クリエイティブRPG

月魄供覧

リアクション公開中!

 152

月魄供覧
リアクション
First Prev  12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22  Next Last

ライトニング


 アイアンボトム・サウンドを発進したバナント・ベルの艦隊は、ベンセルムⅣからアクシス・ムンディを目指すマケドニア・キングダムの艦隊を猛追していた。
 航路上は、先行するマケドニア・キングダム艦隊の側面からエンゲージする形になるが、自転するスフィアにあるアクシス・ムンディに相対速度を合わせるため、実際には後方から接近する形となっていた。
 当然、後方から攻撃されるという不利な状況を熟知するマケドニア・キングダム艦隊は、戦力分散のリスクを冒してまでも、要所要所に分遣隊を配し、MECやメガリスによるマジックテリトリーやマジックテルシオを展開していた。先制防御で守りを固めた旗艦ドレッドノート級も、魔防網を展開した護衛艦に何重にも守られている。
 ライトニング艦隊の先陣を預かる土方 伊織バトルクルーザー級リュッツォウは、ツインコンプレッションカノンを中心に、防衛に現れる敵シールドクルーザー級改二に対して砲撃を加えていった。
 それに随伴するフリッグ・フェンサリルのヘビークルーザー級改も、リュッツォウへの支援砲火として、敵護衛部隊のデストロイヤー級改二に対して中口径三連装魔力砲による砲撃を行っていった。
 敵の強力なディスタブ・バーンによって、スフィアから上がってきた部隊の状況は分からないが、善戦していると信じて、こちらは自分たちのできることを着々とこなしていく。
 敵シールドクルーザー級改二の護衛艦であるデストロイヤー級改二とビームスプレー級が突撃してくる。
 バリアオーブを展開しつつ全速回避で敵の突進を避けたフリッグ・フェンサリルのヘビークルーザー級改が、メガリス三基をローリングサンダー陣形で展開して、ターゲットロックした敵ビームスプレー級に対して弾幕を張る。
『敵防御陣形を崩します。左翼シールドクルーザー級改二に対して、全艦、一斉射!』
 小隊陣形を崩すには、構成している敵艦を個別に叩いていけばいい。ターゲットを絞らない攻撃など無駄の極みだ。
 パルトナーカノンで敵のマジックテルシオを貫いて攻撃するフィーリアス・ロードアルゼリアの旗艦用シールドクルーザー級改の甲板から、ラフィーナ・セレニティーのプギオも、アウトレンジアタックを駆使してのミサイル攻撃を行っている。
 的確な集中砲火で、土方伊織たちはマケドニア・キングダム艦隊の防衛戦を次々に突破していった。
 レニア・クラウジウスのバトルクルーザー級ローザ・ブリッツも、魔防網を展開してライトニング艦隊を守りつつ、魔力充填した連装フォースキャノンで敵の防衛艦を攻撃していく。
「かすみ殿の高速艦や敵めっくは今のところ見当たらぬようじゃ。ばりあを作っておる敵艦の位置を示すので、確実にあてるのじゃぞ」
 索敵宝珠改で全方位索敵を行った雪神 白羽が、マジックテルシオを展開する敵艦の位置をレニア・クラウジウスに伝えた。
 それを元に、レニア・クラウジウスが確実に敵艦をターゲットロックする。
 デストロイヤー級改二がこちらを狙って砲撃してくるが、狙われたのは雪神白羽が展開したマジックチャフだ。そこを逃さず、雪神白羽は試製チムニーミサイルで反撃した。
 敵は足止めを目的としているため、動き自体は鈍い。だが、時間をとられては敵の本隊がアクシス・ムンディに到達してしまう。もしもアクシス・ムンディが倒壊したら、スフィアに与える被害は計り知れない。それだけはなんとしても食い止めなければならない。無駄弾は御法度だ。
 ヒートスプレッダでなるべくフォースキャノンの攻撃間隔を短縮しつつ、レニア・クラウジウスはターゲットロックした敵艦を確実に落としていった。
 それにしても、敵艦隊の艦船の数が異様に多い。かなりの数を温存していたとはいえ、広範囲にかなりの密度で存在している。
 おそらくは、マジックチャフにソルジャーデコイ、はてはダミーシップなどを駆使して、艦隊の全容を掴みにくくしているのであろう。
『敵防衛戦は崩れた。一気に追い上げるぞ!』
 ライトニング艦隊旗艦アンフィビアスアサルト級ジュアン・エクレールに乗ったレベッカ・ベーレンドルフが、艦隊に加速を命じる。
 クラリス・アーデットのコルベット級ラピッド・オラージュが戦速増加を駆使して、艦隊が速度を上げた。
 艦隊が攻撃から移動へとシフトした瞬間であった、下方から高速で迫る艦隊が現れた。カスミ・ヤスハラの指揮する高速艦隊だ。完全にライトニング艦隊の死角を突いて、急接近してくる。
