■プロローグ■
――第三次世界大戦下の天儀球、神多品学園都市。
「行くのか、零?」
「ああ。貞市は、今度は南方なんだってね」
神多品神社で、神流 貞市と雲龍寺 零は遠征前の束の間の時間を過ごしていた。
互いに、次は生きて来られるかも分からない激しい戦場だ。
「死ぬなよ、貞市」
「お前もな、零」
「貞市、知ってるだろ。俺、超強いぜ? 鈿女様も俺に惚れてるし、簡単には死なないさ。
まぁ、俺が死んでも雲龍寺家は弟が継げるし、どうなったところ何も問題はない」
零が荷物を背負い、貞市に背を向けた。
「零、戦争が終わったら……お前はどうする?」
「そうだねぇ、あまり考えてないなぁ。まぁ、何か楽しいことができればいいな、とは思うよ」
「楽しいこと、か」
「退屈しない、ずっとやり続けられるようなことがあればそれが一番かな」
貞市が“人だった時”の零に会ったのは、それが最後となった。
戦いの末に零は鈿女の力に飲まれ、シャドウとなってしまったという。
だが……それからしばらくして、零らしき人物が紛争地域で度々目撃された、という噂を聞くこととなった。
* * *
「もしもあの時、零を追いかけ、この世界に繋ぎ止めていれば……こうはならなかったのかもしれんな」
「アポカリプスに飲まれた時点で、英雄としての雲龍寺 零は死んだのよ。
だからきっと、あなたが繋ぎ止めようとしたところで、この世界の外に出ていたと思うわ」
愛美の言葉に、貞市も覚悟を決めた。
「そうだな。友として……せめてこれ以上、道を踏み外さぬよう……終わらせなければな」
■目次■
プロローグ・目次
【3】ピュータとランファたちを救出
ピュータを守れ!
無敵の玖繰
子供たちを解放せよ
炎舞
『糸狩り』の策
黒子は踊る
遊びは終わる
その後
【1】黙示録の獣を食い止める
光と浄化
人の心
守るべきもの
}黙示録の獣
濁世に射す光明
【2】鈿女の意識を目覚めさせる
疫病の騎士
英雄か災厄か
願いのための歌
雲龍寺の血
声よ、届け1
声よ、届け2
声よ、届け3
追憶 ~アポカリプスを調伏する法~
追憶 ~姿無き襲撃者~
追憶 ~番長ファイト!~
追憶 ~六華祭~
雲龍寺 零
エピローグ