■プロローグ■
――魔界、???
「ねぇ、シグマ君。なんであの変態野郎が人界に行くのを止めなかったの?」
「止める理由がないからだ。奴が人界で何を為そうが、ワシには興味がない」
ミリアは“熱の魔王”
シグマの顔を見上げた。
今や絶滅してしまった巨人族。その最後の一人にして、竜の時代を知る者。
「それよりもだ、ミリア。
再生の理。五百年前に呪いを刻まれ、暴走し続けるアルファオメガの原書。
お前が匙を投げ、ワシに丸投げしたことを忘れたわけではあるまい?」
「うっ、それは……」
痛いところを突かれた。
人界では輝神教会の総本山が頑張って戦ってくれているからと、ある種教会の力を信頼して放置しているが、根本的な解決策は見つかっていない。
教会の者によって何度も倒されているが、倒した者は原書に取り込まれ、そこに刻まれた、発狂したアルファオメガの魂に上書きされ、新たなアルファオメガとなってしまう。
“再生の理”の暴走。
それを止めるための道具を見繕ってもらうべくシグマに依頼したのだが、文明の火――“熱の理”の体現者とはいえ、我ながら無茶ぶりにもほどがあると思う。
「まあよい。兆しは見えている。……ナイトロードに感謝せねばな」
「何、アイツが何かしでかしたの? だから止めなかったとか」
シグマが挑発的な笑みを浮かべ、ミリアを見下ろす。
お前の頭で考えてみろ、と。
「分かったよ。でも、アイツは魔界の……いや、“世界”の敵だから。
あたしは来たるべき時まで世界を守る、そう決めてるの」
魔王となった以上、ナイトロードに死はない。
だが、一度死ねば、復活までの間は“識の原書”は無防備になる。
「ナイトロード。この世界のために、君には滅んでもらうよ」
■目次■
プロローグ・目次
【5】ザーレ奪還1
【5】ザーレ奪還2
【5】ホルハイム奪還1
【5】ホルハイム奪還2
【5】ホルハイム奪還3
【5】ホルハイム奪還4
【5】リモーネへの救い1
【5】リモーネへの救い2
【5】リモーネへの救い3
【5】リモーネへの救い4
【4】魔族対機械族
【4】三機将ヴァイス
【4】ヴァイスの秘密
【4】思わぬ決着
【1】空中戦
【1】飛ぶ鳥を墜とせ
【1】北部の英雄と共に
【1】二の槍現る
【1】機械兵を排除せよ
【1】動力室防衛戦
【1】再激突
【2】純粋な闘志
【2】意地
【3】グリューンと心
【3】ナイトロードの力
【3】皇帝の本気
エピローグ