クリエイティブRPG

ワールドホライゾン

【9周年】新世界創造計画2 ~Civilization~

リアクション公開中!

 153

【9周年】新世界創造計画2 ~Civilization~
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last


【2】国引き―1

 ヴォーパルの首飾り、そのデブリの一つに特異者達が降り立った。
 以前の国引きと同様に、特異者達はアバター毎に別々の領域に飛ばされる。

 青井 竜一リリムローズ・サファイアブレス京・ハワードは障害物の無い、アスファルトの地面が広がる領域に隔離されていた。
 黒い雲が空を覆っていき、やがてN界霊が姿を現す。空飛ぶサメのような姿の界霊、イェルシャウトが数体、鋭い歯を打ち鳴らしながら近づいてくる。
 竜一とリリムローズは視線を合わせ、頷き合う。竜一は制裁剣ディカイオシュネを構え、レイヤーオブアバターズでオーラを纏う。
「ベリアル、レヴィアタン!」
 リリムローズは二体の悪魔を取り込み、その姿を変貌させた。勢いよく敵へ向かっていき、拳を繰り出す。
 完全憑依によって急激に高まった身体能力を生かし、リリムローズは素手で界霊と渡り合う。強烈な拳の一撃がイェルシャウトの横っ面に直撃し、砕け散った牙が宙に散ってきらきらと輝く。
 殴られた衝撃で吹き飛んだイェルシャウトは数度地面を跳ね、しかし致命打には至らなかったようでゆっくりと再浮上する。その背中をディカイオシュネの刃が貫き、イェルシャウトは音もなく消滅した。
 振り返りながら竜一はディカイオシュネを横なぎに振るう。後ろに迫っていたイェルシャウトが刃に切り裂かれ、その身に持つ負のエネルギーは浄化される。
 弱った所へさらに攻撃を畳みかけ、逃がさずとどめを刺す。気を抜かずに敵の姿を探して周囲を見回せば、リリムローズが複数の敵に囲まれていた。
「地獄の炎よ!」
 リリムローズの身体が燃え盛る硫黄に包まれる。炎はリリムローズを焼くことは無く、周囲のイェルシャウトだけをその熱で焦がしていく。
 炎に怯んだイェルシャウトへ腕を突き出し、鋭い掌底をお見舞いする。別の個体が腕に噛みついてくるが、硬質な殻と化したデモンメイルがその牙を弾く。
 イェルシャウト達を払いのけ、リリムローズは後退する。追い縋ってくるイェルシャウト達の前に竜一が飛び出し、大きく武器を振りかぶった。大口を開いて噛みつこうとするイェルシャウトらへフルフローリッシュを放ち、ディカイオシュネで纏めて薙ぎ払う。

「最後の一体……これでっ!」
 京はジャスティシアブレイド・虹を振り下ろす。光の刃が最後のイェルシャウトを切断し、消滅させる。
 ほんの数秒だけ、辺りは静けさを取り戻した。しかしすぐにまた別の界霊が姿を現す。今度は見上げる程の人型の巨体、レイジリレイジだ。
「大物が来たのう! 動きを止めるのは任せるのじゃ!」
 リリムローズが手を掲げると、地面から空中から黒い錨が出現しレイジリレイジの両腕両足を絡め取った。上空の暗雲が裂け、隙間から光が降り注ぐ。浄化の光に照らされたレイジリレイジは地を這うような咆哮を上げ錨を振りほどこうと暴れ始める。
 京は魔力で肉体を強化し、徐々に速度を上げながらレイジリレイジに迫る。接近中も剣を振るい、光弾を発射して少しでもダメージを与える。距離を詰め切ると敵の脚を斬りつけ、勢いそのままにその脇を駆け抜ける。急カーブして敵の死角へ回り込んだり、その巨体を壁代わりに蹴って走破し、次々と傷をつけていく。
 駆け抜けながら、京はインフィニットオーバードライブで戦闘力を爆発的に高め、フルスロットル状態に。ジャスティシアブレイド・虹の刃を最大出力で展開し、超巨大な刃を横なぎに振るう。
「切り札は、ここぞという所で使わないとね!」
 竜一がアバターズレイを放ち、強力な光線でレイジリレイジの脚を撃ち抜く。片足に風穴の空いたレイジリレイジが頽れ、片膝をついたその無防備な動態に京の断罪斬・零が直撃した。巨大な光刃が胴体を真っ二つに切断する。切り離された上半身が地面に落ちるより早く、レイジリレイジの全身は光の粒子となって消えていった。
 
 
 
