嫌な案件だな」
 リュイックは苦々しく呟く。自身の境遇から親を探して泣く子供を放っておけず依頼を受けた。
「オレなら金をはずんでおいて『逃げたり、仕事の内容喋ったりしたら殺す』ってことにして時間かせぐかな。
 行方不明ってことは誘拐とかで強制してるんだろ? それじゃあ直ぐに変だってバレるよ」
 アクル・ネイの意見にリュイックは考え込む。
「なるほどな。だとすると連中は急いでいるか、指揮官が軽率なのかもな。油断はできないけれど」
 ただ今は戦闘に集中することにする。情報収集は他の者に任せてアイオーンに同行する。

 燐は【岩の守護竜】の仲間達のために遺跡への出発前に武器を預かり大地に埋め、鉄成で強化する。
 そして【岩の守護竜】はドワーフ達の救出のための行動に移った。


 土方 伊織は少しばかり不安ではあった。
(遺跡で発掘作業をしている謎の集団“ブランコスモス”という組織が悪さをしているかもって聞いてるですけど……結局根拠はない のです?……はわわ。
 でもでも、ドワーフさん達を救出する序に紐づけられる物証が出てくるかもですね。)
 そのためにも今回の依頼は色々注意しながら対応していく必要があると考えていた。
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