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【9周年】新世界創造計画2 ~Civilization~

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【9周年】新世界創造計画2 ~Civilization~
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【創り育て進む3】


 多くの自然があり、空には虹。水源や湖など様々な景色を見ることが出来る霊峰・三千岳。自然の中を歩きながら土地の確認をしていたのは小山田 小太郎達だった。
 これからこの場所を発展させる、文明を築くためにはどういった場所にどういったものを建てればよいのかを考えていた。
「丁度良い場所、というのは難しいですね」
 世界眼を用いて建築をするために丁度良いところを探しているのだが、見付けるのは難しい。
「荘厳な空気に、肌で感じる加護……そこは、似ている気がするわ」
 八葉 蓮花が周囲を見ながらそう言う。
「……この辺りは中腹辺り」
 八代 優が歩いてきたルートを確認していた。彼女が言う通り3人が見回ってやってきたのは頂上ではなく、三千岳の中腹辺りだった。
「確か向こうに湖が――」
 小太郎はここまで見てきたものを思い出しながら確認をする。
「この辺りであれば小川が流れています。そうですね……ここにしようと思います」
 小太郎がそう言うと蓮花と優も頷いた。
 ここまで三千岳を上まで登りつつ、どこに建てたらよいのかを考えていた。実際は頂上近くに建てることも考えたのだが――ヒトや動物などが生活出来る場所を選んだ。
 こうして彼らが作り始めたのは和洋折衷の建物。小太郎に馴染みのある和風の建物で、寺の様相を持つ建築物になっていた。
 調和が取れ、この土地に馴染むよう街の中心となるようなものに。
 しかし、この建築をするためにはしなくてはいけないことがもう1つある。それは試練とも呼べる物。
「……小太郎」
「ある意味ここからが本番ね」
「――始めましょう」
 こちらへと近づいてくる何かの姿。その何かとは界霊であり、3人がこの場所に文明を築くのが相応しいのかどうかを試すよう戦闘になる。
 遠距離から建物を視認したのか界霊は近づく前から攻撃を仕掛けてくる。数は3体。数の不利はない。
「文明を壊させるわけにはいきません」
 世界眼で界霊が近付いてくるのを知っていた小太郎はすでにアバターオートノマスで生み出した益荒男と共に、建物や蓮花と優を守るように防ぐ。
「……行こう、蓮花。……神木の音色と神速の一刀にて、文明築く活路を拓く」
「ええ、いつも通り……力を合わせましょう、優」
 優の聖麗笛に憑依をした蓮花は界霊達の弱点が何処なのかを探し始める。そして、それが分かるまでは優が聖麗笛の音色を奏でていく。
 その音色は穢れを払い周囲を浄化していく。そして、蓮花が憑依していることで周囲を眠らせる事も可能だ。しかし、界霊は簡単に眠るような相手ではない。それでも、動きを鈍らせることが出来れば攻撃のチャンスは出てくるはずだ。
「基本的に生物を無力化出来る場所――関節ね。大きなダメージを与えられれば止められるわ」
「……分かった」
 蓮花の指示を受けてどこを攻撃すればよいのかが分かり、後はどう動いて界霊に攻撃をするかだ。未だに動きが鈍る様子はなく、小太郎が防戦一方の状態。
 閃光キラーチューンを奏で始め全員の戦闘意欲を高める。こうする事で更に戦闘に集中が出来るようになるだろう。そして、聖麗笛の効果が出始める。
「今よ」
「……うん」
 優は蓮花の制裁剣ディカイオシュネを抜くと、霊力を借り受け身体能力を急上昇させた。その加速力で界霊達へと近づくと、1体は腕の関節、もう2体は膝裏を切り裂いた。
 防御結界によってダメージを軽減させることが出来ていたため、ここまで走る抜けることが可能であり、その後ろから追従していたのは、先程まで周囲を守り続けていた小太郎だった。
「ここで築かれる文明によき未来を」
 身体強化された小太郎から放たれる滅竜撃は界霊の体を貫き倒す。
 3人の連携によって界霊の撃破に成功し、この場所を守りきったのであった。

 広い草原を見渡し都市計画を考えていたのはルキナ・クレマティス。この辺りに地球で言うと“中世ヨーロッパ風”の巨大都市を作ろうと考えていたのだ。
 現在はアルテラや大和の影響を強く受けているが、いつかは他の世界の技術研究も行われる事を見越している。
「この辺りがちょうどいいかな?」
 広い草原に都市の端には少しだけ森が掛かる。中心は建物が多くなりながら、郊外は自然が残す都市になるだろう。
「なるほど、こういう事か」
 襲い掛かろうとしている界霊を見ると、武器を取り出す。
「試練といったところか。ならば受けてたとう!」
 ファンタジアを展開し、何の障害物もない草原が周囲に広がる。そして、通常よりも効果範囲が広がっているその世界で巨大な竜にルキナはまたがる。
「界霊よ。ここに生まれる新たな都市、認めて貰うぞ」
 範囲外に出られてしまっては効果がなくなってしまうため、一定の距離を保ったまま断罪の雷霆で攻撃をしていく。相手からの攻撃も来るが、竜を操りそれを防ぎながら攻撃を続けてダメージを蓄積させていった。
 魔力を上昇させた強力な雷は、凄まじい威力であり界霊も何度も食らってしまえば一溜りもない。敵は強いがルキナも引くわけにはいかない。
 戦闘の末界霊を撃破すると、一息入れて再度都市開発を再開するのであった。

