クリエイティブRPG

月魄供覧

リアクション公開中!

 152

月魄供覧
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last

猫喫茶


「猫チューブつるつるを一つ」
 辺境の猫喫茶を訪れた飛鷹 シンは、接客に出てきた店員のメイドトルーパーに注文をすると、店の中央で胡座をかいた。すぐに、愛想のいい営業部長の猫が近づいてきて、両足の間で丸くなる。
 癒やされる~。
 テルスでは殺伐とした戦いばかりで休む暇がなかった。目の前の敵を倒しても、戦いは終わらなかったのである。地球の歴史を鑑みても、それが摂理だと言われてしまえばそれまでだが、人としてそれに納得するわけにはいかない。なんで、毎度毎度ボスキャラが現れるのだ。さすがに、すべて中ボスだというわけではないだろう。あるいは、裏ボスでもいるのか!?
「なあ、ガンデッサは、ここで、――お前たちや、猫たちに普段はどんなことをしてたんだ?」
 なんとなく、そんな言葉が口をついて出た。なんとなくである。
「さあ、見た目は店長と区別がつきませんから。今が、店長1なのか、店長2なのかは分かりませんよ」
「ふーん、そうか」
 ぼんやりとそう答えたが、それはつまり、行動にあまりブレがなかったということだ。猫を愛でて、仕事をこなし、普通に暮らす……。
 なあんだ、理想の自分と違いがないじゃないか。
「たまに、この世界は俺の物だとか、聖女となったらお前は排除するとか、一人漫才――いえ、店長と口論はしていたみたいですけれど」
 前言撤回。冥王と聖女となり、テルスを支配するための全世界猫喫茶化計画は諦めていなかったのか。本気だったのか!?
 いずれにしても、本当に冥王と聖女に成り代われる存在だったのは事実だったのかもしれない。そりゃ、冥王を滅ぼしたい者たちにとっては、二代目候補も潰しておきたいということなのだろう。完全な、風評被害じゃないか。
「なあ、俺をここで雇ってくれないか?」
 のんびりと猫の面倒をみて暮らすというのもいいなあと、膝の上の猫をなでながら飛鷹シンがつぶやいた。
「従業員はメイドトルーパーの資格が必要ですので。それをお満たしくださいませ、お飼い主様」
 やんわりと、店員のメイドトルーパーが飛鷹シンに断った。

★    ★    ★

 孤島の海岸では、ロデス・ロ-デスがサーフパンツ一丁で準備体操に余念がなかった。
 海岸はこぢんまりとした広さだが、白い砂のまぶしい綺麗な海岸だ。確か、Gハイドとメタルチャリオット・ジプソフィラがこの海岸に墜落したはずだが、今は影も形も見当たらない。
「海中には、拡散した部品が沈んでいるに違いない。さらに、ここにGハイドが墜落したのは、何かの導きがあったはずだ。きっと、この海底には何かが眠っているはずだ」
 そう決めつけると、ロデス・ローデスはザンブと海に飛び込んだ。お宝♪ お宝♪
 水中の透明度も相当のものだ。さすがは、絶海の孤島ということだけのことはある。
 素潜りを続けつつ、ロデス・ローデスは、何か発見がないかと海底をうかがっていった。ここぞという所では、掘削の杖を使って掘り返してもみる。
 しかし、いくら探しても、これといった物は発見できなかった。むしろ、何もない。Gハイドなどの破片すら、すでに綺麗に回収されてしまった後のようだ。
「ゴボゴボゴボ!」
 めげずに掘削を続けていると、突然誰かが水中を近づいてきた。しなやかな指先がロデス・ローデスの耳をつまむと、有無をも言わせず陸(おか)へと引っ張り上げる。
「いてててて……」
 ロデス・ローデスを捕まえたのは、水着姿のメイド嬢だ。なんでメイド嬢だと分かったかというと、フリルつきの黒のビキニで、腰にミニエプロンを巻いて、頭には水中帽代わりのフリルカチューシャを被っていたからだ。ちゃんと、カフスもつけている。微妙な気もするが、実にメイド主張が激しい。
 しかし、これは眼福。正にお宝である♪
 思わずメイド嬢に見とれていると、ロデス・ローデスはメイド嬢に思いっきり叱られてしまった。
「お飼い主様、このように海を汚す行為は、当店では禁止されております」
 腰に手を当てて、メイド嬢がぷんおこである。
 海底を掘りまくったため、すっかり海が濁ってしまったからだ。これでは、せっかくの綺麗な風景が台無しである。
「いや、メタルチャリオットの破片とか、何かお宝が落ちているかと……」
 ロデス・ローデスが言い訳する。
「そのような物は、とぉっくぅの昔に回収済みです。ちゃんと、しかるべき所に送ってあります。ここにはもう何も残ってはいません」
 メイド嬢が、きっぱりと言い切った。


First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last