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楽園の覇権争い

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楽園の覇権争い
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・キルデア騎士団とリーシュ騎士団2

 九曜 すばるはアマゾナス・インターセプターとの戦いに伴い発生する、味方の混乱を収拾させようとしていた。
 ホライゾンホバーボードに乗って、戦場に散らばったキルデア騎士団の面々を見て回りつつ、同士討ちになっている場面を見つけて大きな盾をその間に展開させ被害を軽減させる。

「今のうちに距離を取れ!」
「ありがとうございます! 助かりました!」

 下がっていく味方を追いかけようとする、魅了されている味方を牽制すると、魅了された味方はスバルに攻撃対象を切り替えてきた、
 攻撃を避けつつ、下がった味方が安全圏に離脱したことを確認すると、すばるもさっさとホライゾンホバーボードの速度を上げて振り切りにかかる。
 無事離脱できた。
 もちろん、魅了されている味方をそのままにしてはおけない。

「魅了を解除できる味方を探すか。……いればいいんだがな」

 呟き、ホライゾンホバーボードを回頭させる。
 パルトナーを操縦するダークロイド・ラビリンスは、アマゾナス・インターセプターとの戦いを欲し戦場に乱入する。
 その戦場は、アマゾナス・インターセプターの魅了に逆らえなかった男性たちが、味方に同士打ちを仕掛ける異様な展開になっていた。
 惨状を作り出したアマゾナス・インターセプター本人は、そんな男性たちには目もくれず、執拗に女性を追い回している。
 女性ばかりをつけ狙うのは、アマゾナス・インターセプターの目的が、自分が寄生するに相応しい宿主を見つけることだからだ。
 選り好みをする性質のようで、即断即決はせず、吟味を重ねている。

『……容姿ガ気ニ食ワン』
『……悪クナイガ好ミデハナイ』
『妥協スベキカ? ダガ、ソレモコノ程度デハ……』

 などと、女性たちの価値を一方的にジャッジしていた。
 自分の身体になることを考えると、些細な痘痕も見過ごせないらしい。
 これは女性一同から顰蹙を買うこと間違いなしだろう。
 品定めされて評価を下されることに、ダークロイドとしては大した感慨はない。
 ダークロイドの精神の大部分を占めるのは、戦闘への熱狂と期待なのだから。

『中々壊し甲斐のありそうなバルバロイじゃないか……!』

 飛んできたミサイルの大群を、大量の光線を発射することで迎撃する。
 弧を描くミサイルの群れと屈曲する光線の群れが空中で交わり、次々に爆発の華を咲かせた。

『気が逸るのはいいが、近付きすぎないでくれ。魅了されたくないんでな』

 戦闘にのめり込みそうになったダークロイドを、卯月 神夜が声をかけて諌める。
 アロガンツを駆り近接戦闘を挑む神夜は、アマゾナス・インターセプターの魅了やスキル封じの影響をもろに受ける。
 スキル封じは因子レベルの高さで何とかなるが、問題は魅了だ。
 神夜本人にはどうすることもできないので、対応はエナ・コーラルレインスノウダスト・ラビリンスの両者に委ねられている。
 踊りに並行してマイクパフォーマンスを行いつつ、エナはアマゾナス・インターセプターにドン引きしていた。

「バルバロイが面食いって、どういう思考回路しているですぅ?」
「姿はアレですが、ずいぶんと女性的な思考をしている敵ですね。もっとも、女性として魅力のある性格とも思えませんが」

 同調するスノウダストも、アマゾナス・インターセプターに対してあまり良い印象は抱いていない。
 まあ、そもそも敵なので当然ではあるが。
 エナは誰かの為の楽園・開花を発動した。
 ある物語に綴られた詩の一節が、楽園と呼ばれし世界から舞い散る花びらを呼びこむ。
 味方に癒しと勇気、苦難を乗り越える力を与えた。
 合わされるのは、スノウダストが奏でる在りし日の楽園の記憶。
 赤いアネモネやカリン、サンビタリアなど、様々な花が美しく咲き誇る。
 温かな風が吹き、味方の精神を和らげた。