 このままでは艦隊中央を食い破られると判断した“鋼壁の守護才女”ビーシャ・ウォルコットが、フィールドグラヴィティを発動させた。カスミ・ヤスハラのシュタイフェ・ブリーゼには効果はなかったものの、随伴する高速仕様バトルシップ級は鋼狼に引き寄せられ、ターゲットロックしていた砲撃がライトニング艦隊の艦船から外れる。
 だが、敵艦を引きつけたために、鋼狼の回避が遅れる。
 それを逃すはずもなく、カスミ・ヤスハラだけは、大口径連装魔力砲で鋼狼に直撃を与えてきた。
 ベレッタ・マルールのムーブメントシールドとバリアオーブによって、鋼狼がかろうじて撃沈を免れる。とはいえ、初手で大ダメージを食らい、聖女見習い小隊が修理のために艦内を走り回ることとなった。
 鋼狼が中破したとはいえ、ビーシャ・ウォルコットが敵艦隊を抑制してくれなければ、艦隊が半壊していたところだ。
 ラピッド・オラージュの甲板上で待機していた“精神的奴隷の解放者”桐ヶ谷 遥のフューリーⅡ型クラウソラスが、サイコアクチュエータで強化されたサイコデュレーションで素早く対応し、すれ違って飛び去る高速仕様バトルシップ級にむかってビームバスターショットを放つ。ピアッシングライトでメインスラスターを攻撃された高速仕様バトルシップ級が、コントロールを失って戦線から離脱していった。
 カスミ・ヤスハラの戦法は、常に敵艦の主砲の射角外から一撃離脱を加えてくる。あり得ない至近距離を通り抜けていくため、後続艦は味方艦を巻き込まない砲撃は至難の業となる。こちらの砲撃を許さず、一方的に攻撃してくる戦術は脅威だ。
 単艦で奇襲をしてくるように思われがちだが、基本は遊撃である。必ず、敵艦隊と相対する味方艦隊がいる状態で、敵の死角を突いてくる。下手に回頭を行ってカスミ・ヤスハラの艦隊を狙おうとすれば隊列が乱れ、敵本隊の餌食になるという戦法だ。
 早期にその動きを発見していれば対処も可能だが、敵も態勢を整えて待ち構えている敵に突っ込んでくることはない。
 もっとも、初撃を凌ぐことさえできれば、オペレーターが優秀であれば補足し続けることは不可能ではない。神出鬼没な敵の動きさえ把握してしまえば、逆に敵の行動を押さえ込む結果に持っていくこともできる。
 とはいえ、敵の追撃を急がねばならない時に、側面攻撃を受けることは非常にまずい。対応しようと回頭すれば、進軍が遅れるからだ。敵本隊に追いつけなければ、それこそ敵の思うつぼである。
『警告! 敵艦からMEC隊が発進した。いや、奴ら、すれ違い様にMECをばらまいていきやがった』
 ジュアン・エクレールの甲板で待機し、バゼラード改MEMk-Ⅲの望遠宝珠で敵艦の動きを観察していた本道寺 健が、レベッカ・ベーレンドルフに告げた。
 通常、MEC隊は事前に母艦を発進し、そのまま甲板にとどまるか、母艦の射線を迂回して別方向からターゲットに攻撃をしかけるものだ。だが、厄介なことに、敵高速仕様バトルシップ級は、すれ違い様にハヴォックmkⅡを放出していったのだ。これでは、接近される前の迎撃はできない。
 艦隊戦に対応しようとしていたライトニング艦隊に、近距離から敵MEC隊が襲いかかった。
 逸早く敵の挙動に気づいた本道寺健が、確認したハヴォックmkⅡをセミロックオンし、ビームショルダーキャノンで撃ち落としていく。
 高速で移動する母艦から飛び出して、別ベクトルで進行している敵艦に相対速度を合わせるのだ。さすがに瞬時というわけにはいかない。敵が態勢を整えるまでのわずか数秒、その間の敵は無防備に近い。
 一機を撃破し、もう一機にシールドで防御されたところで、本道寺健が飛び出していった。ヘビーアサルトライフルで、敵との射撃戦に入る。敵も無茶な登場の仕方をするだけあって、動きは俊敏だ。本道寺健も巧みにMECを操縦し、互いにライフルとバルカンの長短を交えたドッグファイトを繰り広げていった。互いに互角かと思われたが、マリィの魔改造の分、バゼラード改MEMk-Ⅲの方が規格外だ。一瞬の隙を突いて、本道寺健がブレイドダンスで頭部バルカン砲の弾幕を張る。サイコバリアで敵が防御したところへ、突進すると共に魔力攪乱式6連スモークディスチャージャーを撃ち込んだ。敵と共にバゼラード改MEMk-Ⅲも出力が下がるが、魔力攪乱幕に飛び込む直前の加速のまま、慣性で一気にワルーンスパイクシールドを叩き込んだ。衝撃でハヴォックmkⅡの機体各所から火花があがり、それきり動けなくなる。
 出力低下がすぐには回復しないバゼラード改MEMk-Ⅲが、一端ジュアン・エクレールの方へと下がる。
『近づけさせないわよ』
