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≪セレクター編≫新たなる絶望

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≪セレクター編≫新たなる絶望
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・劈く刃の証

 亡霊兵は城壁から未だに吐き出され続けている。
 それを見据えた綾瀬 智也は「インビジブルクロー【GC:鋼線】」を錬成しつつ、敵集団の先頭へと突っ込んでいた。
「ピースガード【アレクサンダーガード】」を風に翻し、瞬発力で攻撃を掻い潜りながら武装を振り回す。
 それは極細でありながら破壊力を有し、亡霊兵を纏めて切り刻んでいく。
 回転斬りに近い横薙ぎと周囲への範囲攻撃、爪で切り裂くように亡霊兵の密集陣形で青く染まった大地を切り開いていく。
 その様は、勇猛果敢な剣の切っ先にも似て――。
「やるからには手を抜くつもりはないですからね。掛かってくるとよろしい。纏めて最多撃破を目指しましょう。この場合、必要になってくるのは時間単位での殲滅力と継続戦力、どちらも可能なのでその方向で行きましょう」
 朝霧 垂は「聖鎚ローレライ」の効力を発揮させ、智也の突破力を強化させていく。
 互いに間隔を空けて亡霊兵と向かい合い、それぞれの獲物を捉えて広範囲に攻撃していく。
 垂は「ソル・イグニス」の「【コネクトスピリット】」で精霊の加護を得て「闘気」で身体能力を向上させる。
「精霊剣・火」に灼熱を充填させ、炎を操り広範囲攻撃で亡霊兵を焼き尽くす。
「本丸を目指す仲間たちが安全に乗り込めるように、安定した道を作らないとな」
 炎の二重奏を掲げて先ほどの砲撃網を無駄にしない。
「せっかく砲撃で真ん中に風穴空けてくれたんだ。それをもっと太くしていくぜ」
 熱波を超えてきた亡霊兵を炎を纏った「聖鎚ローレライ」で殴りつける。
「マキアスガントレット」で筋力を底上げさせた膂力で振るう聖鎚の威力は亡霊兵を存在ごと掻き消していく。
 智也はマナ吸収や重力異常で対応しつつ、亡霊兵に鋼線を括りつけ、引き寄せて盾とする。
 相手の刃が盾にした亡霊兵を切り裂き、そのまま突き飛ばしたところを垂が粉砕する。
「長期戦になるな。サカイヤチョコレートで適時回復。まだまだ物理でぶん殴って行くぜ、智也」
「ええ。目指すは最多撃破。しかし、この軍勢は……」
 濁した智也の眼前で亡霊兵が波打ち、強化個体へと集合していく。
「ならばこれで。戦い抜くまでです」
 実行したのは「錬成【斬糸】」――編み出した鋼線が強化個体に巻き付き、僅かに鈍らせる。
 それは数秒程度でしかないが、それでも明暗を分けるのには充分だ。
 無数の鋼線の斬撃が浴びせかけられ、強化個体に亀裂が走る。
 衝撃の嚆矢を見逃さず、垂の一打が打ち砕く。
「強化個体って言ったって、要は寄せ集めだぜ!」
 葵 司は亡霊兵の軍勢を眺め、なるほど、と声にしていた。
「実のところ亡霊兵ってやつのことはよく知らねぇし開けた戦場ってのも不安はある。けど、それで踏みとどまってちゃ結局何もできやしねぇ。せっかく未来を繋いだ世界が滅ぼされるのを指くわえてみてるだけ、なんてわけにはいかない。俺でもやれることがあるなら働かなきゃ、な」
「操風のペンダント」によって風を味方に付け、「陸/相殺砲撃」で敵の応戦を防ぎ、「【超陸】メイフライキャノン」を強化個体に撃ち込む。
 無論、その程度では止まってはくれないだろうが――それでもしめたもの。
 凍ったのを視認して「超陸/超重力霊弾」を撃ち込む。
 敵の足元が揺らいだのを確認し、司は叫ぶ。
