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≪セレクター編≫新たなる絶望

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≪セレクター編≫新たなる絶望
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・数多の亡霊兵を見据えて

 亡霊兵たちが刀を構えるのを、焔生 たまは目にして声を発していた。
 肩を並べるのは武田信玄と霞ヶ城光祈である。
「おや、光祈にタケさんもこちらでしたか。挨拶代わりの決闘といきたいところですが、さすがにオーディエンスがアレでは風情がありませんしねぇ。――合わせなさい、光祈。私のライバルなら当然、やれるでしょう?」
「それくらい、当然です」
「威勢がいいのは結構。では、行きますよ」
 直後、たまは「タイクーンオブゲヘナ」を使い、霊格の解放、悪魔の完全憑依をもって強靭な巨躯を出現させる。
 炎の魔王と化したたまは「虚空の翼」で飛翔と魔力吸収、亜空間転移を可能にしていた。
「陸阡眼」を開眼し、周囲一帯を視界に収める。
 魔眼で敵対象物の生命力を読み取り、邪眼で炎の耐性を低下させていた。
「……魔力の質は亡霊兵も術者もあまり変わらないでしょうから、うっかり本丸に跳ばないように気を付けませんとね。光祈、一仕事終えたら少し話をしましょう。なんならまた泊りにきてもいいですよ?」
「それもいいですね。しばらく会えてませんでしたし、積もる話もありますから」
「世間話はその辺にしておけ。そうしながらでも万の軍勢を葬れるなら別だがな」
 ロイが拳から放った闘気だけで亡霊兵をかき消して道を開き、たまと光祈を睨んだ。
「そのくらいのことはやってのけろと? 余裕ですよ」
 たまは「零の妖気」を帯び、「畏覬装纏」によって鎖鎌の形を与えていた。
「審判の指輪」と「ネザーブレイズ」を付与し、アルシエルの炎を纏いつかせて、そのまま呼気一閃、薙ぎ払う。
 有効射程に近づいていた亡霊兵を焼却し、燃え盛る戦場にて、たまは薄く笑う。
「さぁ、死にたい奴からかかって……と言うのは変ですか。もう死んでいるのですからね」
 乙町 空は亡霊兵の軍勢を眺め、ふむ、と首肯する。
「セレクターの一員、黒田官兵衛さん。“セレクター最弱”と言いつつも、一人でこれだけのことをやってのける。その域に至るまでどれほどの研鑽を積まれたことでしょうか……。惜しいことだとは思いますけれど、彼を下さなければ先に進むこともできませんし、今はただ、仲間たちと共に目的を達成することに専念しましょう」
「黒天秤」を鞍に設置した強靭な鈿女馬――「黒涙号」に乗って出陣し、「鈿女の涙」を媒介にした「双召現」によって二つの槍を顕現させる。
「人騎一体」の心得をもって、双槍を扱いつつ駆け抜けていた。
 その速度は「操風のペンダント」の風を味方につける効果を得て、機動力を補填している。
「真・召喚」を発現させ、力を引き出し騎兵となって駆け回る。
 前線にて敵勢を掻き乱し、槍を振るって亡霊兵を穿っていく。
「ローラ! 行くわよ!」
 焔生 セナリアローレンティア・ベルジュも同じように亡霊兵を相手取っていた。
「【C】グラビティフリー」で瞬発力を上げ、「【原典】湖の騎士の剣」をローレンティアは振るう。
 剣術だけではなく、足払いなどの格闘戦術も組み合わせて亡霊兵を叩きのめす。
「【C】フォーフォールド」で「プライモーディアル」を複製したセナリアは、うち二本を「神殺の釣針」により操作している「サテロイド」に握らせていた。
 視覚共有と「スロウスカリキュレーター」の演算能力を駆使し、もう一人の自分を操っている感覚で戦闘姿勢を取っていた。
 セナリアは岩壁を蹴って二本の刀を用い、刃を奔らせていく。
「サテロイド」の駆動も意識しつつ、ローレンティアは互いに阿吽の呼吸でカバーする。
「楽土幻想Ⅱ」で自らのポテンシャルを底上げし、「【栄具】憤怒の爆発」をもって亡霊兵を焼き尽くしていく。
 火傷のダメージは「【栄具】巡礼者の貝殻」で持続回復を行いつつ、次の標的を見据えていた。
「城攻めは盛大に暴れられるし、大将首を討ち取る手柄も立てられる……が、今回は大将首は他に譲ることになるな。だが、その分だけ戦場で暴れさせてもらう。さぁ、どんどん掛かってきな! 全部斬り伏せてやるよ!」
「“セレクター最弱”と言いつつも門番を任せられているだけあって、壁がとんでもなく分厚いわね。でもだからと言ってここで退くと言う選択肢はないわ。今まで後手に回って来たけれど、ようやく先手が回って来たのだからね! さぁ、暴れさせてもらうわよ!」
 亡霊兵の集団へとセナリアは「【C】マルティプリケイション」を発動させ、「プライモーディアル」の太刀筋を操り、敵へと据えていた。
 そのまま剣の豪雨を降り注がせる。
 剣圧は「ゾディアックウェイカー」により持続力を引き上げられ、亡霊兵を打ち崩していく。
 そんな中で亡霊兵が凝縮し、強力な個体となって屹立する。
「ローラ!」
「ああ!」
