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月魄供覧

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地下大空洞


 直接キュベレー教団の捜索隊と合流した苺炎・クロイツたちとは違い、独自に遺跡に入った者も多数いた。
 アキラ・セイルーンたちは、主にルシェイメア・フローズンのサイコメトリーによってマイリア・ラディアたちの足取りを追っていた。
「マイリア嬢をさらったのは、レーヴェのようじゃのう。これは、あれじゃ、囚われのお姫様を救い出す白馬の王子様じゃ!!」
 サイコメトリーで周囲の岩壁から読み取った情報でインスピレーションを得たルシェイメア・フローズンが、ドヤ顔で説明する。本来であれば、今回はお留守番と高をくくっていたのだが、なんのことはない、一番働かされている。原因はセレスティア・レインだ。
 セレスティア・レインは、以前、アキラ・セイルーンの遺跡探索につきあった時に、“次の物語の語り部”アリス・ドロワーズの掘削の杖で垂直に地面を掘っていくという荒技に晒され、心底懲りてしまったのだ。今回も、逃げることはできないと分かった途端、ルシェイメア・フローズンを巻き添えにしたのである。
 相変わらず洞窟内で索敵宝珠改を使って、電波の乱反射にセレスティア・レインは頭をかかえた。曲がりくねった岩壁を通り抜けて索敵ができるわけではないので、壁から壁へ乱反射するレーダー波のエコーを拾ってしまい、索敵結果はゴーストだらけだ。全知識を総動員して目視による全方向索敵の結果をメモるセレスティア・レインであった。
 やはり、頼りになるのはルシェイメア・フローズンであった。
 洞窟内を逃げ回っているのであれば、当然ワンダリング化した魔獣たちとの戦闘が発生しているとアキラ・セイルーンは考えていた。きゅるるんの嗅覚を頼りに、魔獣の死体を発見したアキラ・セイルーンは、すぐさまルシェイメア・フローズンに周辺の岩壁などをサイコメトリしてもらったのである。
「とりあえず、俺たち以外にお宝――マイリアさんを捕まえさせないように、道は塞いでいこう」
「分かりました。それじゃ、お願いします」
 アキラ・セイルーンに言われたセレスティア・レインが、自分が乗っているホーリースパイダーと、一緒に来ているスパイダーリッター小隊に、糸を出してくれるようにお願いする。
 アキラ・セイルーンたちの通り過ぎた後の隧道が糸によって塞がれていった。
 他の者の捜索妨害をしつつ、アキラ・セイルーンたちはキュベレー教団の捜索隊よりもかなり早く中央大空洞に到達した。
「ンー、なんだか、アッチの方からお宝の匂いがするヨ……」
 中央大空洞からのびる支洞の一つをさして、アリス・ドロワーズが言った。どうも、貪欲探索と超直感に、ビンビンに感じるものがあるらしい。それ、すなわち、お宝である。遺跡と言えばお宝。たとえ掘り尽くされていてもお宝。なくても出せよお宝。出るまで掘り尽くそうお宝。――なのである。 げに恐ろしきは、人の欲望なのだった。
「おお、そちらの方を探さぬか!?」
 ルシェイメア・フローズンが、目を輝かせてアキラ・セイルーンに言う。
 だが、それを許さないかのように、洞窟内から魔獣たちが集まりだしてきた。どうやら、はしゃぎすぎてしまったようだ。
ぱらだーいす! あんなに新しいペット候補がたくさんいるぞ。全部ゲットだ!」
 アキラ・セイルーンが、目を輝かせながら叫んだ。
「誰が、あんなのの世話をするのじゃ。こやつの世話だけでも大変じゃというのに……」
 そう言って、ルシェイメア・フローズンがチラリときゅるるんの方を見る。
 ついと、きゅるるんが視線を避けた。
「ここは、境屋お手製アニマルフードの出番か!? よし、そこのオルトロス、君に決めた!」
 アキラ・セイルーンが、団子にした境屋お手製アニマルフードをオルトロスにむかって投げつけた。このおいしさに、魔獣もメロメロでアキラ・セイルーンになつくはず――もなく、顔面に団子をぶつけられて怒り狂っている。
「あっ、待って。きゅるるん、説得をお願い」
