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創世の絆~オーバーチュア~

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創世の絆~オーバーチュア~
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■マスドライバー制圧作戦(2)

「施設の占領は昔も今も、歩兵の仕事!
 ……私、戦闘工兵じゃなくて野戦憲兵なんですけどね」
 ロイド・ベンサムが随伴する部下とともに、管制塔及び周辺施設の占領に動く。味方の爆撃とその後の戦闘行動により、歩兵の行く手を阻んでいたフェンスやゲートは概ね破壊されており、ロイドと部下たちは管制塔に取り付くことに成功した。
「! 敵の銃撃を確認!」
 塔内部から発砲音が響き、ロイドと部下たちは素早く物陰に身を潜める。背後でここまで乗ってきたトラックが爆発し、爆風が一行を襲う。
「乗り物がやられましたか……これは、占領を成功させねば帰れませんな」
 不退転の決意を胸に秘め、ロイドは部下に命じて管制塔の内部へ進入するための扉を開けさせる。飛び込む部下に続いて内部へ入り、事態に備え予め立てておいた作戦の中から、現状に最も即したプランを適用する。
「頭脳を担う発射管制室、心臓と血管を担う発電室を抑えます。この二ヶ所を抑えられればたとえ発射準備を完了していたとして、飛ばすことはできますまい」
 もしかしたら別の策を用意しているかもしれないが、その時は柔軟に対応するのみ。
 行動を開始したロイドと部下たちを、しかし激しい振動が襲った――。

『管制塔と周辺施設に、攻撃が集中しつつあります』
「施設ごと攻撃するとは、つまりこちらは囮というわけですね」
 管制塔を揺るがす爆発を報告したイリス・オールストロームに続き、デュオ・フォーリーが確信を口にする。マスドライバーが囮で、本命はロケット発射台である、と。
「先に管制塔へ向かった味方を救出します。バズーカを陽動に使い、ミサイルは敵機の破壊に用います」
 今、マスドライバーを破壊する必要がなくなったことで、デュオはマスドライバー破壊用としていたミサイルを敵機破壊用に切り替える。自身とイリスが搭乗するイコン、焔虎と敵機との性能差を意識し、接近し過ぎない距離かつしっかりと攻撃によって注意を引き付けられる距離を保ち、腕部のバズーカを発射。弾速は決して速くないものの当たればただでは済まない砲撃は、敵機に対応を強いる。
(さあ、どう動いてきますか)
 デュオが見守る中、敵の索敵に専念していたイリスから報告が入る。
『数機のシュメッターリンクⅡがこちらへ向かってきます』
 その声にまずは成功、と頷きつつデュオは次へ意識を振り向ける。当然、速度差もかなりのものであり逃げ切れなければその先に待っているのは被撃破である。
『大丈夫です。もしデュオに何かあったとしても、私が必ず安全な場所まで退避させます』
 不安を感じ取ったのか、イリスの応援が聞こえてきた。そう、まだ負けたと決まったわけではない。
「ありがとうございます。では、行きましょう」
 声を発したデュオがトリガーを引き、機体の肩部に装着されたミサイルランチャーを発射する。それらはシュメッターリンクⅡのショットガンに迎撃されるが、生じる爆風が焔虎の姿を隠してくれた。

「……止んだようですね。各員、状態を報告!」
 物陰に伏せていたロイドが身を起こし、無線機で部下たちと連絡を取り合う。先程までの攻撃で損傷を負った者は皆無であり、管制室に向かった部下たちは塞がれた扉をロイドが託したレーザーカッターで切断する準備に入っていた。
「頼もしい限りですね。では、こちらも行くとしましょうか」
 ロイドの声に部下たちが頷き、先頭を進む。発電室を抑え、管制室に供給されている電気を断てば安全に制圧できる。
 最大限の警戒と共に道を急いだロイドと部下たちは、途中小規模な戦闘を乗り越え発電室の扉を爆弾で破壊。部下たちに入り口を守らせた上で発電機の電源を落とすことに成功する。
「ふぅ。これで制圧できますでしょうか」
 この功績が認められ、作戦を指揮している団長から直々に昇進の知らせがもたらされるのを期待しつつ、ロイドと部下たちは作戦を続行する。

 装備を撃ち尽くした機体を囮にして飛び出したデュオとイリスが安全圏への離脱を続けるも、一部の敵機が彼らを発見し照準を合わせつつあった。
(間に合いますか……?)
 一瞬浮かんだ疑問を、デュオが首を振って打ち消す。
「デュオ、私の前に!」
 イリスの警告を含む声に従い、デュオがイリスの前に出る。直後、敵機から発射された複数の弾丸が二人を吹き飛ばす――寸前で、イリスの機晶石から放たれた増幅された力によって強固な盾となった装甲が食い止め、反動で後方へ飛ぶイリスはデュオを両手でキャッチして跳び、人の数倍あった壁を超えてその先へ降り立った。
「大丈夫ですか、デュオ」
「ええ、なんとか。イリスは……大丈夫そうですね」
 ホッ、と息を吐いたデュオの後方では、追跡を行っていたシュメッターリンクが味方イコンに追い散らされていた。管制塔と周辺施設を制圧したことでマスドライバーは機能を停止し、同時に指揮系統も混乱を来したことで一気に味方有利へと戦況が動く。


『マスドライバー襲撃作戦は成功だ。だが、こちらは囮だった。
 戦闘続行可能な機体はただちに、ロケット発射台へ向かってほしい』
 管制塔から金鋭峰が、作戦に携わっていた契約者たちへ通信を行う。鏖殺寺院によるマスドライバー奪回は教導団と自衛隊が共同で当たることになり、契約者たちはロケット発射台へ向かった仲間たちの援護として、必要な補給を済ませた後再び飛び立っていった――。
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