 桐ヶ谷遥が、ビームガトリングガンで、ハヴォックmkⅡを攻撃した。敵のキャノンシールドからのビームは、クラウソラスの巨体を盾として傾斜装甲で弾き、ラピッド・オラージュにはあてさせない。そこから、クラウソラスの大出力を生かして、一気に敵ハヴォックmkⅡに肉薄する。そのままの勢いですれ違い、ハヴォックmkⅡを四本のビームソードで斬り裂いた。
 機体各部に装備したスラスターを全開にして回頭すると、四方にビームソードを閃かせながら、別のハヴォックmkⅡにむかって突進していく。
 複数の有線イェーガーで牽制しつつ、ハヴォックmkⅡがツインビームソードで斬りかかってきた。交差させたビームソードで敵のビームソードを挟むようにして受け止めた直後に、クラウソラスの胸部ビーム砲が至近距離からハヴォックmkⅡを貫いて撃破する。
 さすがに、被弾率の高いクラウソラスではいつまで持つか分からない。だが、攻撃の手を休めずに、桐ヶ谷遥はホーミングミサイルを発射して味方艦にとりつこうとするハヴォックmkⅡを牽制していった。
『クラウソラスは敵MECの迎撃。MEC隊、緊急発進せよ!』
 レベッカ・ベーレンドルフの指示を受けて、土方伊織のリュッツォウから馬謖 幼常のクーガーが発進して艦隊の直掩に加わる。
 目立ってしまったために攻撃を集中されているクラウソラスの周囲を飛び交う無線イェーガーをアダマンチウムビームマシンガンで撃ち落とし、ボムキャットと連携したシュツルムアタックでハヴォックmkⅡを撃墜した。
 続けてリュッツォウを発進したサー ベディヴィエールアガートラム改も、ツインワルーンシールドで飛び回る無線イェーガーをいなしつつ、ヘビーアサルトライフルでハヴォックmkⅡと射撃戦を演じる。サイコフォーキャストでアダマンチウムライフルの射線を読み、巧みなMEC操縦で一気に敵に接近し、ワルーンスパイクシールドを叩き込む。銀色の一閃に、装甲の破片を振りまきつつ吹き飛んでいくハヴォックmkⅡに、ビームショルダーキャノンを撃ち込んで止めを刺した。
『敵ビームスプレー級とMECの小隊が迫っています。戻ってください』
 リュッツォウの甲板からFFMEMk-Ⅳで全方位索敵を行っていたグラーフ・シュペーが、馬謖幼常とサー・ベディヴエールに呼びかけた。
『避けて!』
 護衛のボムキャットがビームスプレー級に対艦ミサイルを発射するのを、フューチャーヴィジョンで危機を感じたグラーフ・シュペーが逃げるように叫んだ。とっさに回避行動をとるも遅く、ボムキャットがビームスプレー級の魔力速射砲を受けて大破する。
 すぐに駆けつけると、グラーフ・シュペーはバリアオーブで防御しながら、注力処理で簡易処置を施していった。
 だが、ビームスプレー級が反転して、魔力速射砲をグラーフ・シュペーごとリュッツォウにむける。
 グラーフ・シュペーが再び攻撃を受けると思った刹那、ビームスプレー級が側面から集中砲火を受けて大破爆発した。
 レニア・クラウジウスのバトルクルーザー級ローザ・ブリッツの甲板でマルチバースト陣形を組んだ“闘竜天駆騎兵”草薙 大和のプギオと二機のワルーンアーチャーが、MECバスターライフルと対艦用三連ショルダーキャノンを次のターゲットへとむけていた。その隣では、草薙 コロナの試製プギオTHが、ホーミングミサイルランチャーの発射態勢のままサイコサーモグラフで、潜んでいるミゼットサブマリン改の存在を探っている。
 サー・ベディヴエールは素早く戻って馬謖幼常と合流すると、連携して残るハヴォックmkⅡの排除にあたっていった。
 草薙大和と草薙コロナもローザ・ブリッツを離れると、ワルーンアーチャーに援護してもらいながら、敵MEC隊を狙撃していく。
 だが、今攻撃をしかけてきているのは、マケドニア・キングダムの本隊ではない。カスミ・ヤスハラは強敵だが、所詮は分遣隊だ。
『時間稼ぎか。ここで足止めを食って、アクシス・ムンディを落とされるわけにはいかないな』
 草薙大和が、焦りを隠せないでいる。もし、アクシス・ムンディが倒壊すれば、サフル大陸、いや、スフィアの被害は、計り知れないからだ。
『焦らずに、確実に』
 メタボリズムチェッカーで冷静を保っている草薙コロナが、プギオにプギオTHを寄せて草薙大和に言った。その側方で、二機に攻撃をしかけようと射線に乗ってきたハヴォックmkⅡが、試製無線シュナイダーによって撃たれ、バランスを失って回転した。草薙大和を気にかけつつも、草薙コロナが攻撃の手を休めないことを実戦してみせたのだ。
『焦りはしない』
 草薙大和がMECバスターライフルのエイムショットで、ハヴォックmkⅡに止めを刺す。
『だが、急ぎはしよう』
 陣形を組み直すと、草薙大和と草薙コロナは、残るハヴォックmkⅡにむかっていった。