「あとはもうパンツァー・フォー! 気持ちで負けるな! 勝てるもんも勝てなくなるぞ!」
「【陸】焼夷弾」で炎を纏いつかせ、ノーネーム・ノーフェイスはその敵影を見据える。
 超海/プリンツ・オイゲン海/戦艦“榛名”が「海/ラピッドファイア」と主砲で敵を近づかせない。
「【海】三式通常弾」の砲撃が亡霊兵たちに突き刺さる。
「クールアシスト」で状況を見極め、それぞれの攻撃タイミングをはかる。
 陸/一式砲戦車の砲撃が強化個体へと撃ち込まれる。
 青井 竜一は制空権を取って空から制圧にかかっていた。
「亡霊兵には亡霊兵を、だ。来たれ、我が軍勢!」
 領地である「〈5〉洛陽東部域「青龍」城下【【領地:100人】城下町】」を展開し、「【触媒:1倍】青なる聖銃【【触媒:1倍】種子島】」、「【触媒:2倍】天使兵の像」、「【触媒:1倍】王者の器」、「【触媒:1倍】人徳」――それらの結末は天使兵500人の召喚――。
「竜馬ラムレイ『零(ゼロ)皇』【ラムレイ】」に騎乗し、天使兵の像の力で飛翔する。
「一撃で壁を壊し切れなくとも、壁を脆くすることはできる」
 上空から戦場を見据えた竜一は天使兵と共に「雷計」で雷の魔法攻撃が戦域を奔る。
 その中で強化亡霊兵を視野に入れていた。
「あれは厄介だな」
 攻城兵器の威力を誇る武装の銃口を向け、そのままトリガーを絞る。
 敵の攻勢を「アバターズバリア」で防衛し、敵の亡霊兵の軍勢を観察する。
「どんな風に動こうとしても、上から見れば丸分かり……か」
 再び稲光が生じ、亡霊兵を着実に減らしていく。
 戒・クレイルは「Bライガー【ブロックライガー】」の跳躍力で地形を制し、「二刃刀「吉光藤四郎」を触媒にして「ライトブレード」を展開していた。
「決めさせてもらいます。この一撃で……!」
「アストライアディシスS」の一振りは聖なる光を纏い、地形もろとも亡霊兵を薙ぎ払っていく。
 AHI RUは戒の補佐に当たっており、「グラスプレイ【グラスプレイ】」で周囲の地形や味方の位置を把握する。
「戦術予報はRWOの軍師、天才軍師の策を破って見せるわ」
「【テク】マルチタスク」の情報処理能力と判断力を行いつつ、「エルダーアーマー【ルナ】」の障壁で戒の防御は怠らない。
 亡霊兵が寄り集まり、強化個体を成していく。
 それを目にして「大英雄のマント」を翻し、「【ジョブ】アフターブレイブ」によって攻撃力を跳ね上げる。
 AHI RUは「【ジョブ】戦術予報士」を発揮し、声を発していた。
「マスター、兵を集約しても魔法攻撃主体は変わらないはずよ。障壁での防御も交え、サイコジャマーで魔法攻撃を奪うように試みてみるわ」
「全能のモノクル」を用いて感覚を研ぎ澄まし、巨大な光の刃を構築する。
「このまま……確実な一手を講じます!」
 防御貫通の秘技、「アフターブレイブブレイク」――剣圧を帯びた一閃が叩き込まれ、強化亡霊兵を打ち崩す。
 そのまま広範囲の薙ぎ払い攻撃を見舞い、亡霊兵を駆逐していく。
「官兵衛は守りに自信があるはず。強化個体を倒すことで精神ダメージを与えていきたいですね……」
 谷村 ハルキは「召現の楯」を発動し、そのまま「城塞嶄刃」の体勢に映っていた。
 谷村 春香秋光 紫を守る盾の防御陣はしかし自身の硬直を生む。
「僕は動けないから、頼んだよ。春香、紫さん」
「引き受けた! あたしはどんどん範囲火力で戦っていくよ!」
「向こうにも相応の事情があるのかもしれないけれど、三千界に仇なすのであれば止めざるを得ないわ。わたしの故郷・極光帝国も、極光帝国が迷惑をかけてしまったユーラメリカや天儀球も三千界の一部だもの」
「ラベンダーワンド【識者の短杖】」で「レンジヒール」を展開し、持続回復を行う。
 春香は「オーラブースト」を発現させ、「フェノメナキネシス」による炎と風の複合魔法が迸り、広範囲を焼き払っていた。
