■プロローグ
――樺太の宇宙基地。
発射台そばの入り江では、ふたつの勢力が拮抗していた。
パラ実生と百合園生である。
「『割れ窓理論』だよ!
あのラッコはガラスよりも硬いイコンの装甲を割れる、
つまり超ワルで実質パラ実の生徒だろうが!」
「あんな可愛らしいラッコがワルなわけないでしょう!
御覧なさい、瞳もキラキラと輝いていますわ」
両校の生徒は、巨大ラッコ当人をそっちのけで喧々諤々の言い合いを続けている。
そんな中、コクピットを破られそうなたいむちゃんは叫んだ。
「どっちでもいいから早く助けてー!」