★    ★    ★

『慌てるな。全艦、八門金鎖陣!』
 ジュアン・エクレールとメガフュージョンしたレベッカ・ベーレンドルフが、空戦術を実行する。
 クラリス・アーデットがディスターブ・バーンで、カスミ・ヤスハラとMEC隊の通信を分断する。
 本来であれば、敵艦隊に突っ込んで攪乱するための施策であったが、こちらが攻め込まれたのではやむを得ない。ジュアン・エクレールとローザ・ブリッツ、リュッツォウやクローディア・シェーンバーグのアンフィビアスアサルト級やフィーリアス・ロードアルゼリアの旗艦用シールドクルーザー級改までもがレベッカ・ベーレンドルフの操作下に入り、カスミ・ヤスハラの艦隊の進路を船体や砲撃で妨害して動きを乱れさせる。
 反転してきたカスミ・ヤスハラの艦隊の攻撃が、今度は明確に精彩を欠く。
『全機、敵MECを艦隊にとりつかせるな!』
 二機のEWACプギオを伴ってジュアン・エクレールを発進したアネラス型フルミネスから、アルフレッド・エイガーが、クリーンエリアのZOCを展開しつつ、ライトニング隊のMECに後ろ盾の号令を発する。
 即座に、EWACプギオが全方位索敵を行い、敵MECの位置を部隊に知らせた。
『気を抜くな。敵は、MECだけとは限らないぞ』
 アルフレッド・エイガーが、部隊に注意を促す。
 実際、ハヴォックmkⅡ以外にも、高速仕様バトルシップに追従しているビームスプレー級の姿もある。それ以上に注意しなければならないのは、ミゼットサブマリン改だ。姿は見えないが、EWACプギオの索敵宝珠にはその存在が確認されている。アルフレッド・エイガー自身も、探信宝珠を使いその存在を確実に捉えていた。
 同様にジュアン・エクレールを発進したフィーア・シュナイデのプギオSUも、戦場把握でミゼットサブマリン改を中心に敵MEC隊の配置の把握に努めている。ただ、敵部隊はこちらの艦船を目標としているため、フィーア・シュナイデに敵意がむけられているわけではないので把握は難しかった。
『敵、10時方向、上下角-8』
 そんなフィーア・シュナイデに、アルフレッド・エイガーから的確に指示が飛ぶ。
 ブラインドアタックで、フィーア・シュナイデがインフェリアミスリルガンを発射した。直撃こそしなかったものの、アウトレンジアタックで予想外の距離から攻撃を受けたミゼットサブマリン改の注意がプギオSUにむく。
『そこ!』
 フレキシブルスラスター壱式で素早く位置取りを変更し、フィーア・シュナイデがキャノンシールドを発射した。爆発と共に、ミゼットサブマリン改がその姿を現す。
 姿さえ見えてしまえば、こちらのものだ。
 ハープーンで攻撃しながら全速回避を行おうとするミゼットサブマリン改に、フィーア・シュナイデはインフェリアミスリルガンを命中させて沈めていった。
 アルフレッド・エイガーの指示で駆けつけた馬謖幼常も、送られてきた索敵情報からボムキャットがメックアサルトライフルでミゼットサブマリン改を炙り出したところを、フルアーマーユニットのミサイルで大破させる。そこを、ボムキャットが対艦ミサイルで仕留めた。


First Prev  12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22  Next Last