 近接に打って出た亡霊兵へとすかさず「サイコソード・テレポートリープ」による精神エネルギーの瀑布を放出、反動を利用しての瞬間加速を引き起こし、凝縮した刃で四連撃を、それぞれ別方向に対して叩き込む。
 敵が統合された強化亡霊兵に対して、春香は「PDBブラスター」の熱戦をぶつけていた。
 灼熱に呻く強化亡霊兵へと再び刃の四連撃が咲き、「ふらいと☆リュック【ジェットパック】」のジェット噴射で突撃する。
 突き刺さった基点から切り裂いたところを、紫の「アトラクト」で回収されていた。
 リュナ・ルキュルは「ハヴァマール」で自身を強化し「ユグドラシルエッセンス」によって魔力消費を留めた「ラグナロクブレイク」で敵兵を吹き飛ばす。
 光の刃が煌めき、ピンポイント破砕で相手の門を打ち砕く。
「防衛網は城の外周以外に、本丸までの道のりまでも広がっているはず。関所も外の門だけとは限りませんし。こちらから攻勢範囲を広げることで、相手のペースを崩しましょう。それに……城の外周にせよ、内部にせよ、亡霊兵を減らす必要があるのは変わりませんしね」
「大盾のルーン」による防衛網の拡大。「白竜『アルウロス』【グランブルヴァイス】」に騎乗し、進行ルートの確保に努める。
 シーナ・ロンベルクは「機装:テクノブレード」を握り締め、亡霊兵を見据える。
「これが黒田官兵衛の全力……統合機関と組むのは複雑な気分ですが、戦力としては頼りになります。少しでも多く亡霊兵を消し飛ばして、本体の官兵衛を乱しておきたいですし」
「機導式【強靭Ⅰ】」で駆け抜けて亡霊兵への斬撃、返す刀を相手へと突き刺す。
「官兵衛はここを落とすためにかなりの兵力をつぎ込んだのでしょうがそうは問屋が卸しませんよ」
 亡霊兵の反撃を回避し、リュナと共に敵勢を減らしていく。
「幾度三千界を巡ろうと困った時は助け合い。でしょう」
 風間 瑛心が駆け抜け「トライアルアーツ」からの「AAガントレット」による殴打で亡霊兵を薙ぎ倒し、至近距離では「ボルトグローブ」の高圧電流で沈黙させる。
「スチームアーマーE型【スチームアーマーE型】」を装備した成神月 鈴奈が「The・StarBreaker【GC:ギア・ライトカノン】」の光条を放っていた。
 後方支援に徹した鈴奈は敵の強化亡霊兵へと「【星者の義眼】」でマナの感傷精度を高め、その腹腔へと照射する。
 相手の回避行動に「【方向転換】」で即座に対応、そのまま足元を凍結させる。
「【ギアストーン:ブリザード】」と「【スロウ】」による凍結と遅延効果で追撃のチャンスを作り出していた。
「目標了解、このまま次手に移ります」
「【オートガード】」の自律防御を挟みつつ、次の狙撃ポイントへと移動していく。
「黒漆の霊篭手」で霊力を高め、敵影を見据えた西村 瑠莉は、「深淵流序ノ型・影纏・改」を使って影による大弓と大矢を形成していた。
 影を用いてのそのサイズの弓に矢を番え、砲撃の威力で速射する。
「砕け得ぬメイドの心得を胸に、揺らぎ得ぬメイドの信念を貫く。メイドたる者如何なる時も、優雅で華麗に美しく、強く気高く瀟洒であれ。一流のメイドの中でもさらに一流、主を護る盾にして外敵を打ち滅ぼす剣。目指すはオールワークスメイドの中でも“アナザーワン”に位置するメイド。別のクラスと一線を画する任務を持った、文字通りの“別の一つ”を意味する特別階級」
 余った影を解体し、鞭のように長くしなる鋸状の刃を持つ影の獣爪とし、そのまま両腕に纏わせる。
「転瞬走」で一気に距離を詰め振るい、纏めて亡霊兵を削り取っていく。
「天蜘蛛【リープシューズ】」による効力で空中を走り、突き刺さった影の矢を目印にしての「影遁」で瞬間移動を行う。