 ローレンティアが原点回帰を行い、爆ぜる透明の剣を払って強化個体を斬りさばく。
「剣の豪雨で押し潰す!」
 剣の重圧が個体を圧倒せんと一気に叩き込まれる。
 京・ハワードは「ディープユニゾン」でウィリアム・ウォレスと同調し、声を響かせる。
「状況を打開するため、たまお姉ちゃんやセナリアお姉ちゃんや空お姉ちゃんと一緒に頑張っていきましょう♪ お姉ちゃんたちの特性や能力に合わせて、私からチームワークを意識していきますよ~絶対大丈夫!」
「女神の天秤剣」を使用し、対となる天秤を顕現させ、敵の行動を予測する。
「相手の位置情報を把握するのです! 隠れている個体は……そこ!」
 指差した先に居た集団の亡霊兵に「アストライアの天秤」を掲げ、感知能力を上げた太刀筋で応戦する。
「フォートレスオブアストライア」の女神像を屹立させ、亡霊兵の注意を引きながら効果を発揮させるのは「裁きの天秤」。
 数百、数千の敵影を見据えて弱体化を試みる。
 たまは鎖鎌で敵の亡霊兵を薙ぎ払いつつ、「ダストバースト」で広範囲に渡って叩きのめしていた。
 集合した強化亡霊兵へと空が「黒天秤」を掲げ、「スタベーション」の呪いを持続的に放つ。
 強化亡霊兵の一撃を京は「【C】グロウブレッシング」の強固なフィールドを展開し、それに合わせてウィリアムは「【C】アストラルガード」を構築することでバリアの強度を高めていた。
 強化亡霊兵の一撃を跳ね返した勢いを殺さぬまま、「アセンショナルアーマー」で偉能力を極限まで伝播させる。
 身に着けた「ゾディアックウェイカー」で負荷を軽減させ、京は応援の声を発していた。
「フレーフレーお姉ちゃん~! フレーフレーわーた~し~!」
 水城 頼斗は前線に立ち、亡霊兵を見据えていた。
「うだうだ難しいことを考えるのは相棒に任せる! 俺は苦手だからね! 要は俺らから出向いて手当たり次第やっつけりゃいいんだろ? 官兵衛の亡霊兵をひたすらぶっ倒して、アイツらに思い知らせてやる。舐めんじゃねぇぞってな!」
 遠近 千羽矢はその言葉に応じていた。
「……確かに。向こうから仕掛けてくるのを、ただ待っているわけにはいかないな。俺たち特異者に猶予が与えられている、ということは。セレクターたちにもその間、自由に行動する猶予を与えている、ということだ。……簡単に勝てる相手ではないのは分かっているが。以前戦った時より、俺たちも格段に強くなっている。今ここで、セレクター側に痛手を与えられれば……向こうの猶予を――他の世界に手を出させる隙を、与えずに済むかもしれない。……それなら。俺たちのやるべきことは、一つだ。この亡霊兵たちを一人でも多く倒して、官兵衛に勝つための道筋を、切り開く。……行こう、相棒。【鐡の双璧】――推して、参る!」
「おう、相棒、やってやろうぜ! 【鐡の双璧】――推して参る!」
「逆神槍」を一回転させ、穂先と、「霊盾・祝融」を用いて敵の攻勢を弾き、いなしつつ攻撃の好機を見出す。
 槍のリーチを活かし、相手の射程外からの一撃。
「霊子噴進靴」でそのまま敵の集団に飛び込んで薙ぎ払い、敵陣を制する。
 包囲した相手に対し、「三井流伍ノ型・青嵐」を展開し、最小限の足さばきと刀の切り返しで敵を一掃する。
 僅かに攻勢を削がれた相手の一点を見据え、「三井流弐ノ型・回風」の螺旋の風圧を纏わせ、刺突で突破口を開く。
「神纏」を発現させた千羽矢は鳳凰の姿を取った霊力を纏い、防御力を高めていた。
「アバタークロッシング」を用いて「鳳凰輪廻」によって永久機関を成し遂げ、「緋弓箭【金弓箭】」に「炎流矢」を番え、亡霊兵へと放っていく。
 さらに「オメガフレア」の術式を起動し、周囲の亡霊兵も薙ぎ倒していく。
「ただの一本の矢だと侮ると、痛い目を見るぞ。……俺の矢は、星火燎原の如く。たった一矢で、戦況を大きく引っくり返す」
 頼斗の放つ風圧の槍が敵を穿ち、千羽矢の矢が炎を纏って威力を増す。
「オラオラどうしたぁ! 数ばっかいたって、相棒の矢と俺の槍から逃げらんねぇよ!」
 頼斗は「終刀」の太刀筋を奔らせ、敵を切り裂く。
「俺たちが揃えば、恐れるものは何もない。背を預け合えばどこまでも強くなれる。WHに【鐡の双璧】ありと、思い知らせてやる!」
 千羽矢は「マギアビジョン」で亡霊兵の霊力をの流れを観察していた。
 その中で一際大きな反応に、千羽矢は言葉を発する。
「……来るぞ。強化亡霊兵だ」
 一体を触媒にして無数の亡霊兵が寄り集まる前に、千羽矢は「導きの刻火」を撃ち込んでいた。
 ひたすらに「炎流矢」を放ち続け、継続ダメージを与えていく。
 頼斗は盾の炎を槍に纏いつかせ、さらに己へと「潜能解放」を実行させ、槍による怒涛の連続攻撃を叩き込む。
 強化亡霊兵が反撃に出ようとしたその瞬間を狙い、「終刀」の保留した太刀を解放する。
 強化亡霊兵が内側から爆ぜ落ち、二人はまだ襲いかかってくる亡霊兵を睨む。
「何度だって相手してやる。絶対負けてやらねぇけどな!」
「……風と炎が開いた道。また塞げるものなら、塞いでみろ、官兵衛」

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