■プロローグ■
「セイタカルミダチソウ……侵略的外来種とはよく言ったものだ」
マンフレッドは生命の種子から生まれた生物に紛れ、数を増やしていく奇怪な植物に顔を歪めた。
「花粉には負のエネルギーがあるものの、あれ自体に強い悪意があるわけではない。
ただ本能のままにはしゃいでいるだけだろう」
木戸 浩之はタブレットPCを開き、近縁種とされるルミマルのデータを表示した。
本来ルミマルは三千界には存在しない、別次元の存在だ。
現在、ホライゾンには三千界中から様々な想いや力が流れ込んでいる。
「こちらの三千界には本来存在しないもの。
ゲートを通じて流れて来たのだろうが、“別の三千界”の存在である以上、そう易々とは超えられない。
鍵守の力が正常に機能しているのであればな」
「ヴォーパルさんのホライゾンを支える力が少し安定したとはいえ、異物を阻むフィルターはまだ弱っている、ということか」
木戸の言葉に、マンフレッドが頷く。
「異次元からやって来た“悪意”の最たるものはギャラルホルンだが、負の想念に紛れて他にも紛れ込んだものが少なからずあるだろう。
ヴォーパルの首飾りのデブリや界霊のエネルギーは中和されているが、それでも負のエネルギーが完全になくなっているわけではない」
「……今回のはまだマシな方で、これから先もホライゾンの新生を妨害してくるものが現れる可能性は高いわけか」
ホライゾンの新生は順調に進みつつあるが、一方でそれに抵抗・反発する因子もまた活性化しつつある。
そうマンフレッドと木戸は判断していた。
「文明化。それは世界の発展と生物の進化を促しつつ、それに備えさせるという目的もあるわけか」
「ああ。新たなホライゾン自体が、滅んだ世界の無念と三千界に溢れる悪意に打ち勝たなければならない。
まずはこれを乗り切らないとな」
■目次■
プロローグ・目次
【1】創り育て進む1
【1】創り育て進む2
【1】創り育て進む3
【1】創り育て進む4
【2】国引き1
【2】国引き2
【3】種子からの試練1
【3】種子からの試練2
【3】種子からの試練3
【3】種子からの試練4
【4】ルミダチソウとライブ その1
【4】ルミダチソウとライブ その1
【4】新たな命
【4】ルミダチソウと遊び相手
エピローグ