 奇襲攻撃は成功し、亡霊兵のど真ん中に飛び込んだ瑠莉は影の直剣を生み出し、影の糸で繋げ自分の周囲に展開する。
「新月正宗」を抜刀して敵を斬り払いざまに回復し、「幽世眼」で霊力の流れを見極め、死角から来る敵や遠距離攻撃を狙う敵へと影の剣を投擲射出していく。
 そのまま斬り払いつつ、「【神格】カヴァーチャ」による防御性能と影の力で敵影に対処する。
 霊力を高め、刃に纏わせる形で顕現させた影の太刀を振るい上げ、そのまま膂力で敵を薙ぎ払う。
 大勢が外部の戦闘に目が行く中でデュオ・フォーリーは城門突破に供えていた。
「瘴流拳」による索敵能力を維持し、「【クリスタルオーバークロック】」と「イーグリット装甲」で堅牢さを誇る。
 屋内に位置する亡霊兵を突きで対応しつつ、「鍵守の守護刀」が淡く輝き、亡霊兵を払っていく。
 強化亡霊兵が屹立する中で「ロイヤルサンクション」の光輪で縛り、その隙に城門へと至って「破壊工作」の爆破セットを準備していた。
「これで少しは本丸への潜入がマシになるでしょう」
 ディール・アルバトロスは「超空/アローフラッシュ」によって先陣を切り、「超空/トリヴィアルダメージ」で被弾時のダメージを軽減する。
 超空/Bf109超空/スピッドファイア超空/Pe-2がそれぞれ機関砲を奔らせ、速度を引き上げていく。
「さぁ皆行くわよ! 私たちの力、魅せてあげるわ!」
 上空からの射撃網が亡霊兵を削ってゆく。
 砂原 秋良は「完全憑依Ⅲ」にて「業魔【レヴィアタン】」と「終魔【レヴィアタン】」を憑依させ、「【神格】カヴァーチャ」による防御も得ていた。
「ブレイドダンス」の戦闘術で亡霊兵を薙ぎ払いつつ、「真ノ無拍子」による身体能力で回避する。
「アシュトレト」による衝撃吸収で継続戦闘にも支障はない。
「できる限り撃破することで後が楽になるはずですから、できる限りのことをやりますよ」
「……とりあえず、この大量の亡霊兵をどうにかしないといけないんだろ……? ならとりあえず、やれるだけ削っていこうか」
 天津 恭司は「ゾディアックウェイカー【ゾディアックウェイカー】」によって偉能力を効率化し、「【栄具】欲深き捕食者」の力を解放させ敵から体力と魔力を奪える準備を施す。
 そのまま敵陣へと突っ込み、「血雨の舞踏術」を駆使した「ライスオアトゥルース」を振り払い、亡霊兵を蹴散らしていく。
 強化亡霊兵に対しては「カルキノスの鋏」によって動きを縫い止め、その隙を突いて一気に攻勢に打って出ていた。
「【栄具】執念の蟹」に偉能力を込めて蟹へと変化し、泡をばら撒いて敵勢の動きを鈍らせていく。
「いっぱい亡霊兵さんがいるんだねっ! これ皆お菓子にしたらとっても美味しいかなっ?」
 フィア・ヒーターは「【レイス】天上人・改」と「【レイス】セレスティア」で四枚羽を得て飛翔し、急降下突撃で「制奢の聖剣S」による「ブレイドダンス」の鋭い一撃を見舞う。
 空中を踊るかのように敵へとヒット&アウェイで斬りつけつつ、亡霊兵の集団を認めたフィアは「キャンディスプラッシュ」で敵兵を丸いキャンディに変貌させていた。
 同じ味のキャンディが並ぶことで破裂してキャンディが爆散し砕け散っていく。
 亡霊兵の反撃は「チャンプムーブ」で回避し、フィアは恭司と共に強化亡霊兵へと対峙し、剣の能力を解放させ相手を黄金にさせる。
 そのまま黄金のキャンディと化した相手を恭司がトドメを刺して行った。
 行坂 貫は敵勢を見据えて「蘇芳の布帛【アトリビュート・D】」によってサポメンを呼び出す。
 一人には「ヴィシャップ」を持たせ、「怒髪天を衝くラーガ」を発揮し、金色のオーラと共に敵陣に突っ込む。
「ふむ、これまでの経緯はよく分からんが、露払いくらいなら俺にもできるだろう。道を開かせてもらうぞ」
