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創世の絆~オーバーチュア~

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創世の絆~オーバーチュア~
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■巨大ラッコの魔の手からたいむちゃんを助けよう!(3)

『現在の状況を確認します。
 現在、巨大ラッコ二匹のうち一匹は手に持っていた鉱石を失い、たいむちゃんへの興味も失ったと推測されます』
 海中にて、ノーン・スカイフラワーと共にイコン、プラヴァーに搭乗する邑垣 舞花がこれまでの味方の行動を踏まえた現在の戦況を仲間と共有する。
『ですがもう一匹が健在で、こちらは変わらずたいむちゃんを手に持った鉱石で叩き割ろうとしています。
 よって私達『シャンバラ遊撃隊』はこの未だ脅威を有する巨大ラッコからたいむちゃんを救出するべく、行動を開始したいと思います』
 チームの指揮を担当する格好になった舞花が、事前に計画した行動を伝達し共有する。数が一体減った以外は基本的に変更はなく、まず巨大ラッコへの攻撃そしてかく乱、巨大ラッコの拘束が成功したところでたいむちゃんを救出、できれば巨大ラッコの持っている鉱石を回収した後、巨大ラッコが無力化されるまでたいむちゃんを護衛する流れが共有される。
「たいむちゃんをみんなで助けてあげようね!」
 ノーンの声で全員が一致した目的の下、行動を開始する――。


「たいむちゃん、帝国から指名手配されたり、鏖殺寺院から追われたり……。
 今度は巨大生物に襲われてるのか。ほんと大変だな……」
 苦難続きのたいむちゃんへ、星川 潤也が憐れむ視線を向けつつチームで一丸となってたいむちゃんを救出するべく飛空艇に乗って巨大ラッコの下へ向かう。途中、契約者と遊んでいる巨大ラッコに仲間に入れさせられそうになりながらもかろうじて回避し、今もたいむちゃんを叩き割るのにご執心な巨大ラッコを射程に収める。
「本来の使い方とは違うが、こいつで目くらましだ!」
 色のついた光を発する弾丸を発射装置にセットし、ラッコの頭上に向けて放つ。色とりどりの光がラッコの頭上で光り、興味を惹かれたラッコが両腕をぶんぶん、と振り回して光をかき消した。

「瀬蓮、乗り心地は大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。アリーチェちゃん、運転上手だね!」
 アリーチェ・ビブリオテカリオの運転する飛空艇に同乗した瀬蓮が風を受けながら、巨大ラッコを間近で見られる位置へと移動する。
「瀬蓮はラッコは好き?」
「大好き! ……でも、ここに来るまではただ可愛い、って思ってたけど、ラッコさんの気持ちを聞いて、今はラッコさんが一番喜ぶ形で終わってほしいな、って思ってるよ」
 瀬蓮がアリーチェに、聞いてきてくれたラッコの気持ちを伝える。
「へぇ……そうだったの。それを聞いたら、手荒な真似はできないわね」
 今はたいむちゃんを叩き割ろうとしているが、それはラッコであるが故の性。ラッコもちゃんと自分の行いを理解しているのなら、事が解決した後で酷い扱いを受けることも無いだろう。
「鏖殺寺院にこき使われるよりも、みんなの仲間になった方がいいわよね。
 瀬蓮、あたしたちでたいむちゃんを助けて、ラッコを解放するわよ!」
「うん! 瀬蓮、がんばる!」
 頷いた瀬蓮にアリーチェも頷き、さらに距離を詰める。前方では潤也の放った信号弾が『追撃頼む』とメッセージを送っていた。
「ええ、任せなさい! ……ちょっとキツイかもだけど、我慢して!」
 生み出した光球を巨大ラッコへ向けて放ち、至近距離で爆発させる。ダメージよりもむしろ目くらましの効果が強く、巨大ラッコは短く悲鳴のような鳴き声をあげ両腕をぶんぶん、と振り回した。

『ノーン様、ラッコの注意は頭上に向いています。今でしたら攻撃が通りやすくなっています』
「わかったよ舞花ちゃん! プラヴァー出撃ー!」
 変化する現場を予測し分析を行った舞花の指示の下、ノーンがプラヴァーを進める。推進装置を内蔵した装甲に収納されているハープーンを発射し、浮上するハープーンが水面に浮かぶ巨大ラッコに突き刺さった。

『――――!!』

 瞬間、ひときわ大きな悲鳴が海中にも聞こえてきた。
「あっ……も、もしかしてちょっと狙いが、その……」
『……仰られることは理解しているつもりです、ノーン様』

 海中から痛恨の一撃をもらった巨大ラッコが、渾身の力で胸に抱えていたたいむちゃんを空高く放り投げた。
『ワワワーーーーーー!!』
 たいむちゃんの悲鳴が遠くなり、そして近くなり――

『!!!!』

 ごく浅い海面に着水する。もう少し海中よりだったら沈んでいただろうし、逆に地上よりだったら着地の衝撃でたいむちゃんの中身が露出していたかもしれないので、絶妙な力加減だった。

『――――!!』

 そして、たいむちゃんを手放した巨大ラッコ二匹は海面から立ち上がり――驚くべきことに上体を起こし、まさに海面に立っているような姿で――契約者たちに牙を剥く。
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