 梅の木が多数生えている文字通りの梅林。春の訪れを早く感じることが出来ることから“春ノ訪”と呼ばれている場所だ。
 そこでは成神月 鈴奈が茶室を作っていた。
 風情のある梅林で、心を落ち着かせる――侘び寂びの心の感じられる場所を。
 しかし、そこを邪魔してきた界霊の相手をしなければならず、結界符を使った跳返の印を使い敵の攻撃を跳ね返していた。
「邪魔をするのであれば、相手をします」
 界霊からの攻撃は跳返の印と蜜捌流守の型・水纏を使うことで、物理攻撃と霊力空の攻撃どちらも対応をしておきダメージを軽減していく。
 反射によって攻撃を逆に与えることも可能だが、それが致命的なダメージになる事はない。
「来てください」
 鈴奈は水龍を召喚すると界霊を攻撃してくれる。碧水干によって威力を増した水龍の攻撃は更に強力になっていた。それに加えて敵の霊力を乱して攻撃して回避する隙を与えない。
 ある程度のダメージは受けたものの、1人でどうにかなった。消耗は激しくないため、作業を続けることは出来るだろう。
「ありがとうございました」
 鈴奈は水龍にお礼を言うと茶室を作る続きへと戻った。

 星月郷。三方を小山に囲まれた盆地であり、平野部には河川が横切っている。自然豊かなこの地では――。
「正面から3体。その右方向からも敵が来ています」
 仲間達の戦闘指揮を行っているのは邑垣 舞花。この土地に現れた界霊を仲間達と一緒に戦っている。
「正面はわたくしが」
「なら距離の遠い右側は俺が相手をします」
 Wエビルブレイカーを構えたSAL0071203#エリシア・ボック}が接近し続けている3体の界霊目掛けて突撃をしていく。そして、右側の相手を小型飛空艇ヴォルケーノに乗り、試作型対像ライフルで狙う影野 陽太が答えた。
「おねーちゃんにはわたしが付いていくよ!」
 遠距離戦よりも近接戦闘の方が危険があるため、回復役であるノーン・スカイフラワーが救済剣ギリーセイバーを持ってついていった。
「1体1体は1人で対処出来る強さですが……数が少し多いですね」
 すでに4人で連携をして界霊を1体倒しており、どのくらいの強さなのかは把握しているが、襲い掛かってくるのは現在5体。
 陽太がライフルで足止めをしつつ、近接戦闘を行うエリシア。ノーンがその回復役として少し後ろからサポートをしている形となっている。
「陽太様、ある程度足止めが出来たならエリシア様とノーン様の方へ」
「分かりました、任せてください」
 通信機から聞こえる舞花の声に答えると陽太は牽制をしつつ、相手の出方を確認する。
 先程までエリシアとノーンの方へと向かおうとしていたようだが、彼の攻撃を嫌がり思い切って動くのをやめたように思える。
「これなら……!」
 一発ライフルを右側へと撃ち、攻撃をするぞという意志を見せつけてからエリシアから離れた界霊を撃ち抜き、ダメージを与えた。
「良いタイミングですわ」
 その隙を突いてエリシアが七極撃で一気に攻め込み撃破する。そして、続けてもう1体も同じようにして倒すことに成功した。
「集まり始めました。こちらも一気に決めましょう」
 界霊達が距離を取り合流するのを確認する。バラバラに動くよりも一気に攻め込んだ方がこちらへと攻め込めると考えたのかは分からない。
 相手が合流したのであれば、攻撃する方向が同じになるのである意味都合が良いと舞花も考えた。
「ノーン様、まだ力は残していますか?」
「うんうん、だいじょーぶ! いつでもいけるよー!」
「陽太様は奥をお願いします」
「任せてください」
「エリシア様はそのまま一番近い界霊の相手を」
「ええ、任せておいてくださいまし」
 そして舞花の合図と同時に攻撃開始となる。
 界霊もこちらの動きに気付いたのか、エリシアの方へと近づいてくる者と遠距離から攻撃をしてくる前衛後衛として別れた。
 後方から援護をされないように陽太が邪魔をし続け、エリシアは盾を使ったアームディフェンスで防ぎつつ確実に削っていく。
「陽太、いきますわよ」
「はい!」
 エリシアが相手をしていた界霊へと2人はキズナアタックSPを放つ。これまでダメージを受けていた界霊は吹き飛び、後方にいる者とぶつかってしまう。
「これで終わりだよ!」
 隙が出来たところで残しておいた力を使いアバターズレイをノーンが放ち界霊を撃破。
 残りの界霊も舞花の指揮の元、4人で撃破をし星月郷には静けさを取り戻した。
 4人は一息つくと、この盆地にどういった街があればよいのかを話し始める。
 自然が多く肥沃な土地もあるこの場所には農業などが出来るのどかな場所にするのがよいのではないかという話になった。
「こういう土地なら日較差や年較差も大きいですよね」
「稲作や……果物が良く育つかもしれませんね」
「果物からお菓子とか出来るかな?」
「そうですわね。果物そのままの甘さを使ったものなどが出来るかもしれませんわ」
 そんな話を聞いてノーンは無邪気に踊りながら喜びを表現している。彼女を見ながら3人は楽しそうに笑いあった。
 4人は土地を歩きながら今回建築する事にした建物の場所などを決めながら、どのくらいの規模にするのかも考えた。
 広いものではないが、ここから住み始めた人達が発展させていってくれるだろうという願いを込める4人。
「どういった人達が住むのかな?」
 今後星月郷がどうなっていくのかノーンは楽しみにしているようだ。
「そうですね、いつか落ち着けば俺も――」
 陽太はこの場所が整ったのであればいつか恋人と一緒に訪れたいと考えている。
「きっと大丈夫ですわ」
「そうですね。しっかり歩んでいってくれることを信じています」
 舞花とエリシアもまた星月郷が発展していくことを祈るのであった。

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