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創世の絆~オーバーチュア~

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創世の絆~オーバーチュア~
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■巨大ラッコの魔の手からたいむちゃんを助けよう!(4)

『わーん、ごめんみんなー! らっこさんが大暴れだよー!』
 ぺこぺこ、と頭を下げて謝るノーンに、イコン、プラヴァーに搭乗する影野 陽太エリシア・ボック、ジェファルコンAに搭乗する小鳥遊 美羽ベアトリーチェ・アイブリンガーはそれぞれ、気にしないように落ち着かせたり慰めの言葉をかけてノーンを労った。
「だ、大丈夫だよ! 何はともあれたいむちゃんがラッコから解放されたんだもん!
 後はほら、ラッコさんも言ってたように私達の方が強い、って思わせられれば大人しくなると思うし!」
『そうですね。ラッコさんの気持ちを聞くまではただ傷つけたくない、と思っていましたけれど、事情が事情だけに仕方ありません。鉱石には十分注意しながら、私達で巨大ラッコに勝ちましょう』
「はい。エリシアと俺とで巨大ラッコの拘束を担当します」
『ええ、必ず成功させてみせますわ。だからもう泣かないの、ノーン』
『ぐすっ……うぅ、みんなありがと~。
 わたしと舞花ちゃんでたいむちゃんをバッチリ守るから、おにーちゃんおねーちゃん、美羽おねーちゃん、ベアトリーチェおねーちゃん、らっこさんをおねがい!』
 ノーンと舞花の搭乗するプラヴァーが、海面にぷかぷかと浮かんでいるたいむちゃんの下へ駆けつける。
『では、陽太様、美羽さん。ご武運を』
 舞花の言葉に送り出され、陽太とエリシア、美羽とベアトリーチェの搭乗するイコンが飛び出す。まず空中からジェファルコンAがムーバブルブースターを吹かし三次元的な機動で巨大ラッコをかく乱する。やたらめったらに両腕を振り回す巨大ラッコはそれほど脅威ではないものの、厄介なのは鉱石の存在だ。
「ベアトリーチェ、威嚇のつもりで一発、撃ってみてもらえる?」
『了解しました』
 ベアトリーチェの操作で、ジェファルコンAの腕に取り付けられたライフル銃から弾丸が発射される。これを巨大ラッコは鉱石を握った腕を振るって弾丸ごと弾いてしまう。鉱石にはまったく傷がついておらず、相当な強度を持っていることが判明した。
「うわ、あの石で殴られたら流石にただでは済まないよね」
『美羽、聞こえる? 僕だよ。
 さっき、もう片方の巨大ラッコが海中に落とした鉱石を回収したんだ。少し調べただけだけどすごく硬くて、イコンのビームすら弾くみたいなんだ』
 一人、作業用イコンに乗って海中を進んでいたコハク・ソーロッドの通信で、巨大ラッコの持っている鉱石はまだ正体が明かされていない未知のものであることが判明する。
「そうなんだ、じゃあラッコから鉱石を弾き飛ばせたら、安心だね!」
『うん、そうだね。回収は僕がやるから、美羽は目の前の戦闘に集中して』
「わかった!」
 美羽が頷き、巨大ラッコの攻撃を回避する。その間に海中を進んでいた陽太・エリシアの搭乗するプラヴァーが巨大ラッコの足元に到達した。
『タイミングを図って……今です!』
「そら、拘束して差し上げますわ!」
 武器に聖なる光輪を宿し――本来は光輪を別に呼び出し、拘束が成功したら武器に光をまとわせ攻撃する連続技なのだが、拘束目的のみで使用される場合は武器に光輪を宿すことでより強力な拘束効果を発揮する――、巨大ラッコ目掛けて振るう。伸びる光の帯が巨大ラッコをぐるぐる巻きに拘束し、動きを大幅に封じた。
「ナイス、エリシア! それじゃ、いっくよー!」
 腕をぶるぶる、と震わせる巨大ラッコの顔面を飛び過ぎ、手に持っている鉱石に太刀による連撃を叩き込む。
『っ! す、すごい反動です』
 受ける衝撃を、小さく悲鳴をあげながらベアトリーチェが機体に制御をかけていなす。そして打撃を受けた鉱石は巨大ラッコの手から離れ、海中に落ちていった。
「コハク、お願い!」
『うん。行ってくるね』
 沈んでいく鉱石をコハクに託し、美羽は武器に光輪を宿して振るうことで拘束の光を伸ばす。
「ラッコさん、もう攻撃は止めて。
 みんなと仲良く暮らすためにも、ここで落ち着こう?」

 美羽の声が届いたのか、巨大ラッコから力が抜けていき、水面に仰向けに伏せた。


「たいむちゃんも無事……かどうかはわかりませんが、解放されたことですし。
 後はラッコに大人しくなってもらいましょう。鉱石殴打、なかなか効きましたよ……?」
 体勢を整えた焔子がスーツの水流ジェットを吹かし、巨大ラッコの回りをバレエのような動きで翻弄する。業を煮やした巨大ラッコが両腕をブン、と振り上げ海面を持ち上げるように攻撃するも、そこに焔子は居ない。
「私はここですわ!」
 巨大ラッコの海面を持ち上げる動作を利用し、海面高く跳ね上がった焔子が星鋏アンナトラに力を集め、一振りの大きな光の刃に変える。それを巨大ラッコの頭に叩きつければ、跳ね返るような反動と巨大ラッコが衝撃を受けて海面に沈んでいくのが見えた。

「秋良、ラッコが大人しくなったよ」
 巨大ラッコを追って海中に潜った先で、ルベウスは沈んでしまった巨大ラッコを発見する。
「たいむちゃんを救出するためとはいえ、少々手荒な真似をしてしまったでしょうか」
 巨大ラッコが気にかかった秋良は、巨大ラッコを対象に傷を癒やし、勇気を奮い起こさせる力を施す。
『――あぁ、ありがとうございます。危うく溺れ死ぬところでした』
 復帰した巨大ラッコは視線でそう訴えた後、海面へと浮上していく。

「たいむちゃん! 目を覚ましてください」
 一方、海面に打ち上げられて浮遊していたたいむちゃんへも、加夜の癒やしの風が届けられる。
『……ワ! こ、ここはどこですか……?』
 しばらくして、たいむちゃんが意識を取り戻し辺りをキョロキョロと見渡す。
「よかった……」
 加夜がホッ、と息を吐いて肩を撫で下ろす。

「それで、ラッコさんはこれからどうするのですか?」
 迦耶の問いに、二匹の巨大ラッコは『自分たちを救ってくれた契約者の皆さんに恩返しがしたい』と視線で訴えた。
 一度吹っ飛んだラッコたちはアニマルドクターによって手当てを受けている。
「そうですか。はい、いい考えだと思います」
「我等ニ出来ル事ガアレバ、力ヲ貸ソウ」
「ああ。……ものづくりなら、多少心得がある。
 陸に上がって身体を休める場所が、あったほうがいいだろう」
 吼牙の言葉に、巨大ラッコが『それは嬉しいです。ありがとうございます』と頭をぺこり、と下げた。

 こうして、契約者たちは巨大ラッコからたいむちゃんを救出することに成功したのだった。
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