 もう一人のサポメンには「ヴリトラハン」を持たせ、「【八感学】専攻「喜び(興奮)」を使用できるように傍に置く。
 一体目が敵に突っ込んでいる間の時間を「ガラテア・イミテーション」で準備しておく。
 距離を感覚し、「オルトポテンシャル」によってサポメンとの連携を高め、敵の包囲陣に対し、熱戦を掃射する。
 足止めされた亡霊兵が集合し、強化亡霊兵と成ったのを目の当たりにして、貫はサポメンを巨大化させていた。
「怒髪天を衝くラーガ」の威容を誇り、金色の輝きを帯びて特攻させていく。
「射手座の十二星華、ミューレリア参上だぜ!」
 そう声を響かせて戦場に降り立ったミューレリア・ラングウェイは「星魔弓パビルサグ」を構え、「【連携】ブライトマリアージュ」と共に分裂し、亡霊兵を射抜いていく。
 射撃スキルの「オールスナイプ」で複数の敵の急所を狙い澄まし、敵勢を退けていく。
「正義の味方、リリア参上なのです。悪い界賊はやっつけちゃうのですよ」
 前衛に立ったリリア・リルバーンがミューレリアに敵を近づかせないように「ブリリアントセイバー【ブリリアントセイバー】」が光を放ち、斬撃を浴びせ込む。
 そのまま亡霊兵の注意を引き付け、「【連携】ゴッドスピード」のよる金色の風を身に纏い、縦横無尽の連続攻撃が咲いていた。
「瘴流拳」で相手の動きを察知し、敵からの応戦を回避する。
「エンリルウィング【エンリルウィング】」で飛翔し、強化亡霊兵を見据えていた。
「雑兵を殲滅していれば出るとは思っていたが、行くぜ、リリア」
「ええ、行きましょう」
「「二人の光を一つに! 必殺、ブライトマリアージュ!!」」
 光の刃が打ち下ろされ、強化亡霊兵を両断する。
 駆け抜ける火屋守 壱星は「甲二重廻【甲二重廻】」を羽織り、「桜色霊珠」で霊力を強化する。
「神纏」のオーラを顕現させ、「一織流参ノ型・火龍」の熱を全身に纏って加速し、敵兵との間合いを詰める。
 刹那には「菊桜」の刃を薙ぎ払い、亡霊兵を一掃する。
 エミーリア・ハイセルターは「機晶の金糸雀」の行動範囲を心がけつつ、声を飛ばす。
「壱星は油断して足元をすくわれないようにしなさいよね?」
 亡霊兵に纏わりつかれた壱星へと的確な「ポイズンアローレイン」を降り注がせて相手の動きを制してから、壱星の刃が奔る。
「俺もこんな状況でそんな油断はしねぇよ」
 素早く離脱し、「久那土の浄衣」を翻し、刃の形状を変移させて棒状にする。
 そのまま「虎狼拳」を打ち放ち、亡霊兵から霊力を吸収する。
「特異者の戦術や戦略を熟知している黒田官兵衛が単純な物量攻めをするとは思えない。こちらへの干渉は防げるが、強力な亡霊兵個体を混ぜてくる可能性もあるな」
 再び刀身を刃へと変え、刺突の構えで肉薄し、切っ先の霊力を爆ぜさせて亡霊兵を駆逐していく。
「ライブラマント」を風に揺らめかせ、亡霊兵の中でも中核に相当する個体へと、エミーリアは「サイドワインダー」で左右から敵を挟撃し四本の矢が同時攻撃を咲かせる。
「これで強化個体を抑止! にしても……数だけは立派ね」
 その時、城壁の小門が爆発する。
 デュオによって仕掛けられていた炸薬が起動したのだ。
 たまは強化亡霊兵を鎖鎌で斬り払ってからその攻勢を目にしていた。
「仕掛けは上々ですね。このまま、攻め込みましょう」
 セナリアの剣の豪雨が亡霊兵を吹き飛ばし、切っ先を本丸に突きつけていた。
「黒田官兵衛はそれなりに損耗しているはず……亡霊兵の手勢も少しばかり弱まってきたわ。このまま一気に――本丸へと攻め込むわよ!」
 それは彼らの心根の声となって、残存する亡霊兵を打ちのめしていく。
 最早、亡霊兵の軍勢は弱まりつつあった。


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