■プロローグ■
――楽園シャングリラ、アーク、王都レンスター郊外
サテライト、紅の月から急遽戻ってきた
ウォルフ・ランバージャックとドラグーンアーマー・カラドボルグのオペレーションAI・
テスタロッサ、
ジェニー・ヘアドレッサーと合流した
フェリシア――
ロミア・レンスター王女と――
リベリカ・トゥーバは、
“外法の者”たちと共に、テスタロッサの案内で、アークの内部へと向かった。
「フェリシアさんも、ここに来るのは初めてだよな?」
「ええ。アークは元々地表に遺跡が多いけど、この内部通路の存在自体、初めて知ったわ」
『というより、私たち
オペレーションAIもアークから知らされていなかった、というのが正しいわね』
ウォルフの問いにフェリシアが答えると、平面ホログラフィー画像であるテスタロッサがクルリと向きを変え、二人にそう告げた。
平面ホログラフィー画像であるテスタロッサも何故か走っている仕草をしており、かなり早い速さで後ろに駆けているような姿となるため、不謹慎ながらジェニーとリベリカは二人でこっそり吹いてしまう。
「私たちは因子やオペレーションAIのお陰で、不自由なくアークを使っているけれど、内部を含めて不明な点が多いのは事実よ」
「……それって、
“知らなくてもいい”ことなのでしょうか? それとも
“知るとまずい”ことなのでしょうか?」
「……知らなくて当たり前だから、考えたこともなかったわ」
アークは謎が多いが、運用する上では問題はないし、フェリシアたちの文明レベルではアークの謎を解き明かすことは難しいため、謎は謎のまま、とされていた。
しかし、リベリカはロディニア――異世界の人間である。彼女はフェリシアたちが疑問にすら思わなかった疑問を投げ掛けたのだ。
「確か、
ファーストクイーンが憑依している
ゼノビアさんは、リベリカさんと同じ世界の住人でしたよね?」
「リベリカ、でいいよ。後、普通の喋り方にしてもらえると嬉しいな。ですますは他人行儀っぽいしね」
「じゃぁ、リベリカ」
(……)
砕けた口調で呼び捨てにした際、ジェニーの視線が鋭くなったのは気のせいだろうか……。
「そう、ゼノビアさんはロディニアからアークへ意図的に送り込まれたの。ファーストクイーンの依り代になったのは偶然だけど、もしかしたら、あたしのような疑問をファーストクイーンが持ったことも考えられるよ」
「“外法の者”が言っていたが、テルスから来た
イペタムも、バルバロイ・アマゾナスに何らかの影響を与えているかもしれない……バルバロイが私たちと取って代わりそうで嫌だわ」
リベリカの説明を聞きながら、フェリシアはそんな感想を漏らしたのだった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】アマゾナス・インターセプターを倒す
・キルデア騎士団とリーシュ騎士団1
・キルデア騎士団とリーシュ騎士団2
・ベイグラント騎士団と二振一具1
・ベイグラント騎士団と二振一具2
・オーバーチュア騎士団1
・オーバーチュア騎士団2
【2】アマゾナス・マグナートを倒す
・赤い軍勢を見据えて
・紅殻姫の威容
・それぞれの想いを重ね
【3】ファーストクイーンからアークを守る
・ファーストクイーン・ゼノビアを追え1
・ファーストクイーン・ゼノビアを追え2
・ゼノビアを救え1
・ゼノビアを救え2
・ゼノビアを救え3
エピローグ