「……んぅ~?」
「妙ですね……」

 星詩と星音を維持するエナとスノウダストは、両者同時に異変に気付いた。
 展開してもなお、魅了に誘われる神夜の状況が好転していないのだ。
 そして、追い討ちがかかる。

『耳障リナ音ダ。静カニシロ』

 エナとスノウダストの星詩と星音が、強制停止に追い込まれる。
 アマゾナス・インターセプターのスキル封じが直撃したのだ。
 さらに悪い展開は重なるもので、ついに魅了に抗えなくなった神夜の中で、ダークロイドとアマゾナス・インターセプターに対する好意と敵味方の認識が反転した。

「アマゾナス・インターセプター様の邪魔はさせん」
『お前は何を言っているんだ。正気に戻れ』

 こんな状況では、アマゾナス・インターセプターへ有効打は与えられない。
 ダークロイドは、目の前の神夜への対応に意識を切り替える他なかった。

『ふたりとも、ステージから落ちないよう気をつけろ。手荒になる』

 回避機動を取るダークロイドのパルトナーが、放たれたアロガンツの斬撃を避けた。
 避け様に反撃を試みるものの、撃墜してしまうことを恐れてか、ダークロイドの動きはアマゾナス・インターセプターを相手にしていた時のように鋭くはない。

『……ここは、撤退するべきか。いや、するしないに関わらず、まずは正気に戻さねばどうにもならんな』

 神夜を置いていくわけにはいかないし、魅了されたまま連れて撤退しても、被害が増すだけだ。
 浮足立っているダークロイドとエナのふたりを、アマゾナス・インターセプターはじっと見つめた。

『……一応、きーぷニシテオクカ』

 それ以上の攻撃は行わず、アマゾナス・インターセプターが去っていく。

「あ、行っちゃいますよぅ」
「仕方ありませんね。この状況では」

 慌てるエナの横で、スノウダストがため息をつく。
 アマゾナス・インターセプターが去ったせいか、やがてふたりはスキル封じの影響から解放された。
 ダークロイドと協力し、魅了されている神夜を取り押さえ、機体から引きずり出して力づくで我に返らせた。


* * *



 キルデア騎士団のトルバドールが歌う星詩が響く中、玲央のツヴァイハンダー・エリートが放ったホライゾンキャノンは、超遠距離狙撃となってアマゾナス・インターセプターに突き刺さった。
 よろめいたアマゾナス・インターセプターが下手人を探すも、玲央の姿は既に狙撃場所にはない。
 一発放ってすぐ、その場を離れたのだ。

『移動は基本、ですからね』

 ずっと一か所に留まっての狙撃では、攻撃間隔こそ最低限にできるものの、すぐに居場所を特定されてしまうリスクがある。
 味方がアマゾナス・インターセプターを釘付けにしてくれている状況ならそのリスクは軽減されるものの、強敵相手にそこまでの負担を強いることはできないし、それを前提とした作戦を組み立てたところで失敗するのは分かり切っている。
 何事も基本に忠実に、だ。
 お手本として教科書に乗ってもおかしくないような狙撃行動を見せている玲央の活躍の裏には、ヴァレットの手厚いサポートがあった。
 攻撃面でも防御面でも、的確に手助けを行っている。
 玲央を探すアマゾナス・インターセプターの頭上からダイヤモンド塊が降ってきた。
 まるで小隕石のようなそれに直撃されたアマゾナス・インターセプターが、苦悶の声を上げて体勢を崩す。

『誰ダ!?』

 アマゾナス・インターセプターは周囲を見回すも、下手人が分からない。
 それもそのはず、ダイヤモンドを当てたのは、効果範囲ぎりぎりの距離から一撃離脱したすばるの仕業だったのだから。


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