「行くよ、ラヴィアンネージュ」
 サキス・クレアシオンが愛機と共に空を駆ける。辺りは一面の海。その中にぽつんと一隻、N界霊の戦艦が浮かんでいた。
 敵戦艦から飛び立ったIFらしきモノがサキスに迫っている。サキスはリンケージで自身のリミッターを解除し、IFとの同調率を上昇させる。自分の身体を動かすような感覚で機体を操り、敵の放つ銃弾を避けながら接近。プラズマブレードによるソードフリップで脇をすり抜けざまに敵機を斬り捨てる。
 即座にリンケージをオフにし、機体を戦闘機形態に変形。敵艦や他の敵機から距離を取り、再び人型形態へ変更。アサルトライフルで牽制射撃を行う。
 負担の大きいリンケージは連続使用ができない。暫く牽制射撃を行ってインターバルを取り、十分に休んだところで再びリンケージを使用。相手の攻撃をかわしながら休息で接近し、二体の敵を続けて斬り捨てる。
 倒してもすぐに別の機体が敵艦から飛び立ち、銃口を向けてくる。飛び立ったばかりの一機が砲弾に撃ち抜かれた。砲撃の主はライオネル・バンダービルトだ。
 十字架型の外装が展開し、砲撃で高熱になった砲身を冷却している。冷却を終えると再び砲撃準備に入り、敵機へ狙いを定める。優先的に狙うのは味方を取り囲もうとする、もしくは死角へ回り込もうとする動きを見せている敵だ。
 強力な砲撃は直撃した機体に大きな風穴を開ける。砲弾にはフリージングで冷気を纏わせてあった。界霊の一部とは言え、普通の機体に効果がある攻撃は通用するようだ。仮に砲弾が直撃しなくとも、掠れば冷気によってその動きは鈍っていた。
 連射の効く武器ではないので追撃はできないが、弱らせた敵は味方がきっちりとトドメを刺してくれている。ライオネルは追撃を味方に任せ、援護に徹した。砲身の冷却が済むとすぐに次の砲撃を行う。
 エナジーウィング+で斜線を確保しつつ砲撃を行っていると、砲撃のインターバルを読んだ敵が一機、真っすぐに向かってきた。砲身の冷却が間に合わないと判断し、ライオネルは急加速して接近、ラッシュアンドバーストで敵を迎撃する。
 相手のブースターや駆動系を破壊して機動力を削ぎ、さらに追撃を入れて機体の各部位を破壊していく。
 墜落していった敵機へは目もくれず、周囲に視線を向けて他に敵が迫っていないことを確認し、大砲を構えて冷却終了を待つ。その脇を焔生 セナリアが乗るアバランチが駆け抜けていく。
 セナリアはスラスターの推力・向きをコントロールし、敵機からの攻撃を急激な減速や方向転換を交える事で移動しながら回避。そのまま距離を詰めていきPLB:ブルーダイヤモンドですれ違いざまに機体側面を斬りつける。
 すぐに反転してもう一度斬りかかり、相手を撃破。落ちていく機体とすれ違うように直進し、銃口をこちらに向けている別の敵機を狙う。
 アサルトライフルで牽制しつつ距離を詰め、至近距離まで来た所へシャドウランナウェイで相手の死角へ回り込もうと試みる。
 だが、相手の性能が思っていたよりも高かったようだ。即座に反応され、逆に自分が隙を突かれることになった。
「ぐっ……!」
 機体に衝撃が走る。弾丸を撃ち込まれた片腕が機能を停止し、スラスターの一部が出力低下している。
 敵はトドメを刺そうと剣を抜き、アバランチへ飛び掛かる。だが刃が届くよりも先に横合いから砲撃を受け、機体はばらばらに砕け散った。ライオネルの援護射撃だ。
 セナリアは機体の損傷を確認する。片腕はどうにもならないが、スラスターの損傷は多少速度が落ちる程度だ。
「せめて、あれを倒すまでは……」
 視線を向けた先には、界霊戦艦の姿がある。その甲板上にはもう機体は残っていない。
 飛び立った最後の機体は、サキスが今相手をしていた。セナリアはアバランチの無事な片腕を使い、アサルトライフルを構えて援護射撃を行う。

 サキスは最後の敵機を倒し、敵戦艦へと向かう。艦砲による攻撃を警戒するが、その砲塔は既にライオネルの砲撃によって破壊されていた。
 すぐに敵艦へ乗り込み、要所を回って破壊していく。界霊戦艦は大量の煙を噴き上げながら沈み始め、そして沈み切る前に光となって消滅していった。
 
 一体倒しても、戦いは終わりではない。N界霊は土地の性質が確定するまで、何体でも現れ続ける。
 新たに現れた界霊を前に、特異者達は武器を構えなおす。

First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last