 話せば分かるとばかりに、アキラ・セイルーンがきゅるるんに説得を頼み込む。だが、いかに人語を解するキュルベロスとは言っても、きゅるるんにもできることとできないことがある。再び、きゅるるんが視線を逸らした。
 迫ってくる魔獣たちにどうしたものかと思っていると、砂原秋良たちが大空洞に到達した。
 そこで見たものは、迫り来る魔獣たちである。
 すぐさま、ヤクモ・ミシバがラディア・SMGのエイムショットで、魔獣を次々に仕留めていく。一気に戦闘態勢に入った砂原秋良たちに巻き込まれる形となって、アキラ・セイルーンたちも魔獣と戦う羽目になる。
「い、遺跡に逃げ込みます!」
 スパイダーリッターの糸によって魔獣の足止めをしてもらいつつ、バリアオーブを展開したセレスティア・レインが、真っ先に遺跡に逃げ込んでいった。
「おい、こら、ずるいぞ」
「何を言っておる、貴様も早く続け!!」
 アキラ・セイルーンを追い立てて、ルシェイメア・フローズンが叫んだ。
「私たちも、遺跡に入りますよ」
 あくまでも、目的地はマイリア・ラディアたちがいると思われる遺跡の中だ。砂原秋良たちも、アキラ・セイルーンたちの後を追って遺跡の中へと飛び込んでいった。
 後を追って中へ入ってこようとするゴーレムを、セレスティア・レインのスパイダーリッターたちが糸で絡める。遺跡の入り口を塞ぐようにして、ゴーレムが動けなくなった。これでしばらくは、魔獣たちとも戦わないですむだろう。
「こほん。とりあえず皆さんに何かあったらいけませんから。大地母神の聖別~♪」
 セレスティア・レインが、私役に立ちますよ、私役に立ちますよ、敵じゃありませんよアピールで、全員に大地母神の聖別をかける。
「誰だ?」
 そこへ、どこからか誰何する声が響いた。
「わしらは、ラディア連合王国の捜索隊じゃ。お宝に興味はあるが、キュベレー教団の捜索隊とは関係ないぞ」
 ルシェイメア・フローズンが、悪びれることなく答える。
「傭兵たちらしい。だが、残念ながらここにはお宝はないぞ。マイリア・ラディアが、俺たちの宝でないのであればな」
 そう言って姿を現したのは、レーヴェ・アバルトだ。すぐそばに、凜とした態度のマイリア・ラディアと、対象的におどおどしたサティンの姿がある。
「元気そうね」
 レーヴェ・アバルトとマイリア・ラディアの姿を認めて、レヴィーア・ファルトナーが言った。
「無事だったんですね。よかった」
 天音雷華も、ほっと胸をなで下ろす。聖女見習いサティンも無事で一緒にいるようだ。
「あなたは、本当にレーヴェ・アバルトなのですか?」
 砂原秋良が、レーヴェ・アバルトに訊ねた。かつて、エーデル・アバルトが、山本大國によってクローンにすり替えられていたということがあった。あの時は、よい方向に転がったものの、いつもそうだとは限らない。
「俺のようないい男が、他のどこにいる」
 レーヴェ・アバルトは、そう苦笑しただけだ。
「そして、あなたは、マイリア・ラディア様なのでしょうか、それとも女騎士の亡霊殿なのでしょうか」
「女騎士の亡霊と名乗っていた時間の記憶は完全ではありませんが、私は、ラディア連合王国第一王女、マイリア・ラディアです」
 確たる態度でマイリア・ラディアが答えた。
「いったい、どうしてこんなことになったのですか?」
 天音雷華が、訊ねた。
「そうね。私たちもそれが知りたい。一緒に戦ったこともある仲間なんだから、内容によってはできるだけ力にはなるわよ」
 レヴィーア・ファルトナーも、レーヴェ・アバルトたちに話をするように促した。
「それを説明するには……とりあえず場所を移しましょう」
 そう言うと、マイリア・ラディアは一同を先導して歩き出した。
 擱坐したゴーレムを破壊しようとしているのだろうか、魔獣のうなり声と、何かを叩くような音が断続的に聞こえてきていた。
 Gハイドが発見された台座に近づくと、マイリア・ラディアは台座を構成している積み上げられた石の一つを奥に押し込んだ。とたんに、台座の一部がへこみ、地下への通路が現れる。
「さあ、中へ」
 マイリア・ラディアが、率先して中へと入っていく。大柄なレーヴェ・アバルトはやや窮屈そうであったが、一同は小さな扉をくぐると、順に下へと降りていった。


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